表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/94

【転3】周平VS湊ではなくて・・・


周平視点


 唐突の具視一号の出場停止。

 理由を聞きに行くと、髪型は校則上ギリギリ範囲内だが、額に肉と書くぐらいならお咎めなしだけど、ほぼ上半身が色鮮やかに彩られるのはタトゥーを想像させるし、いじめの可能性があると周囲に思わせる可能性があると至極まっとうなお言葉を校長先生から直々に頂いた。

 納得して撤退する。ごねるかと思っていた周囲に聞かれるが校則の範囲で遊ぶからこそ面白いのであってそれを超えて大人とぶつかり合うのは無駄な労力だ。


 かなり落ち込んでいる具視達と一号に落書きした女子達を慰めて今後を考える。


「眞子さん落ち込んでいるところ悪いけど交代できる男子を選ばないといけないから」

「あ。そうでしたねっ」


 慌てて誰がどの競技に出たか書いてあるノートを眞子さんは見てくれる。

 なんとなくは予想はついているんだ。 

 生徒は個人最低一種目、最大は個人三種目団体戦一種目出場することになっており、我が六組はほぼ全員が三種目を出ている。リレーには友人を含め早い連中で固めていた。


「男子で交代できるのは周平君しかいません・・・」

「だよね~」


 少し顔を青くした眞子さんが告げる。

 だって男子の中で俺だけ一種目しか出ていない。

 全力で走ると身体に負担のかかる俺は梅ちゃん先生通して教師に、クラスメイトにも無理は出来ない体とは伝えているので一種目ですんだのだ。ただし作戦立案で貢献はした思う。


「大丈夫ですか?今からでも出場制限を超えても出れるように交渉して」

「それはルールを超えるからダメだよ。ただでさえ具視達や俺達の所業を見守ってくれたのに、俺達が不利だからで変えたら他のクラスからも苦情が多分出る」


 心配そうに聞いてくる眞子さん。知っているもんね俺の身体の貧弱さを。でも出れないわけではないのだ。そういうやつがいるのに種目制限を取っ払えば他のクラスは確実に怒り出す。


「でも本当に大丈夫です?」

「う~ん、無理しなければ大丈夫なんだけど、確実に負ける」

「無理すんなよ時東」

「そうだよ楽しく終わるのが体育祭なんだから」

「負けたら時東は貞操の危機か~」

「「「今となってはそっちが面白いっ!」」」

「お前ら次何かあったときは泥沼作りじゃなくてもっときついノルマを課すからな」


 クラスメイトは俺が負けるの受け入れてくれた。

 みんな笑っている。

 お前ら俺の身体能力で湊から逃げるの雨乞い2よりハードなんだからな。


 まったく上手くいかないものだ。全学年での勝負では一組と六組では地力の差がさらに開いて勝負にならないし、足の引っ張り合いの泥沼は良かったが残りが一種目しかない。本当に俺は詰めが甘い。

 もうついででしかないが先ほど行われた集団競技で全学年一組の優勝は決まった。結束力が他のクラスと違い過ぎた。集団競技ではもろに影響が出ていた。


『学年別対抗リレーに出場選手は入場門集合してください』


 呼び出しの放送がされる。


「ま、ほどほどに頑張ってくるわ」

「「「ひとりで主人公みたいにして行くなっ」」」


 おっとリレーだから仲間がいることを忘れていた。


 俺を加えた四人で集合場所に歩いて行く。女子二人に俺ともう一人男子、具視ヘアーではない男子だ。


「三人に聞くけど一組に勝てる?」

「無理だな。あっちは一年で一番早いやつが時東の相手。俺の相手はまあ勝てるんだが」

「私の相手穂高さんなんだよね~マジ無理~」

「私も喜多園さんだよ。あの子も結構早いよね。よくて接戦ぐらい」

「だよな~だからウチの最終兵器バカを出したのに」

「「「本当のバカだったね~」」」


 本当だよ、あのバカは学年じゃなくて学校で一番早いから全てを覆せる配置にしていたのに。

 学年別で点数が入る競技がもっとあれば、いやもう少し競技に目を通しておけばリレーに俺が出ても勝てたのに。湊にも体育祭を本気で取り組ませようと考えたせいで、自分で勝率をほぼゼロにしてしまった。

 そして無理するなとクラスメイト達から釘も刺されてしまう。


 集合場所に集まるとすでに他のクラスも上級生達も集まっていた。

 もちろん湊が率いる一組もいる。チラリと湊が俺を見るがすぐに仲間達との会話に戻った。

 うわー本気モードの湊だよ。怒っても嫉妬でもない勝利を獲るモードの湊だ。いや望んだのは俺だけどさ。


 すぐに係の生徒がやって来て俺達は整列させられる。


『本日最後の競技、学年別対抗リレーの選手が入場します』


 アナウンスが流れて俺達はグラウンドに歩いていく。

 二百メートルトラックを半周ずつの男女混合リレーなので第三走者の湊と俺はちょうど正反対の位置に別れる。俺の目の前にはちょうど六組の応援席があって、応援と具視のコントが行われていた。こいつらは俺を応援したいのか邪魔したいのか悩むところだ。後でバリカンで綺麗に刈ってやろう。


 軽くその場でストレッチをして体の具合を確かめる、うん疲労がやズレの感覚はないから100メートルぐらいなら走れるだろう。ただし全力は禁止されているんだよな。筋肉はかなり落ちているから全盛期の速さは出せないと思うが、やっぱり関節に負担がかかるんだよ。

 仕方ない無理せず省エネモードいくしかないか。


「お前が時東か?」


 人が勝ちを諦めて落ち込んでいる時に後ろから声を掛けかけられた。振り向くと男子が一人いる。体操服のラインの色を見ると俺と同じ学年だ。足が長くいかにも走りそうな体格をしている。

 確かこいつ一組のだったような。なんでそんな敵意丸出しで俺を見ているんだ?


「お前最低な奴だな」

「はい?」


 いきなりディスられたよ。


「穂高さんはあんなに頑張っているのにお前はクラスの連中とバカ騒ぎして彼女に迷惑を掛けるだけかよ」


 何言ってんだコイツ。


「お前なんかに穂高さんは任せられないこのレースでどっちが彼女と付き合うか勝負だっ!」


 ・・・ああ喧嘩売ってんだなコイツ。



 友人視点


 ヤバいヤバいヤバいっ!

 馬鹿が核ミサイルのボタンの蓋を開けやがった。


 ちょうど俺達の目の前に周平がいたからからかっていたら、馬鹿が周平の逆鱗に触れかけているのが聞こえてた。俺は耳がいいから聞こえてしまった。


「眞子ちゃん眞子ちゃん、いま周平と話している奴わかる?」


 俺には興味が無いから同じような顔にしか見えないんだよ。輪郭とかそういうのはわかるが、人の顔として見えない。


「ん~あ、最初の100メートル走の一番走者で一位を取った一組の男子です。一位を取ったのに悔しがっていた人だから覚えていましたよ。どうして悔しがっていたんですかね?」


 あ~思い出した。がっつり睨まれていたのは覚えている。なるほどね湊ちゃんに告白するの邪魔されたから睨んでいたのか。

 だからこのリレーで周平を負かしたら湊ちゃんを彼女にするとか狂ったことを言っているのか。

 どうして恋に狂った連中は愚か者が多いんだろうか。


「おお~い具視軍団最後の花を咲かせるぞ~」


 ちょっとその勘違いのバカ野郎を救ってやるか、俺は親友にあまり手を汚させたくないからな。


 え、眞子ちゃんも一緒に来るの?クラスの責任者として?あんまり面白くないよ、ただ恋に狂った奴の心を張り倒して目を覚まさせるだけだから。


ひさしぶりの友人視点です。

前は馬鹿教師に絡まれた時、校長を召喚しました。

今回は恋する馬鹿が周平の核ミサイル級の逆鱗のスイッチの蓋を開くとこまでしたので、友人は動き出しました。

眞子がついて来るので少し困ってます。


補足

湊はリレーに周平が出ることに内心かなり驚いています。ただいまはリーダーとして勝利を得るために活動しているので、必死に動揺を隠して無理をしないでと願っています。


いいね、評価、ご感想、ブックマークを頂けると筆者が悦びでのたうち回ります。

面白い感想をくださいっ!

周平達がご感想で後書きみたいに喋ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ