第02稿08話~垂らした餌に魚は食い付くか4~
投稿していなかった……すみませぬ。
__遊び人|執務室
「今日の予定は王子殿下達は市場への視察、勇者PTと我が息子はその案内兼護衛。ロックオンとカタナの両名はFF商会付近にて待機という形になる」
「分かった、連絡は俺とカタナで一応取れるから。どういう状況になったら合図出せば良いんだ?接触してきた瞬間か?」
「接触して王子殿下と話した瞬間なら我が息子が何しようが声出さなければ認識すら出来ないでしょ?そのタイミングかな」
「了解」
「市場は食べ物沢山あるって聞いた」
「そのとおりです王女殿下、屋台が沢山並んでるので楽しんでください。ゴートが一緒に居れば私の所に請求が来るようになっているので」
「いや、所持金は幾ばくかある」
「しかし、体裁が一応ありますので」
「ならこのぐらい渡しておこう。余った分は領地に回すと良い。俺の妹は家族以外の用意した金だと気後れして美味しく食えないんだ」
王子が小袋を父に渡す。
「それは、また難儀……おっと奥ゆかしい性格をしているね。取り敢えずは了解した。ではこれを小遣いとしてお渡ししよう。余った分は返さなくて良いよ」
父がその小袋をそのまま王子に渡し返した。
「ユウ・トキトー。お前の父親良い性格してるな」
「良い性格してるんだよ。困ったことにな」
「まぁ、嫌いではない」
「外面に騙されるなよ」
「今は息子の友人フェイスだからね。オンオフをしっかりするタイプなんだ私は」
「オフでも仕事割り振ってくるけどな」
「一応視察は仕事だけど私の代わりに息子も行くし大丈夫だろう」
__忍者|FF商会周辺
「ほー、ココが件の建物でござるか」
ロックオンと拙者はFF商会の建物の近くまでやって来ていた。
「ビルみたいだな……ココだけ目立つし。取り敢えず屋上に上がろう」
「了解でござる」
背中に羽を作りロックオンを抱えビルの様な建物の屋上に運ぶ。
「あとはここで時間まで待機だな」
「ふむ、壁は土っぽいでござるな。屋根は木材でござるか」
「耐久性は大丈夫なのかな?」
「何時倒壊してもおかしくなさそうな感じでござるな」
「壊した方が為になるか」
__遊び人|市場
「ここが市場だ。先に食べ歩きエリアでも案内しようか?」
「あぁ、頼む」
「人込みだけど。どうしようか。ゴートちょっと道作って」
「かしこまりました。お坊ちゃま」
ゴートが通りに出て手を上げる。
「失礼ですが道を開けて頂きたいのですが」
「おい、ゴートさんだ」
人混みの中の喧噪でも良く通る声が届いた様で店の人達がきびきびと通行人を誘導して道が出来る。
「ありがとうゴート」
「おお、ブレイク様だ。帰ってらしたのか」
ブレイクと言うのはまぁ、商会長としての名前みたいなものだ。
俺の名前は覚えにくいというか直ぐに頭から抜け落ちてしまうそうだ。
空気の呪いのせいなのかは分からない。
二つ名の様なモノとかだと物に関係する事で紐づけると忘れられないので本名で呼ばれる事が少ない。
父ですら名前が抜け落ちてる様で息子呼びだし。
「マジか、王都の学園に入学したんじゃないのか?」
「おい、あちらの方々を見ろ。王族の方もいるぞ」
「そりゃ凄い。視察の案内か」
「どこに案内するんだろうな」
道を通させてもらって食事街エリアまで来る。
「……あそこ行きたい」
王女が指さしたのは入った所にあった大衆食堂。理或堂亭という食堂だ。
美味しい物には理由が或るとか何とかいう理由でそんな名前らしい。
「分かった、じゃああそこに入ろう」
「いらっしゃい、いらっしゃい。おや、ゴートさん。こんにちは!お、その目はブレイク様も一緒に居るのですね」
「はい、お坊ちゃまもご一緒しています」
「久しぶりだな」
「おぉ、ブレイク様!お久しぶりです。ちゃんとご飯食べてますか?」
「あぁ、食ってるよ」
「今回はどうしたんです?学園に行ったと聞いていましたが」
「クラスメイトの王子様方がトキトー領を見たいって言ってね。それでここで食事をと思ったんだ」
「そうですかそうですか。当店自慢の魚料理を是非とも堪能してください」
「魚……」
「ではお席に案内致します。御座敷で良いですよね?」
「あぁ、頼む」
「ではどうぞ」
奥の部屋に案内され真ん中に焚火のある床の間に入る。
「今、椅子をご用意致しますね」
店主が木の椅子を運んできてくれる。
「木これは……囲炉裏みたいだな」
「これは魚の塩焼き。串に刺す奴。絶対そう」
王子と王女の反応が転生前の事を思い出す。そう言えば囲炉裏と言う奴だな。鮎の塩焼きを食べたことがある。
残念ながら貝や蟹がメインだが。
「おや、ご存知でしたか。新しく塩焼きも取り入れたんですよ」
「これは絶対美味しい」
「では少々お待ちください」
忍者と魔銃使いは屋根の上で待機しているのに、トキトーと王子ご一行と勇者は海鮮焼きに舌鼓を打つ。
次回、焼いた魚は美味しい。お楽しみに。
それでは皆様また次回。