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落ちこぼれ魔皇子  作者: 黒田明人
幼年期
9/17

幼年期 6

連続投稿中

 

毎年の身代わり君へのマナ注入とレベリング、投入された保存食の回収と修練の日々。

魔石は嗜好品として溜まる一方になり、素材も売らないで貯める一方になっている。

実はオレの狩りが原因なのかを知る為に、売らないでひたすら溜めている。

そうしたらまた素材が高騰する事になり、オレも原因の一因? 全てじゃないよな。


探査と転移と飛翔魔法を駆使し、風刃と洗浄と解体魔法を駆使し、ボックスに突っ込んで次の獲物。

そんな効率でのひたすらハント。

小さな魔石を舐めてると腹が減らないわ眠くならないわで、狩り中はそればかりだ。

なので自然とフルタイムに移行し、睡眠は10日毎に宿で1泊。

20時間きっちり寝る感じで、また10日のハントって感じで数年が経過した。

もう素材は枯渇と言って良いぐらいで、世の狩り人達はレア物と化した魔物を探している状態になっていた。


どうにもやりすぎたみたいだ。


全世界の商会に対し、暗示全開で可能な限り売りつけていく。

レア物価格でのそれは、莫大な売り上げとなりはしたが、やはり変装の裏商人になる。

だからオレのランクは未だに、初の16に留まり、素人に毛が生えた感じになっている。

白板とか、この世界オンリーな財物だろうと思い、もう無いかも知れないけど、万が一また……

そう思って、没収になるかも知れないけど、ボックスが継続でなおかつ、次の世界があった時の用心に……


なんてさ、殆ど可能性の無い話だよな。


それでもそういうのも保険と、全て金粒にしておこうと両替しまくったのさ。

直径1センチの金の1粒が10グラムって規定されているんだけど、これが地球での金の重さと同じとは限らない。

だけどそんな事はどうでも良いと、100粒を1キロとして、キロ単位での容器……袋しか無いのか。

金粒100入袋を大量に作り、それが100入る箱に入れてボックスに収める事にした。

白板はそのまま金袋となり、獲物の素材を売った代金は金粒優先で、足りなければ銀粒や銅粒でも受け取った。


暗示全開、さあ買い尽くせ。


全世界で求められていた素材の数々は、その要望量を遥かに凌駕する供給量で一気に飽和した。

売り尽くした後、商会の面々はそれぞれに、値切り成功して後は儲けるだけと、タヌキの皮を数えていた。

確かに駆け引きとか面倒で、殆ど言い値に近い額での売却をやったけどさ、元々が枯渇素材だったから相場の数倍になっていたんだ。

だから言い値でも通常より儲かっている訳で……

とにかく、売れば市場に流れて値が下がると、全世界でひたすら売り尽くした。

そしてまた相場は通常価格となり、商人達の苦難と狩り人達の叫びは繰り返されたのである。


     ☆


いよいよ弟が成人になる。

魔族の成人は10才で、人族は15才らしい。

その弟がもうじき10才になる。

オレはもうじき14才だけど、人族って事になっているから成人は来年になる。

既に身代わり君へのマナ供給は止めてあり、あいつはベッドに横たわって動かない。

マナが尽きれば生きている死体はそのまま死体となる。

ちょうど寒い時期なので腐る事も無かろうと、最後になるかも知れない食料回収を終えた。

もうじき調査団がここに来て、中の様子を調査する。


ああ、古い食料を放置しておかないと……


投入されたと思しき保存食がいくつか転がり、数ヶ月前から動けないか死んでいたと偽装する。

さあ、死亡認定でオレは完全に解き放たれる。

お、来た来た……


『死んでます』

『哀れだが、これで良かったのじゃ』

『埋葬は』

『要らぬ、崖から落とせ』

『それは余りにも』

『構わぬ』


気配殺して壁と同化したオレの目の前で、親父がオレの偽死体の処分を決めた。

崖から落として魔物に食わせるってか、中々に情の無い事だな。

さすがは魔の国の長、魔王だけの事はある。

そう、次期王とは魔王の事。

この国は魔族達の国であり、だからこそオレは殊更にそれを嫌ったのだ。


さらば、親父……【転移】


『む、今のは何だ』

『さて、何か? 』

『気のせいか』


やっと解き放たれた。

オレは自由を獲得したんだ。

そして見つけてあった未発見空間(隠れ家)……そこでのんびりする事になる。

保存食も良いけど、魔石だけで生きられる。

コリコリッと噛んでゴクリと飲んで……ああ、これでもう束縛は消えたんだなと……

気が緩んだのか、知らない間に眠っていた。



それはまるで冬眠のように・・

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