第3-7話 魔法戦士って、何だ!?
「さあ、これで誤解も解けたろう。これから開店準備だから、もう出てって…」
ロクスケは言ったが、レッカが、
「待って、ロクスケ…私…魔法が使える様になれないのかな!?私、やっぱり強くなりたい!!」
するとアゲハは真面目な顔で、
「そうね…レッカのその悩みは、今のままだと今後もずっとつきまとうと思うの。自分で納得がいく形で解決しないと…魔法を覚える事も、その手段の一つだと思うの。」
「あたいもアゲハに賛成かな。」ヒサゴが言った。「うちのパーティーはこれからも新しい前衛を入れなきゃならないんだけど、レッカが俯いてたら入ってくれる人はいないと思うんだ。うちに入っても幸せになれるイメージが出来ないだろうからさ…だから、あんたには自信をつけてもらわないと。」
「アゲハ…ヒサゴ…やっぱりそうだよね……」
メンバー達からの指摘に言葉が詰まるレッカ。ロクスケは慌てて、
「ちょ…ちょっと待てよ!!そいつの魔力で使える術式は、この店には…」
「無いなら作って!!これはあんたが言った事よ!!『魔法は作れる』って!!」
「そうですわ!!私やアゲハさんの時の様に、レッカさんの問題も、きっと解決出来ますわ!!」
アゲハとキュリアに言われて、ロクスケは頭を掻きながら、
「…ま、魔法使いだけを相手にしてる限り、『南都』じゅうの魔法使いに術式が行き渡ったら、うちの店は潰れちまうからな。一般人も買いに来てくれる魔法か…それなりに金も手間もかかる事になるぞ!?」
「ロクスケ…あたしも手伝うから!!」
「私も、治癒魔法の事でしたらお手伝い出来ますわ!!」
アゲハとキュリアの言葉にレッカが、
「アゲハ…キュリア…ありがとう…」
「…ところで、レッカにこの店の魔法は使えないって、どういう事!?」
アゲハが言うとレッカが、
「ああ、何でも、うっかりスクロールの封印を破った例が何度も起きたとかで、対策したそうだよ。」
キュリアとアゲハは顔を見合わせて、
「それは…対策は必要ですわね。」
「ええ…あんな事がまた起きたら大変だから、ね!ロクスケ!!」
「むしろ遅すぎたくらいですわ、ね!ロクスケ様!!」
「…だから悪かったって………」
アゲハとキュリアに睨まれて、頭をすくめるロクスケであった。
※ ※ ※
「さて………レッカの問題を解決する前に、基本的な事からおさらいして行こう。レッカがこれから魔法を覚えて強くなって行くとしたら、『魔法戦士』を目指す事になるんが…お前等、魔法戦士がどういう物か、知ってるか!?」
ロクスケが問うと、アゲハ達が、
「そりゃ、剣も魔法も使えて…あれ!?」
「鎧着て剣持って、魔法もバンバン使って…え!?」
「治癒魔法も強化魔法も…あら!?」
各々がそのイメージを述べ、皆途中で首をかしげた。
「「「その人、どこでどうやって剣も魔法も覚えたの!?」」」
例えばアゲハは、自分がこの他に剣の使い方を覚えろと言われても、無理だと思った。
「剣も魔法も極めるには、人間には時間が足りないんだよ。だからいる訳無いんだ、そんな超人。」
「そう言えば、『北都』にも魔法戦士って、いなかったわね。『南都』でもほとんど見かけないけど…」
「じゃあ、現実の魔法戦士って…」
「剣も魔法も中途半端にしか使えなくて、その両方を組み合わせて、何とか戦ってる奴なのさ。これは、俺自身も人づてに聞いた話なんだが…」ロクスケは思い出す様に言った。「…今から半世紀程昔に、海の向こうの異国にも、そういう『魔法戦士』がいたそうなんだ。武装は革鎧にショートソード、それ以上の重い物は装備出来なかったらしい。そして魔法もほんの少ししか使えなかったらしい。弱体魔法に強化魔法と治癒魔法、それぞれ単体対象の物だけしか…」
「それって、本当は十分すごい事なんだろうけど…」
「パーティーに居場所は無いだろうね…万能選手よりそれぞれの道の専門家にいて欲しいから…」
「ああ。実際そいつも、いくつものパーティーを追放された挙句に、魔法の使えない女戦士と出会って、そいつとコンビ…少人数のパーティーを組んで、ゴブリンとか、人型モンスターを狩って活動してたらしい。」
「まあ、そういう奴が冒険者としてやって行くには、少人数パーティーの何でも屋しかないね。」「でも、少人数だと、不測の事態に対処出来ない危険が伴う上に、大型モンスター討伐は出来そうに無いわね。」「ああ、だからさっきアゲハが、『「南都」でもあまり見かけない』って言ったわけか。実際は何人かいるだろうけど、少人数パーティーで小型モンスターばっかり狩ってるから、上へ上がれず印象にも残らない…」
女達の言葉にロクスケは頷いて、
「どのみち、レッカにはそんな既存の単体魔法も使えそうにないから、今の話の魔法戦士を目指すのも難しいだろうな。ま、この魔法戦士は、最後には英雄にまでなったらしいけど…」
「え!?一体どうやって!?今の話だと、そんなに大きな活躍は出来そうにないけど…」
アゲハに問われたロクスケは眉をしかめて、
「ああ、それがな、どうにも眉唾物なんだが…そいつはどうやら、『脚の代わりに車輪が2つ付いた、魔法で動く馬』の様な乗り物を造って乗り回してて、辺境の村がゴブリンの大群に襲われそうになった時、馬でも馬車でも間に合わない距離を、相棒と一緒にその『魔法の馬』で駆けつけて、ゴブリンを全滅させて、村を救ったらしいんだ…」
アゲハとキュリアは呆れて、
「何それ、訳分かんない。」「やっぱり、作り話なのではありませんの!?」




