表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/195

【かけるものは何も無くはかるものも必要無い】

 【かけるものは何も無くはかるものも必要無い】

 「負けた方がどうこう言うものではない。ただ、並んで走るだけじゃ」

 「さっき競争って言ってたじゃん。いいよ。走ろっ」

 ハヤミが即答して、魔王の横に並ぶ。陸上部員達は一歩下がって、観戦することにした。色々と話題になるこの2人の競争を見逃せるわけもない。カナはもはや蚊帳(かや)の外、陸上部員という蚊の質問に刺されまくっている。

 「合図はカナに任すぞ」

 「……えっ、あっ、はい」

 任されてしまったカナがおろおろと辺りを見回し、近くにいた陸上部員からハリセンを必死に奪い取った。何故ハリセンがこの場にあって、かつ陸上部員が持っていたのかは奪ったカナにもわからなかったが、きっと芸人志望なのだろうと勝手に思うことにした。

 「よ」

 ぐっとクラウチングスタートのポーズを取るハヤミだが、魔王は直立立ちしたままだ。腕を組んで、鼻歌を口ずさんでいる。

 「よぉい」

 スッパーンとカナが隣にいた陸上部員の頭をハリセンでたたく。その場の勢いと思いつきとはいえ、その思い切りの良さは称賛に値する。

 「んっ」

 ハヤミがいいスタートをきった。スピードものり、いつもの調子となんら変わりない。

 「ゴールじゃ」

 まだハヤミは15mも走っていないというのに、魔王は既にゴールであくびをしていた。その移動速度は既に人のものではなく、瞬間移動の類としか言いようがない。

 「もう一度やるか? ん?」

 「うん」

 魔王の挑発にハヤミは容易く乗ってくる。ユーターンしてスタートラインにハヤミが戻るのとほぼ同時に魔王がいた。どうやら一度きりの手品ではないようだ。

 「なんかコツとかあるの?」

 「しいて言えばワシだからじゃ」

 カナのハリセンが炸裂し、ハヤミが勢いよく飛び出した。その真横を突風が駆け抜けたかと思ったら、ゴールにまた魔王がいた。ハヤミはその勢いに足がもつれ、転んでしまう。

 「……もう一度やるか?」 

 「う、うんっ」

 鼻先についた砂をこすって落とし、ハヤミは3度目のクラウチングスタート体勢に入る。観戦している陸上部員達はただ魔王に唖然とし、カナにハリセンではたかれるだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ