第3話 初級冒険者アリシア=ルヴィエ
「って、これからどうすればいいの!…私はもう武器を持ってないのにっ。」
「ほう…武器を持ってないと申すか。そうだな、遥か昔、私たちの先祖と呼ばれる種族がいた。そいつらは特に武器なんか持……」
「あぁ!もうっ!!……分かったから、もう分かったから。雑談する余裕があるくらいなら何か策の一つでも考えてください!」
「そう言うお前も小言を言う余裕があったみたいだが?」
「その件はどうも申し訳ございませんでしたっ。私も戦いますので許してくださいっ!」
「別に戦えなんて言ってないぞ?それに謝れとも言ってないんだが……まぁ、お前が戦いたいのなら別にいいんだけどな~」
「………あのねぇ、どんな人にも少なからず良心はあるんだよ?…その良心から来る言葉を例え冗談でもふざけるのは良くないよ?」
「あ~…そっちね。…今のは悪かった、すまないな。っとと、そろそろ気を引き締めないとね。…名前は?」
「アリシア。(適当に流された気がするけど…)……アリシア=ルヴィエよ。」
「!……そうか、ルヴィエか。―――武器がないならこれを使え。お前らにとっては使いにくいだろうがないよりかマシだろう。」
そう言うと、身の丈に合わない長物をアリシアに寄越した。そう、云わずもがな彼女の愛刀である。
「えっ?あ、ありがとうございm…って重っ!(大分長いこと使われているのに、傷らしき傷は見当たらない…)相当大切にされているのですね。本当にいいんですか?」
「あげたわけではない。ちゃんと返せよな?」
「も、もちろんです!冒険者は嘘をつきません。」
この時、アリシアは気づいていなかっただろう。この刀を返す約束をすることで、間接的に彼女に付き合わなければならない理由が作られてしまったことを…
「冒険者が嘘をつかないかどうかは……いや、そう言う意味じゃないか。とりあえず、アリシアは逃げ道の確保として後ろ側に回ろうとしている毒スライムを殺ってくれ。」
「けど、この武器をいったいどうやって扱えば……それに、あんな毒スライム見たことないよ。」
「その武器は人を選ぶ。…だいじょーぶ、それを持っていつも通りの構えをしているだけでいい。」
そう、早口で言い切ると、彼女は黙った。
不思議と周りは静かになり、きっとこのような状況を嵐の前の静けさと言うのだろうとアリシアは感じた。
その表現が間違えでないことはすぐに知ることになる。
―――シュゥゥ……。
「これでほとんど片付いただろう。」
彼女が難なく、その言葉を発したのは、彼女が黙ってから10秒経ってすぐのことであった。




