北条光〜壱〜
はぁ、下らない。
「な、なぁいいだろ?随分遊んでるんだしおじさんの相手とか」
「い、急いでるので…」
「べ、別にいいじゃないか、ほらお金ならたっぷりあるよ?」
てめぇが気持ち悪いから断ってんだよ。
「ほ、本当に急いでるので…」
「だ、大丈夫だって、す、すぐ終わるよ」
コイツ、言っても聞かねぇな。
「ちょっとおじさん」
おっさんの肩に手がポンと置かれる。
「な、何だね?君は?」
「ちょっと『あっち』で話そうぜ」
おっさんは連れてかれた。
は〜南無南無。
「はぁ…やっべ!遅刻する!」
────────────────────────
ゴーン…ゴーン…
な、何とか間に合った…
「光ー今日随分遅かったねー」
「道中おっさんに春売らないかって持ちかけられてさー」
「あーね」
全く、こちとらピッチピチの高校生だってのに。
「それよりさー」
「何ー?」
「一時限目見たー?合同演習だってー」
合同演習?
「"上"と?」
「そ」
今更何を学ぶってのか。
基礎は固まったし、習う事なんて無いと思うんだけど。
「習う事ある?」
「そりゃあんた見たいな天才は無いだろうけどさ」
まあサボる訳にもいかないしなぁ。
どんなのが居るか見ときたいし。
────────────────────────
『そいじゃーこれから合同演習を始めるー礼ー』
「お願いします」
『はい宜しくー』
え?終わり?
『どしたー?早くグループ作れー時間は有限だぞー』
「え、ええっ!?」
こ、これが教師?職務怠慢な気がするが。
キャラを作り、声に出す。
「何方か一緒に組みませんかー?」
帰ってくるのは大声。
皆んなが私と組もうと躍起になっている。
「(あ、暑苦しい)」
所詮は男共。
女声一つでコロリと此方側になる。
「(ん?)」
不意に目をやるとポツンと端に座る人が居た。
やる気が無いような素振りだ。
「(面白そう)」
私のセンサーが反応した。
悪く思わないで欲しい。
「せーんぱい!私と組みませんか?」
「…」
あ、あれ?聞こえてない?
「あ、俺?」
「そうですよ、当たり前じゃ無いですか!」
「といっても、何やる?」
えー?ハズレ引いたかな?
「俺、あんま強くないよ?」
「えーそうですか?強そうに見えますよ?」
「そう?俺としては此処でのんべんだらりとしてたいけど見てよあれ」
先輩が指差した方には此方を睨む紫煙先生。
「…あー、心中お察しします?」
「いいよそういうの…」
さ、やるかと言いながら先輩は立つ。
「やるこた簡単。制限時間…まぁ今回は30分ぐらいの間に俺から『これ』を取る。それだけ」
「えー、簡単じゃないですか?」
「無論俺も『これ』を取られない様に抵抗はするよ」
成程…其れを掻い潜って取れれば勝ちと。
「さ、始めるか」
「お願いしまーす!」
直ぐに終わらせてやる!
そう一歩踏み出した瞬間。
「!?」
体中を衝撃波が走った。
「あ、あぁ、かはっ」
「やべっ、やり過ぎた!?」
呼吸が出来ない。
体も碌に動かず、『死ぬ』ってこんな感じなのかなぁ。
「おい、何してんだお前」
「違うんですよ先生、ちょっと力込め過ぎた的な?」
『ちょっと』?
ちょっとでこれ?本気なら…
「責任持ってお前が連れてけ」
「いや男が行くってのはちょっと…」
もし本気だったら…と思うとゾッとする。
「ほら、泣き始めたぞ」
「あぁ分かりましたよ!」
先輩が此方に近づいてくる。
「あぁ、嫌…」
「嫌々言ってる場合か保健室いくぞ」
先輩におぶられ、連れてかれる。
────────────────────────
ガラガラ…
「失礼しまーす」
「はーい」
「コイツ頼みます」
「はーい」
あっ…
「その、ありがとうございます」
「ん?いいよいいよ元々は俺が悪いし」
「いえ…」
情けない、『学ぶ事は無い』とか言ってた癖に。
「じゃあ、俺帰ります」
「はーい」
────────────────────────
「…」
「光ー元気だしなよー」
大恥をかいた。
「絶対勝ってやる」
「へ?」
「このままじゃだめだ!」
もっと訓練して強くならないと…
────────────────────────
「い"っきし!」
「ひびき、かぜか?」
「まじかぁ?」
このお話は『あの時、違う選択をしていれば…』
見たいな感じです。




