第23話 “今”のレイン
なんと、驚いたことに龍王ギアラーダと名乗る者は人の姿をしていた。まぁ、ものすごく濃い魔力濃度を秘めていたから、龍王でまちがいないとは思う。
「レインとやら、お主は一体どこへ向かっておるのだ?」
それに、この濃密な魔力瘴気にも平気でいられるのがすごい。あの龍ですら酔う濃度なのに。
「この奥に瘴気を発生させている元があるんだ。もしかしたらそれは龍王さんに関係しているかもと思ってな。」
「ふむ?私にか?」
「たぶん。そろそろ奥につくぞ。」
瘴気を発生している元には
一体の龍の骸と
それにもたれ掛かる人の骸があった。
「!?………これは。」
「今日、龍王さんにあって確信したんだ。おそらくこれがあなたの親なんじゃないかなと思って。」
「いつ……これを?」
「小さい時、元々ここを守っていた龍がこの場所に現れたんだ。腐肉化してな。……立ちはだかるようにしていた。」
「………そこから入って龍の秘密ではないかと思ったってわけか。」
その通りだ。初めてみたときは驚いた。龍と人とが共存していたことに。そう思えるほど、お互いに寄り添った死体だった。
「この骸には一切触っていない。…親なんだろ?好きにしていいぞ。私は少し出ている。」
「かたじけない…」
◇
「バーン、大丈夫か?」
『お前は人か?普通あんな場所にいて平気なやつなんていねえぞ?』
「そうなの?龍王さんは入れたけど?」
『ふつうは、だ。で、肝心の龍王様は?』
「奥で一人にさせてくれってさ」
『ふむ、先程も龍王様はそう言っておったな。』
「へー、あっ!龍王がすむ場所ってどんなところなんだ?」
「気になるなら、いつか招待してやろう。」
『『龍王様っ!!』』
「此度は助かった。お詫びと言うのはあれだが、お主に私たちが住む場所に行ける権利と方法を渡す。」
そう言って私の腕に手をかざした。
「んっ?……っ!ぅぅ……」
「今から試練を与える。まず、私たちの言う龍とは、自身の狂化を抑え、それで得た力を我が物にしたもののことをさす。私はいま、龍紋を授けた。龍としての権利と方法を与えるものだ。」
『まさかっ!レインに狂化を抑えろって言うのですか?!』
「ああ、その通りだ。」
『無茶だっ!!』
「といっても彼女が望んだことだ。」
『だからって!「大丈夫、しかしびっくりしたよ。」…なっ!』
「私はできんようなことはせんよ?」
龍紋を与えられたとき、一瞬だけ狂喜に呑まれそうになった。が、あのときの狂喜よりも弱く、それに慣れていた。だから大丈夫だった。
「まぁ、慣れてるからね。……ところで、私の魔力回路の一部が増設されたような感じがするんだけど……これって?」
「自身の回路がわかるのか?」
「まあね。それに、さっきまで体にいれていたあの魔力がもとになっているから……」
『3つまで操れると言うことか?』
「たぶん。………先代龍王の魔力か……。」
「レインとやらはこのまま別の街で冒険者をするのだろう?」
「だね。ここの町じゃもう顔がばれちゃってるからな」
「では、冒険者証をかしてくれ。必要事項をばれないように入力しておく。」
まぁ、名前と年齢しか入ってなかったからな。
「お前がばれる原因はおそらく、その刀と名前だろう。あいにく、その装備と髪型が目立っているお陰で、顔はそんなにばれてはいない。だから、冒険者証の使用武器は弓にしておく。」
「わかった。じゃあ髪も切ってしまえばいいね。」
思い切って髪を短くする。ショートより少し短いぐらいまで。
「こんな感じかな?」
「ああ、いいんじゃないのか?服装も変えれたらいいんだが……そうか!テンペストっ、私の予備の服を持ってきているだろう?」
『えっ?あれは龍化仕様のものじゃあ』
「別に問題はない。また作ってもらえばいいだけだからな。―――ほれ、これを着れ。」
全体的に黒い服で派手さはなく、所々にある小さな模様が星のようにあり、高潔さを感じる。下は、模様すらないが、そのぶん動きやすさと耐久性に気を配られていた。
「何でここまでしてくれたのかわからないけど……ありがとな、龍王さん。」
「それと、弓だがこれを使え。」
白銀に輝き、綺麗でありながら、深淵のような深さも感じる、矛盾を感じる弓だった。
「これは?」
『『まさかっ!』』
「ああ…冥龍ミラから作った弓だ。銘は“命冥弓ミラ”。大事に使ってくれ。」
『しかし、いいのですか?!『やめとけテンペスト。』っ! なぜですっ!』
『我がこういうのもあれだが、土へと入れられて、誰の役にもたてないまま忘れられるより、死して尚輝く方がいいだろ?龍王様。』
「その通りだ。特にミラは人の子を守ることを誇りとしていた。これで少しは後悔も薄れるだろうと思ってな。それに……その弓に手を翳せ、レインよ。」
言われた通りに、弓に手を伸ばす。
―――命冥弓がよりいっそう輝く―――
「その弓はミラの意思を継いだ物。お主が誰かを守ろうとする思いが消えない限り、レイン、お主に力を授けるはずだ。」
「ありがとう。」
「それでは私は帰るぞ。バーン、テンペスト、少しぐらい私のもとに帰ってこい。」
『『仰せのままに。』』
「レイン、お主も達者でな。」
周りはすでに暗くなっており、既に3体の龍は見えなくなっていた。
辺り一面闇の中、一人で立つレインを服が、弓が照らしていた。
「変わった繋がりができたな………。」
次話は来週のこの時間に投稿できたらいいな。




