38 君のことは分かるよ アリスside
マロウ家の子息の名はアシェルと言った。
彼の先の戦争での殺戮の言い分はこうだ。木の人形は寿命があって、それを過ぎてしまうと魂が腐って悪霊になってしまう。
放っておくと災いになるという。
それは、ゾンビのように人を襲っては増殖していく。
それに気づいた彼は、寿命が近づいた木人形を滅する為にこの国へ訪れた。
すると王を含む城の大勢が寿命を迎え悪霊になりかけていたので結局戦になってしまった。
この地で自生しているオベチェという木材は普通に加工に使われているが、木人形には向かない為その寿命が極端に短いということが、彼の研究で明らかになったという。
それが本当なら、彼は人助けをしていることになる。
「アリスに何回も手紙送ったんだけどね。
お城でも、アリスを訪ねても丸っきりムシだもん。
僕不安になっちゃって、暴れちゃった」
どうやら、アシェルが私を探していたのは本当のようだ。
「ふぅ~ん、記憶喪失なんだね·······
どうして·······」
アシェルはハッとしてカインを見た。
「君は寿命じゃないね?」
「何言ってるのよ!当たり前じゃない!カインは生身の人間よ!」
「ふぅ〜ん」
アシェルは勝ち誇ったように笑った。
私はなぜか、背を汗が伝う。木像だけど。
「これは、二人で講和会議しないとだね。アリスの部屋に行こう」
「待て!」
カインが激昂している。
「カ、カイン?心配しないでね?
私、ちょっと行ってくるわ」
ホホホッ私は乾きながら、笑った。
「もう、結婚できる歳になってたなんて、驚いたよ」
私の自室で、私はアシェルに覆いかぶされてほぼ襲われているけれど、木像なのでそこまで気にしないで押し返して答える。
「違う違うっ私は12歳よ!
······これは理想を再現したらこうなったのよ」
「え!?生身はまだ子供なんだね!
アリスの作品は強力な魔法で守られてるから、本当に、見分けがつかないくらいだよ。
············あ〜良かったぁ〜」
「何でそんな事気にするのよ?」
「前世のトラウマだよ。僕、うかうかしているうちに好きな人に嫁に行かれちゃったんだ」
「ええっ!······悲恋なのね!」
アシェルにも前世があったなんて驚きだ。しかも悲恋だなんて。
「いや、悲恋じゃないよ?その後取り返して結婚してるし」
「えっ、えー!」
強奪愛!?
「アリスの前世だよ?」
「はあ?」
「まあ忘れてるよね······8年前のことも忘れてるしね。
忘れ事の天才だよね」
「う、うーん?」
全く記憶に無いわよ·························?
ゴホンッ!アシェルは咳払いをする。不機嫌そうだ。
「もう、いいよ。
それより本題だよ。
アリス、カインに何をしたの?」
「え!?、な、何も?」
「カインって木人形だよね。高級なエイダンの木を使ってるから、寿命はまだまだ長そうだけど。」
私は呆然となる。
「カインが木人形··········?」
「僕が思うに、アリスは戦争で喪った人たちを木人形で生き返らせて、皆が木人形だって思い出さないように暗示をかけたんじゃないかな?」
「そう·····················································なのかな?」
「木人形は自分が木人形だと知った時に死んじゃうからね。
記憶の操作は僕の専門じゃないからアリスの記憶は戻してあげられないけど」
「·········」
「君がやりそうなことは、分かるよ」
そう言って、アシェルは優しい目で私を見た。
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