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暗闇に潜む影達

早く、早く逃げなくれば!

おかしい!こんなこと!

なんで俺がこんな目に!


真っ暗闇の廃墟の中、その一室へ体ごと飛び込んだ

扉はすでに無く部屋の隅にしゃがみこんだ

床には割れたガラスが散らばっており踏むとパキッ、パキッと音が鳴ってしまった

壁は落書きやひび割れ、残された家具や物は雑然としていた


部屋の窓があった場所から外を見る

怪しい人影は見当たらない

とにかく物音がしないよう隠れる事が精一杯であった

目を閉じ耳を澄まして物音が近づいて来ていないか注意を払う


すると・・・パキッ・・・パキッと音を立てながらゆっくりとこちらに近づいてる音が聞こえるではないか

下手に動くと危険だろうと考えた

いや、動けなかったのかもしれない

この部屋に入ってくるな!と心で何度も唱える


それもむなしくその音は部屋に入ってくる

そして目の前でその音は止んだ


意を決し目を開けると青のツナギ、手に持った鎌が目に飛び込んできた


「た、たすけ・・・」


「橋本さん、私よ」


顔を見上げると、そこには女が立っていた

ヘルメットなどはかぶってはいない

今日のバイトで一緒になった女だった


「キ、キミがやったのか!?」


彼女は不思議そうな顔をして静かにこう言った


「やったって何を?」


騙そうったってそうはいかない!

さらに俺はこう問いかけた


「だ、だから殺したのか!?」


さらに不思議そうな顔をして彼女はこう言い放った


「何を言ってるの、殺すのはこれからよ!!」


ヒステリックな声が部屋に響く


「な、なんでだよ!俺がお前に何したって言うんだ!」


そう言うと彼女は見下すような目で俺を見ながら語り始めた


「石丸孝也、知ってるわよね?」


俺は・・・名前を聞いた時全てが理解できた

彼女は語り続ける


「あなたが空調設備で彼の会社に出入りしてた事は知ってるの」


あぁそうだ・・・やっぱりあの事なんだ・・・


「設備をチェックしに来る日は社員がほとんど出勤していない土曜日だったわね?あなたはその時孝也が同僚の誰にも聞かれないように電話で喋っていた情報を聞いてしまった」


「あなたが自発的にやったのか誰かに頼まれたのかそんな事はどうでもいいの」


「あなたはそれをある人物に情報を売った」


「彼はその後苦しんだわ、時間をかけ営業にやっと成功した得意先の大きな仕事をもってかれたんだもの」


「孝也も驚いたでしょうね、まさか同僚じゃなくて異業種の出入り業者がその情報を得て売ってしまうなんてね」


「それが元で孝也は死んだ、事故でね。」


彼女の声のトーンがまたどんどん上がっていく


「お、おい待て!どこにそんな証拠があるんだ!それにそれが本当だとしてもそんな話どこから聞いたってんだ!当事者は二人共死んでるんだぞ!」


ハッと思った時にはすでに遅かった


「二人共・・・やっぱりあなただったのね。私は二人死んだなんて一言も言ってないわ」


ニヤーッと彼女の口元が緩む


「本当かどうか今の今まで確信が持てなかったけどこの話し本当だったのね・・・」


金が必要だったんだ、しかしそんな事を言っても火に油を注ぐだけだろう

俺はゆっくりと立ち上がり逃げるタイミングを計ろうとしていた


「お、落ち着けよ。別に俺が殺したわけじゃない!悪いのは仕事を奪ったやつだろう!?」


「黙れえええええええ!!」


彼女が鬼気迫る表情で襲い掛かってくる

俺は鎌を振り上げた手を咄嗟に掴み押し合いになった


「あんたのせいよ!」


女とは思えない力ではあったが所詮は女、力では男の俺に勝つことはできなかった


「いい加減にしろ!」


こう言いながら彼女を勢い良く突き飛ばした


「熱っ!?」


何が起きたのかと彼女をよく見るとお腹に鎌の刃が深く突き刺さり止ることなく血が溢れ出していた


「い、いたああああいいいいい!・・・ウッ・・・ウウゥ」


俺はすぐに駆け寄り声をかける


「大丈夫か!?おい!おい!」


彼女の体温はどんどん下がっていき次第に動かなくなっていった

大変な事をしてしまった・・・頭が真っ白になっているのが自分でもわかる

額から汗が止まらない、死んでしまったのか!?

俺はこれからどうなるんだ!?


ザッザッザッ


(誰かがこっちに向かってくる!)


なんてタイミングの悪さ

こんな場面見られたら俺は刑務所行きだ

俺はすばやく近くのクローゼットに身を隠しやり過ごために


誰かが入ってきたようだ

クローゼットの隙間から部屋の中を覗う

!?

己の目をこれほど疑ったことはない

部屋に入って来た得たいの知れない人物は青のツナギを着用し


頭にはヘルメットをかぶっていたのだ・・・

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