第1-6話 シティアドベンチャーって、何だ!?
冒険者のランクは、ランクEが最低の新人、ランクDが下っ端、ランクCが一人前、ランクBが上級者、そしてランクAがトップ、多くの冒険者にとってランクCが出世の限界で、ランクBに上がれる者はごくわずか。その代わりにランクB以上には様々な特権が付随する。
そして、冒険者個人のランクとは別に、パーティーランクも設定されている。パーティーメンバー全員の平均値がパーティーランクとなり、このパーティーランクが上がれば、受注出来るクエストの難易度も、報酬も、得られる名声も、責任も上がって行く。言い換えれば、
冒険者ランクの低い者、パーティーランクの低いパーティーは、いつまで経っても日の目を見ることは無い…
※ ※ ※
「冒険者って言っても、あたい達は専らシティアドベンチャーばっかなのよ…」
『南都』の大通りを歩くアゲハと2人の女性冒険者。ソフトレザーアーマーのスカウト…ヒサゴという名前らしい…は言った。
「モンスターとは戦わないの!?」
アゲハが問うと、
「私達女は重い武器は持てないし、重い鎧も着けられないから…」
もう1人の女戦士…レッカが言った。彼女の鎧も、金属鎧と言っても大事な所だけ金属で補強したハードレザーが主材料の様だ。ついこの間まで見慣れていたパラディン達『北都』の冒険者達と比べても明らかに見劣りする。
「かと言って、男達のパーティーに入るのもねぇ…」
「敵じゃなく味方に襲われない様に注意しないとね…」
「そういう訳であたい達、なかなか実績を詰めないのよ…」
2人とも、冒険者ランクはDらしい。当然、パーティーランクもD。
「それで…アゲハには差し当たって、あたい達が受注してるクエを手伝って欲しいんだけど………」
そう話しながらアゲハ達3人は路地裏に入って行く。
「あなた達のクエストって…」
「依頼者はとある物件の大家さんで、依頼内容は………問題のある住人の立ち退き交渉。情けない事にこれが苦戦してるのよ、あたい達………」
※ ※ ※
ヒサゴ達に連れて行かれた先には、見慣れた顔が待っていた。
「………どんな強面連れて来るかと思ったら…また女で、しかもあんたかい…」
ロクスケのスクロールショップの大家の老婆だった。
「言っとくけど、今更頭数増えたって、報酬は増えないよ!!」
いつまで経っても成果が出ない事に大家も立腹の様だ。
『家を貸した男がよりにもよって素性を隠した盗賊だった。厄介事になる前に追い出して欲しい。』それが大家の依頼だったそうだ。相手が盗賊というだけで追い出そうとすると間違いなくトラブルになるし、最悪、盗賊ギルド自体を敵に回す危険性もある。おまけに街中で武器を抜いて大立ち回りをする訳にも行かない。中々に面倒で、デリケートなクエストだ。
「こ…今度こそ追い出して見せるから、もう少し待って下さい。報酬の増額も無しで結構です。あたい達3人で山分けするから…」
ヒサゴが愛想笑いをすると、大家はフンと鼻を鳴らして、
「全く…『南都』もアタシの若い頃はもうちょっとのんびりした街だったのに、『離宮』の王様達が一年中居着く様になってから変な人が増えてしょうがないさね…」
※ ※ ※
大家と別れ、再び路地裏を3人で歩く。
「さっきの『南都』に増えた変な人って、私達も含まれてるのかね…」
「すまじきものは冒険者、ってね…あたい達は養育費で縛られてるから、勤め上げるまでの辛抱さ。」
「かと言って、『ビキニアーマー』なんて願い下げだしね、ハハハ…」
レッカとヒサゴが言った。彼女等もまた『南都』の冒険者と言ったところか…
冒険者は能力次第、腕次第でいくらでも上へ上がれて稼ぐ事が出来る。言い換えれば、能力の低い者、志の低い者は、いつまで経っても日の目を見ることは無い。
「…ま、本当言うと、追い出しの算段はもうついてんだ。その切り札はアゲハ、あんたの魔法って訳さ。」
ヒサゴにそう言われてアゲハは、
「…さっきの報酬の話なんだけど………」
※ ※ ※
数分後、ロクスケのスクロールショップ…
ギィ… 入口のドアが軋んだ音を立て、アゲハが中に入る。
「………なんだ、またお前か………」
店主のロクスケからはいらっしゃいの一言も無い。アゲハは棚に雑然と置かれたスクロールの1つを手に取り、
「…あんたに頼みがあるの…」




