第01稿11話~行方不明、任務失敗、暗躍……続行?1~
忍者のSceneは何れと言ったな。アレは嘘だ。
__??|王都??
「これはどういうことだ!!」
報告を受けた男は激昂し豪華な椅子のひじ掛けに拳を振り下ろす。
「いえ、ですから38番隊が居た痕跡が見当たらなかったんです」
「アイツらがやった証拠は?」
「それも無いです」
「38番隊、父上に言い訳を考えなければ……」
室内に男が入ってくる。その男の首の後ろには黒い玉の様なものが付いている。
報告を受けた男も部屋に既に居た者の首の後ろにも黒い玉の様なものがついているが誰も気にしない。
「報告します。ダンジョン入り口で張ってた者達はダンジョン内から出てきた騎士団を見ていないとの事です。騎士団以外にダンジョン内から出てきた者は7名。勇者PTと件のPTだそうです」
「勇者PTだって!?勇者に掛かれば我が王国が誇る王宮騎士の一部隊も叶わないと言うのか……」
「どういたしましょう?」
「裏の者達に金を渡して襲撃させろ。くれぐれも勇者PTじゃなく勇者のお気に入りを狙うように、学園に入った呪子の2人も居たな。そいつらも襲撃のターゲットにしろ」
「おっと、そいつは困るっすね」
「お前……呪子達の……」
現れたのはクラスメイトのライダー、確か王子王女のお付きだった筈。
「狙ってくなら1人ずつの方が良いっすよ。俺っちと勇者両方を相手に生きていけるとは思えないっすからね。あと遊び人に付いてる二人もバカにしない方が良いっすよ。少なくとも10部隊纏めてぶつけてやっと殺せる位っすかねぇ」
「待て、何でそれを俺に教える」
「あわよくば俺っちの雇い主をなるべく殺さないでって話っす」
「仕方がないか、分かった。あの二人は向上心も野心も無いからな。殺す必要はぶっちゃけないしな。敵対はしない」
「助かります。俺っちとしても遊び人の奴はいけ好かないっすからジャンジャン殺しちゃってください。ただ、勇者PTが居ない時って徹底した方が良いっすけど」
話をするライダーに報告に入って来た男から影が伸びる。
しかし夜である今は不自然な影があったとしても見つからない。
ライダーの足に取りつき登る。そして首筋に。
「痛っ、何だ?」
潜り込む事に成功した。これで何時でも行動を制限出来る。この者は地味に重要な臭いがしたので潜ってみたが、痛覚に気づくとはな。危機察知能力は高めか。前世で言う蚊に刺された程度の痛みの筈なのだが。
「どうした?」
「何でもないっす。じゃ、そ言う事でよろしくっす!」
そう言ってライダーは部屋から出ていった。
「しかしアイツらは自分の部下ですら教育出来んか……何だあの口調は見たことが無いぞ」
「どう致しましょうか?」
「双子は放置。わざわざヤる必要も無いだろう。妹の方はあわよくば手に入れたいが美しいと言っても半分は血の繋がった妹。流石に近親じゃな。しかし、勇者PTは手に入れて見せる。そして、私が王となろう」
「勇者PTは渡さないっすけどね。さてと一応、依頼人の安全確保は出来たっすねぇ。まぁ、何時でも殺せるっすけど、ユウ・トキトーは邪魔っすからね。そもそも俺っちも遊び人で遊んでいたかったっす」
身を包む機械。コレが彼の武器か。特撮のロボットキャラみたいな見た目だ。スーツみたいな機械みたいな。取り敢えず動力源は何だろう。別に人の中に物理的に入る事は出来るが記憶の中身を見れる訳ではない。
「んー一度、報告に行くっすかね。無事に、交渉も終わったっすからねぇ。ステルスモード起動っと」
彼は手を上げ宙に浮いたスクリーンを見る。ハイテクノロジー、凄いでござる。胸熱でござるな。
歩く彼は複数人の見張りとすれ違うが彼を一瞥しない。ステルス機能とは恐れいる。
「……誰かは知らないっすけど、俺っちに勝てると思ってるっすか?」
うん?誰か居るのかな?しかし、声に反応する者は居ない。
「気のせいっすかね。誰かに見られてる様な気がしたっすけど」