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復活の日

 プクプク……ポコポコ……トクントクン。


 寒くて静かな所で私は寝ています。ニヘラッと笑いながら寝ているようです。

 天使さんの格好をしたたまちゃんが、先っぽに星の付いた杖を振りながら、全裸で……「うおおぉぉ」というところで目が覚めました。


「う、ううん……」


 これが自分の声でしょうか?なんか弱弱しいです。


「あ、あきちゃん。よかった!」


 そう言うたまちゃんの声と共に、顔面に巨大な肉まんが押し付けられます。おい、息が出来ないぞ~、おい、おい!


「ぶふぁ! 死ぬかと思った」


 私は窒息寸前で肉まんから開放されました。


「ほんとだよ、死んじゃうかと思ったんだから」


 たまちゃんは泣きながら言いました。私は心の中で『お前の肉まんで危うくな』と言って見ます。

 それにしても『ここはどこなんだー?』と思ってキョロキョロしてみると、どうやら病室に寝かされている事が分りました。ん、ん? 記憶にありません。


「えっと、何で私はここで寝てるのでしょうか?」


 私はたまちゃんに聞きました。


 ふん、ふふん、ほほう、うきゃーっそりゃすげえ。たまちゃんの詳しい説明を聞いて、他人事のように驚いちゃいました。


「あきちゃんの脳、十分間も血が通ってなかったんだって」


 ふむ、それって死亡フラグ立ってませんか?

 頭はともかく、スプラッターになった胃袋の辺りには、分厚いガーゼが当ててありました。


「あれから、もう一週間も経ってるのよ」


 なんですと!


「そ、それでどこのテロリストの仕業ですか?」


 乙女の身体を傷物にした奴は許せません。


「それがね、事故だったみたいなんだ。ドライアイスを固める時に、液体窒素が1リットリばかり中に閉じ込められて、ガス溜まりになってたらしいの」


 うむむ、事故じゃしょうがないか。


「あ、私そろそろ授業だからいくね?」


 たまちゃんはそういって立ち去りかけました。


「あ、たまちゃん。待って……さっきのやって……」


 私は子犬さんのようなお目々でたまちゃんにアピールしました。


「ん? さっきのって……」


「目が覚めたときにぎゅっってしてくれたやつ……」


 そうだよたまちゃん、肉まんをぎゅっとだよ。


「しょうがないな、あきは甘えん坊なんだから」


 おおおぉ、酒池肉林、怪我してほんとよかったぁ。やっぱりたまちゃんの肉まんは最高です。

 肉まんの感触を残して、たまちゃんは帰ってゆきました。

 ほっとする暇もなく、たまちゃんと入れ替わりに華子先生が現れました。


「やあ、目が覚めたようだな、高城」


「はい、おかげさまで」


 う~ん、ハナキュンのでかメロンパンも捨てがたいです。

 ハナキュンはそんな私の顔をじーっと見詰めて黙っています。


「先生……?」


「いいか?これから私が言う事に驚くなよ」


 ハナキュンは深呼吸を一つして話し始めました。


「はい、何でしょう?」


「あのな、高城。本当はお前この前の事故で死んじゃったんだ」


 ハナキュンはしごく真面目な顔で言いました。


「や、やだなぁ、先生。どひゃひゃっ、冗談はよしてください。ほら、この通りピンピンしてますよ~」


 私は自分の身体をさわさわしてハナキュンに言いました。ですがハナキュンは真顔のままです。


「実は、お前の内臓殆んど全部フリーズドライになっちゃって、使い物にならなかったんだ」


 ハナキュンは沈痛な声で言いました。

 おいおい、フリーズドライってなんだよそれ……。


「えっ?それじゃ私のお腹の中身は……」


「うむ、最新の人工臓器ととりかえちまった。残ったのは膀胱と卵巣と子宮ぐらいだな」


 ど、どひゃーっ!驚くなって方が無理でしょう。


「すまんすまん、お前に死なれては、巨砲学園のイメージダウンで経営が苦しくなるんでな」


 ハナキュンはそう言って頭を下げました。

 私は頭が真っ白で実感がまったく湧きません。


「それって、サイボーグって事ですか?」


「そうだ」


「もしかして、百万馬力になったとか?」


「いいや、それは断じて無い!」


 ハナキュンは自信を持って言い切ります。

 『な~んだ、百万馬力じゃないのかぁ、いやいや、そこじゃないだろう』という考えが頭をよぎります。


「……もう、人間じゃないんですか?」


 私は恐る恐る聞いてみます。


「うむ、人間とは言えなくなったかもな」


 ありゃりゃ、そうなのかい?言い切っちゃうのかい?


「で、高城、あの事故は偶然に起こったものじゃないんだ」


「へ?」


「何者かによるテロだということだよ」


 むむむ、『私の内臓をムダにゴミにしやがって』という怒りの感情が湧いてきます。乙女の新鮮なホルモンやレバーの恨み……。


「誰の仕業なんですか?」


「恐らく、中華連合の工作だろうって事だ」


 ペキニーズやシャンハニーズの奴等か……。


「それからな、言いにくいんだが、お前の体の改造費な、ちょっと元手がかかてな……

 まあ、元々学園を狙ったテロに巻き込まれた訳だし、なんとか会社で入っている社会保険にねじ込んだんだが、総額で五十億円程掛ってしまったんだ」


 ハナキュンがなんか凄い事をサラリと言ったような気がします。


「へ、へぇ、すごい金額ですね」


 なんか、良からぬ予感がしてきました。


「サイボーグ用のパーツや測定器を軌道まで打ち上げるので、ちと費用が嵩んでな。

 なに、お前の個人負担分はたったの五億円だ」


 ええっと、私の口元が引きつっているのは、気のせいでしょうか?


「ご、五億円$$!」


 お終いです。人生終わりました。私はきっと性奴隷サイボーグとして一生を終わるのです。


「そ、そそそんなお金、どこにあるというんですか!」


 私は血走った目で叫びました。


「ま、まあ落ち着け、学園側もお前にそんな金が払えるとは思ってない」


 ハナキュンは私の頭に手を置いて言いました。


「そこで相談なんだが、改造されてしまったお前の能力を生かしつつ、お前をそんな恥ずかしい身体にしたテロリスト共に復讐できる仕事があるんだが、やるつもりはあるか?」


 うおっぷ!こいつ何気にあたしの身体『恥ずかしい身体』っていっとるがね@@


 しかし、何だかおいしそうな匂いのする話です。


「ご、五億円の借金は無しですか?」


「おう、お前がその仕事をやってくれるなら、キャノラーの倍の給料は保証しよう」


 さ、更においしそうな話です。

 んー? 私ってテロに巻き込まれて、殺されて、勝手に改造されて、知らない間に五億円の借金背負わされて……はて? ……こんな流れで良かったのかしらん? ……まあ、考えるの苦手なんでいいでしょう。


 そうと決まれば、早速私の趣味と実益を満足させる腹黒い交渉をしようではありませんか。


「じょ、条件があります」


 私は思い切って言ってみました。


「な、何だ?」


 ハナキュンは何故かギクッとしながら言いました。


「ハグしてください」


「☆!ハグ?」


「そうですぅ、今すぐです」


 ハナキュンは複雑な表情をしていましたが、私の頭をぎゅっと抱きしめてくれました。

 うおおおぉ、でかメロンパン初ゲット!

 ふかふかですが芯がみっちりあって気持ちいいですぅ。


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