第02稿05話~トキトー領への旅路4~
『この世界の人間は転生前の世界だと十分、神話生物だしな』
神話生物?聖書とかに出てくる神みたいなものか。確かに魔法が使える世界だしな。ここ。
『まぁ、神話生物は人の姿だけではないけどな。お、行けるっぽい。放浪者は大体、神話生物だと言う認識で良い。見る前に逃げろ。姿を見たら最悪。精神が崩壊する可能性がある』
え、放浪者って人間じゃないのか?聞いてた話と違う。精神崩壊ってナニソレ怖い。
『基本、人に化けてる者だ。世界を渡り歩ける化け物って事だな。寿命も無い。でも倒せば暫くは次元の狭間で漂う事になる。だから倒せば100~1000年位はそいつは出現したりとかはしないと思う』
忍者は倒せそうな気がするな。宇宙生物だし。
『戦闘力で見れば十分だな』
まぁ、アレだもんな。
脳内通話を一時中断して戦況を見る。
盗賊で生きている奴は居なさそうだ。護衛っぽいのがこっちに構えてるけど。
≪あー、テステッス。そこの商団、聞こえるっすか?ソッチに着くまで5分位っす。それまでに馬車を街道
からよけてくださいっす。よけなかったら轢き殺す事になるっす。鉄の塊、急には止まれないっすから。盗賊は全滅してあげたんでさっさと退くっすよー≫
なんて酷い警告なんだ。5分とか。
≪ッパッパッパラリラパラリラパー≫
口でクラクションを鳴らすな……暴走族かな。
「これは酷いでござるな」
「結構、五月蠅いわね。」
護衛と商人達が慌てて馬車をどかしている。
≪ハイ時間切れっす。発射。んお?ボタンが押せないっす!≫
「それは駄目でござるよ駄目でござる」
小声で忍者が何か言ってる。
「何がダメなんだ?」
「やられる前に回収するでござる!」
忍者が手を前に突き出すと。オブジェの触手が一斉にこっちに向かってきた。ホラーかよ。
何本もの触手が絡み合い一本になって忍者の手に吸い込まれて行く。
思ったけどあの質量をあの体の何処に仕舞って……いや、止めとくか。この世界で質量の事は気にしてはならない。
『魔法の鞄で頭パンクしそうだな』
止めろ言うな。最初使った時は狂いそうだった。
『値がガンガン削れててビビったわ』
ち?血が削れる?
『俺としたことが。何でもないぞ』
今のが言えないって事か?
『そう言う事だな。どっかの言葉で言うとお前のクリアランスでは認識する事を許可されてないって事だ』
「ふぅ回収完了でござる」
≪くっそー先に消し飛ばすつもりだったっすのに≫
悔しがっているノーライルの声が聞こえる。
「甘いでござるな」
何かノーライルVSござる忍者……ノーライルがプレデターか?
「僕の獲物もキッチリ回収したみたいだね」
「勿の論でござるよ!これで昨日消費したバランス崩れた分を賄えたでござる」
補給の為の盗賊退治か。慈悲を見せたわけじゃないのね。
「まぁ、襲われてるのを見逃すのは夢見が悪いし。全滅前で良かったね」
ロックオンは慈悲があった。
「しかし、まぁ、トラブルがネギしょってやってくるもんだ」
学園入学するまではトラブル何かスルーしてくれたのにな。
「成程でござる。ノーライル殿。あの商団にさっきのボタンを押すでござるよ」
慈悲が無さ過ぎる。
≪手が勝手に!≫
「犯人はノーライル殿。拙者達は関与していない」
忍者がゲスい。
ガチャガチャと装甲車が音を立てて砲塔が出来ていた。装甲車じゃなかった。戦車だったわ。
砲の先から青白い光が集まって爆音と共に青白いレーザーが発射される。耳が痛い。
「耳!耳が痛いでござるぅ!」
このエネルギ―元、ミクルなんじゃないか?大丈夫かな?
天井に付けられた入り口を開けて声をかける。
「おーい、ミクル大丈夫か?」
「ナントカ大丈夫。凄イ勢イデ魔力ガ持ッテカレタ」
「それなら良い。マナポの補給はいるか?」
「オ願イ」
「ほい」
「あ、私が持ってってあげるよ!!」
マナポを投げようと思ったら勇者が持ってってくれるようだ。
「あぁ、よろしく」
渡した後、直ぐに入り口を閉める。そう言えば撃った後どうなったか確認してないな。
「うわぁ、これは酷い」
商団が批難していた街道の脇、そこには抉れた地面だけで他には何も無かった。
「これされてたら回収してない血が勿体なかったでござるね」
「ビーム光線とかノーライルの武器は随分と近未来だ。」
プレデター説再浮上。
「通り過ぎたでござるな。止まる気サラサラなくて笑うでござる」