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[私には理解できません]
[理解できなくていい。追々(おいおい)、お前の脳内数値がその原理をお前に教えるだろう]
そこまでテレパシーを伝えたとき、指令の姿は忽然と城水の前から消えた。
「やあ、城水さんじゃありませんか。夜分、こんなところで、どうかされました?」
城水がハッ! と振り向くと、そこには交番日直の若芽巡査が懐中電灯を片手に立っていた。マンホールの蓋は、まるでマジックを見るかのように瞬時に、閉ざされていた。
[い、いや…。大事にしていた万年筆を落としまして…]
「はあはあ、なるほど。探しておられたんですね?」
[ええ、まあ…そのような]
「そうでしたか。なんでしたら、ご一緒に」
[いや、いやいやいや、そのようなお気遣いは…]
「ですか? じゃあ!」
若芽巡査は敬礼すると、交番へUターンした。予想外のハプニングに城水は一瞬、焦ったが、咄嗟に出た方便で事なきを得た。クローン化によって半異星人となる前の自分なら、恐らく上手く言葉が出ず、若芽巡査の職務質問を躱せなかっただろう…と、城水はホッとひと息つきながら思った。すべては城水の脳内数値による瞬間計算とデータ判断のお蔭だった。




