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ファイヤーボールって、何だ!? 〜呪文屋ロクスケは術式を走らせる〜  作者: 白洲詠人
第一部 ファイヤーボールって、何だ!?
19/85

第1-19話 アップグレードって、何だ!?

数日後、ロクスケのスクロールショップ…


ギィ… 入口のドアが軋む音を立てると、


「よく来たなアゲハ、待ってたぞ!!」

ロクスケが明るく出迎えた。今日は何故か興奮している様だ。


「どうしたのよ唐突に…」

その態度にアゲハは困惑した。だが、ここ数日、ロクスケは何故か愛想が良い。


「これを見てくれ!!」

そう言ってロクスケは巻物を開いて見せようとする。


「ちょ…ちょっと!!」

アゲハは慌てて目を背ける。ロクスケのスクロールを開いた時にどんな効果があるか、アゲハは身に覚えがありすぎる。


「安心しろ、これはまだ『処理』してないから、見てもお前に設営されない。」

「あ、ああ、そうなの…」何とか納得してアゲハは巻物を見る。何だかんだでロクスケの呪文書には興味がある。


     ※     ※     ※


spell fireball(position,rmax,rho,nmax,joule,ft,phit,thetat)

:

materialarray=array(phlogiston,oxygen)

molearray=array(2,1)

:

form ball(a,position,rmax,rho,nmax,materialarray(),molearray())

:

end spell

:

subroutine ball(a,position,rmax,rho,nmax,materialarray(),molearray())


ncount=ubound(molearray)


n(0)=0

for j=1 to ncount

n(j)=n(j-1)+molearray(j)

next i


for i=1 to imax

call randomball(a,position,rmax,imax,i,r,theta,phi)

if mod(i,n(ncount))>=n(i-1) and mod(i,n(count))<n(i) then

call createcluster(a,material(i),mole*nmax,position,r,theta,phi)

endif

:

next i

:

end subroutine


     ※     ※     ※


「…よく分からない物が増えてるわね。”materialarray”とか、”molearray”とか…”array”って、隊列(アレイ)!?…でも何で、括弧がついてるのかしら!?」


「それは配列(アレイ)だ。材料とモル数を1まとまりにして、サブルーチンに送る様にしたんだ。」

「そう言えば、”materialarray”はフロギストンとオキシジェン、”molearray”は2と1って書かれてるわね。でも何でわざわざこんな風にしたの!?」

「混合する元素の種類を不定に出来る様にしたんだ。これまでのやり方だと、元素の種類数ごとにサブルーチンを使い分ける必要があったから。でも、その制限が無くなったんだ。どうだすごいだろう!?」

興奮するロクスケだったが、アゲハの反応は冷淡だった。


「今の”ball2”で十分なんじゃない!?物が燃えるのに必要なのは、熱の他は可燃物とオキシジェンだって言ってたじゃない。2種類しか使わないでしょう!?」

「将来的に他に応用も効くだろう!?」

「ああはいすごいすごい…」言いながらアゲハは陳列棚からスクロールを取ってカウンターに置く。「これ、いただくわ。」

『ストーンバレット』の呪文書だった。

「お…おう、毎度あり…」唐突に商品が売れた事に戸惑いつつロクスケは例によって金貨5枚を受け取る。「お前、最近大活躍みたいだな…」


「ようやく男共と肩を並べた程度よ。あたし達はもっともっと強くならないと…」


スクロールを受け取りながらアゲハは言った。


そう。彼女はもっともっと強くならなければならない。そしてそれには、ロクスケの術式が大きな武器になる。術式へのより深い理解と、応用が必要だ。


以前、アゲハは『ファイヤーボール』の術式の、周囲の球殻を厚くするという、本来想定していなかったであろう使い方をしてみせた。そして今回、ロクスケは『ファイヤーボール』の術式の混合球の構成元素の種類数を変更出来る様にしてみせた。


ロクスケは以前言っていた。『昔々の誰かが魔法の呪文を作ったんだ。なら俺にも出来るはずだ』と。なら…


アゲハは思った。『昔々の誰かや、ロクスケに出来た事が、あたしにも出来るはずだ、』と…


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