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「そうか。なら、いいんだ…」

 城水は里子が運んできた湯呑みの茶をひと口、飲みながら言った。そこへ、雄静ゆうせいが子供部屋から飛び出してきた。

「パパ、お帰りなさい…」

「ああ、ただいま。何か変わったことは?

「別にないよ…」

「おかしい人ね。変わったこと、変わったことって…」

 里子は怪訝けげんな顔をして城水を見た。

「いや、別にどうでもいいんだが…」

 ばつ悪そうに城水は新聞を逆さに広げて読み始めた。外はすでに漆黒のベールが覆い尽くそうとしていた。いつの間に現れたのか、庭の木立こだちの中に、駐車場から消えたクローン[1]の姿があった。外見は出勤時の城水とまったく同じだった。

[変化はないようです。これで戻ります]

  誰と話しているのか、クローン[1]はひとごとつぶやくと、城水家の庭から忽然こつぜんと消え失せた。

 山の樹林の一角にひそむUFO編隊の指令船内である。

[これといった動きはないようです。我々の存在を意識した会話はしておりましたが…]

[どんな会話かね?]

 異星人のトップと思われるクローンがたずねた。異星人の生命体は城水の細胞を培養し、成体となった城水のクローンに乗り移っている形跡があった。

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