出会い3
この小説は、迂闊十臓さん(@ukatujyu)のイラストから着想を得た小説です。
迂闊さんには、イラストイメージの使用を許可していただき感謝いたします。
「四番機ガニラ少尉、《天使》を発見。九時方向に一機」
自分が捕らえたモノを思考通信で全員に伝達する。
《天使》一機で、戦闘機一小隊分の戦闘力があり、現状、バイコーン中隊で相手にできるのは《天使》一小隊相当だが、やつらに小隊という概念は存在しない。単機でバラバラに攻めてくることもあれば、複数で襲ってくるときもある。
バイコーン中隊全員に隊長の思考が流れると、全機一斉にそちらへと機首を向けた。
各機がそれぞれ雲を引きながら大きく弧を描いて、《天使》へと向かう。
『ガニラ機は当機と、ヒライ機はイライザ機と組め。行くぞ』
隊長の命令一下、二機編隊で発見した《天使》めがけて飛ぶ。
四機は、《天使》に向けてパルスレーザーの雨を降らせていく。
方解石を思わせる結晶体の透明な翼と十メートルほどのいびつな人を模した白い体に、いくつもの黒い穴が浮かび、瞬く間に体のあちこが炭化していくが、《天使》はまるで意に介さず、
――Aaaaaaaaaaaaaaaaaaa――
音と光がミックスされたような、不可解な波動を発した。
その波動は思考通信に割り込んでバイコーン第一小隊の意識をノイズによって支配した。
これが、《天使》一体で一小隊分の力があると言われる原因だ。
アンヘルの操縦をほとんど思考で行うパイロットにとって、このジャミングは致命的だ。運動神経のセンサー感知で操縦するタイプならまだやりようはあったのかもしれないが、現在では操縦や機器操作の大部分が思考制御に置換されるようになっており、こればかりはどうしようもなかった。