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 そんな馬鹿なっ!! と、城水は片手で目をこすった。だがしかし、自分の車に乗っているのはまさに自分で、静かに動き出す車の姿だった。城水は混乱しながらも、待ってくれ! とばかりに両手を広げ、駐車場の出口で車をさえぎった。車は静かに止まった。そして、自動のフロントウインドウがゆっくりと下降して開いた。車窓から顔を出したのは、もう一人の城水だった。

[危ないから、前を開けて下さい…]

 城水は自分の耳をうたがった。確かに自分の声だった。だがその声は冷たく、抑揚よくようのない無感情な機械的な言葉だった。

「それは、私の車だっ! 警察に言うぞっ!」

 城水は怒りの声で言った。

[…? なにを馬鹿なことを。私は城水です。あなたは誰ですか?]

「なに言ってる!! 私が城水だっ!」

[いえ、私が城水です。これから帰宅するところです…]

 クローン[1]は冷静に言い切った。

「帰るのは俺だっ!」

 城水は叫んだ。前方を遮られている以上、クローン[1]も駐車場からは出られない。仕方がない…と観念したのか、クローン[1]はエンジンを切った。

[今日のところは私の負けのようだな。だが、これだけは言っておく。いずれ私は、あなたとなる…]

 自信ありにそう言うと、クローン[1]は、跡かたもなく車内から消え去った。城水は、またしても科学の常識を否定する現実に直面させられた。

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