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魔術の謎を紐解く学者が望む日常  作者: 咲月 sc
第1章 過去の面影と変わる日常
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第2話 好奇心に負けないぞっ!

―――「ふぅ~、大方必要な素材は集まったかな。」


 あれから、陽が落ちて久しくない程度の時間は経っていた。といっても、今時加工や錬金に必要な素材を()()()集めるような輩はほとんどいない。ましてや、彼女は学者である。もう一度言う彼女は学者(冒険者でない)である…。

 そう、学者や加工・錬金を生業とする者であれば()()()()()してもらうのが世の常である。


「…うん?―――ちょっと寄り道して帰ろうか。なかなか珍しい光景が見れるかもしれない!」


 彼女のように好奇心溢れる学者は多くはない。しかし、いないわけではない。

 大概そういった者は相棒(パートナー)と呼ばれる、昔馴染みの歯止め役がいるものだ。もちろん彼女も例外ではないのだが…。


「いやぁ、久しく(冒険者)に会ってないからなぁ…ま、期待しすぎるのもダメだな。といっても長年の癖だから仕方ないんだけど、なぁ……」


 彼女も例外ではなく、()()のだ。前までは。

 段々と彼女の顔面に苦々しい顔が映り始めたとき、


――パキンッ


「あの音は…ちょっと不味いかもな。」


-------------------------------------------------------------------


「!たぁ…最の悪ッ!ギルドの依頼には初級で達成可能って描いてあったのに!」


 彼女は一人、闘っていた。その状況を例えるなら四面楚歌の中、孤軍奮闘しているというのが模範解答だ。

 しかし、彼女にはまだ悪態を吐く余裕はあるようだ。それを可能にしたのは彼女の戦闘経験の豊富さが故か、はたまたその逆か。

 本人に聞かない限り判らない事だろう。


「なーんて、小言を言う時間はあまり無いみたい…武器も壊されたし。……まっ、私の人生はこんなものか、まぁ特に悔いはないなぁ。」


 諦めとも読み取れるその言葉。だが、そこにいる彼女以外の人…いや、そこに()()一人の少女(学者)は別の意味に捉えたようだ。


「おいっ!後方に跳べ!」


「えっ?あなたはだr」

「死ぬならよそでしろ!『小竜巻(プチトルナード)』」


「きゃぁ!? い、いきなり何するの!そもそも、私が一体………え?…嘘…。」


「はぁ…やっと気がついたか……お前はこれだけの量を相手にしていたんだ。ここまでこいつらに好かれる奴は見たことない!

――是非お前の身体を研究してみたいところだ。」


「そんなことを言っている場合ですか!冗談は後にしてください!」


「冗談で言ったつもりはなかったんだがな……しっかし、改めてみると本当にすごい数だな。」


 彼女らの眼に映っていたのは、100は有に越えているであろう、黒に近い紫色をしたスライムの軍団であった。



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