第九話(ENDその2)
もし違う選択肢を選んでいたら?そんなもしもの物語です。
どれも魅力的な選択肢だけど、俺はAで行くと決めてるからな。一応今までこまめにセーブはしてるし、メモも書いてるからどんどん進むぞ!
「何部に入ってるんだ?」
「……そんなことでいいの?」
「ああ。」
「料理部。」
「へぇ意外だな。」
「料理できなさそうに見えるって思うの?」
「ああ。」
「りくさいてー。」
「質問はしたがまだ何かすることはあるか?」
「何かやり残したことが無ければ次でおしまい。」
「やり残したことか……。」
行っていない部屋を一応見に行ってみるか。時間的に一部屋しか見られなさそうだが……。
A.家庭科室へ
B.校長室
C.情報処理室
料理部なのか……。こんな可愛い女の子なら毎日お味噌汁作って欲しいな……。いかんいかん。
やり残したことは正直めちゃくちゃある。とにかくセーブしたとこに戻りたいわ!!無理だけど、、。
料理部って言ってたしA選んで見てこようかな。
家庭科室へ行ってみよう。
なにか情報があるとは思えないが……。
『おいしい朝ごはんの作り方』
『包丁の正しい持ち方』
『お買い物のコツ』
やはりな……。関係なさそうな本ばかりだ。
ん?このファイルだけ他のよりボロボロだ。
『料理部集合写真!』とタイトルに書かれている。
徐おもむろにページをめくる。
ペラッ。ペラッ。ペラッ。これは……?
俺の知っている顔が載っていた。
これって眞白か。すごい楽しそうにしているな。
この笑顔を見られただけでも良しとするか。
ファイルを閉じようとした時数字が目に入る。
この日付……20年前だ。
なぜ20年前の写真に眞白が?
それにこの写真の後料理部の写真は撮られていない。
廃部になったのか……?写真を撮らなくなっただけか……?それとも……。
そろそろ眞白の所へ戻ろう。
A.保健室へ
20年前の写真……?日付が間違っている?それとも眞白はやはり大鏡の不思議の正体で幽霊なのか?
選択肢は一つしかない。行ってみよう。
保健室へ戻ろう。
「……おかえり。」
「戻ったぞ。最後は何をするんだ?」
「最後はね……。眞白のお願いを聞いて欲しいの。」
「……言ってみてくれ。」
「眞白は話すことが大好きなの。だから秘密を知っちゃうとそれを話したくて仕方がないの。」
「秘密を聞いてくれってことか。」
「うん。聞いてくれる?りくに関係してる人の秘密を言うだけだから。」
「……。」
A.蒼の秘密を聞く
B.なたね先輩の秘密を聞く
C.黒蜜の秘密を聞く
D.秘密を聞く以外のお願いに変えてもらう
E.秘密を聞かない
お願いかぁ。眞白に七不思議全部答え教えて!って聞きたいわ笑
選択肢は五つ。Aを選ぶのは確定なんだけど、DとEが凄く気になる。どれだけENDがあるんだこのゲーム……。
「蒼の秘密を聞くよ。」
蒼のことは昔から誰よりも見てきてる。
今更何を聞いたって問題ないだろう。
「蒼はりくのことが好きだよ。」
……?!予想の斜め上の秘密。
これだけで終わればどれだけ幸せだっただろう。
続きなんてなければ良かったのに。
「でも蒼が好きなのは人を殺してる時のりくだよ。」
「俺は人を殺したことなんてない!」
「本当に?よく思い出してみてよ。」
生まれてこの方犯罪に手を染めたことなんて……。
「そうやって忘れたふりをするんだね。眞白はお話できたからもう満足。」
「俺は忘れたふりなんて……。」
「どう振る舞っても別に構わない。ここの不思議はおしまいだよ。」
大鏡の不思議クリア。
「眞白も外へ出たいから付いていくね。蒼と向き合うかはりく自身が決めてね。」
「……わかった。」
蒼に真実を聞くべきか、最後の七不思議へ行くべきか……。
A.蒼に真実を聞く
B.眞白の言ったことを気にせず最後の七不思議へ
どういうことだ?!俺が人殺し?大鏡の不思議自体はクリアになってる。選択は間違いじゃなかったのか?
Bを選べはとりあえず一通り見れそうだ。Aは……。俺は今回Aで徹してきた。でも七不思議の攻略はなにより優先したい。
一番悩んだかもしれない。
でも……俺は自分を、この先が見たいという欲望を抑えることはできなかった。
Aを選択。
「蒼に話があるんだ。」
「どうしたのりくくん?」
蒼を呼び出し二人きりになる。
「聞きたいことがあってさ。ないとは思うんだけど念の為。違ったら笑い話にでもしてくれ。」
「う、うん。」
「俺って誰かを殺したことがあるのか?」
「……?!思い出したの……?」
「その反応は何か知っているんだな。教えてくれ!」
「でも……。」
「頼む蒼!」
「少し昔の話をするね。」
私はりくくんに憧れてたの。
なんでもできるりくくん。
私もそんなふうになりたくて……。
りくくんが野球をしていたら私も野球をした。
りくくんが料理をしていたら私も料理をした。
りくくんに彼女ができたら私も彼氏を作った。
真似をするだけで私はりくくんになれた気がしていたの。
私があのまま真似だけしていればあんなことは起きなかったのかもしれないね。
ある日りくくんは虫を踏み潰して遊んでいたね。
私が楽しい?と聞いたらああ。って答えてくれた。
大きい虫を倒すほど楽しいんだって言ってたから、私初めて真似じゃなくてりくくんを越えようと思ったの。
私の家にいる大きな二匹の虫。
毎日毎日うるさいの。
よく眠れないし攻撃だってしてくる。
だからあの虫達にしようと思った。
とてもとても大きいからりくくんに認めて貰えると思った。
私が虫を退治してりくくんを呼ぶとりくくんは震えていたよね。
何してるんだ?って聞かれて私は虫を退治したのって答えた。
りくくんは少し驚いて何か考え事をしてから言ってくれたよね。
すげぇ!って。
それからはりくくんの家にいって同じ種類の虫を退治して遊んだ。
りくくんは凄い楽しそうだった。そんなりくくんを見るのが私は好きだった。
「蒼……俺思い出したよ。」
「りくくん……。」
俺は昔から蒼が好きだった。
蒼が真似してくれるのが何より嬉しかった。
あの日蒼が両親を殺しているのを見た時に驚きを隠せなかった。
でも蒼が真似してくれる、憧れてくれる俺のままでいないと離れて行ってしまう気がした。
だから俺は蒼に合わせたんだ。
自分の両親よりも他の人類よりも蒼を選んだ。
なんでこんな大切なことを忘れていたんだろう。
「りくくん……また虫退治しに行かない?」
「……ああ。何匹でも退治しに行こう。」
それから学校内に残っていたなたね先輩と黒蜜を……。
眞白はどこにもいなかった。
俺が作り上げた幻影だったのかもしれない。
蒼との関係を思い出すために。
「そこの二人組抵抗はやめて降伏しなさい!」
「だってよ。蒼どうする?」
「うるさい虫は退治するんだよ。りくくん。」
「そうだな。俺達以外はうるさい虫だ。」
GOODEND『二人だけの世界』
なんだよこれ……。
蒼と俺が?両親を?
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!
嘘と思い込みたいのに手には嫌な感触が残っている。
さっきまではなかった感触が。
……まさか。
部屋をよく見てみるとそこは。
ここって……刑務所か。
場所がわかり全てを思い出す。
俺は蒼と沢山の人を殺してここへ来たのか。何故忘れていたんだろう。取り返しのつかない事をしてしまった。
……蒼はどうしているんだろう。
扉に向かって蒼の名前を叫んでみる。
返事はなかったが……。
カタン。
封筒が代わりに届いた。
『それもまた思い出』
その言葉の意味はわからない。
パソコンは役目を終えたかのように電源が落ち、再びプレイすることはできなくなっていた。




