初めての魔法(5)
現在の時刻、8時30分。
私、リュリアの体調は万全である。
つまるところ、そう。私は、発作を抑えることに成功した。
ただいま、私とルカ、テルガさんとおじさんで喜びあっているところである。
私は、一つの疑問を抱えた状態で、であるが。
「姉さんの発作、収まって本当に良かった。これでやと落ち着けるね」
「うん、そうだね。(それがそうでもないんだなー)」
「いや、本当に良かった。これで、余命1ヶ月、なんて辛い状況じゃなくなったな。」
「うん。そうだね。(それがそうでもないんだなー)」
「これからは、深刻に悩むこともねえな!」
「うん。そうだね。(それがそうでもないんだなー)」
「姉さん?どうしたの?さっきっから、同じことしか言ってない。」
「リュリアちゃん、もしかして疲れてる?」
「そうなのか?だったら早く寝ろ。ゆっくりやすめ」
口々に心配され、私は布団にもぐり込むことになった。
3人はまだ何やら話しているが、私も考えたいことだあったので、大人しく部屋に引っ込む。
さてさてお待たせしました、皆さん。私が気づいてしまった問題についてせつめいします。
私は今日確かに、自由に動く、健康的な体を手に入れた。
しかしそれは、私がそう感じているだけだ。
麻痺させているから、辛くないだけであって、体はきちんとダメージを受けている。
体や心臓を動かしているから、不便しないだけであって、、体はきちんと軋んでいる。
冷やしているから、わからないだけであって、体はちゃんと発熱している。
つまり、私は今日、発作を「抑えた」のではなく、発作を「感じなくなった」だけなのだ。
このまま放ておけば、いつか体に限界が来て、いきなり私は死ぬだろう。
魔法を使う前と変わったことは、苦しんで死ぬか、苦しまずに死ぬか、だけだ。
さて、ではどうすれば私は生きていけるのか。
答えは簡単。誰かに定期的に回復魔法をかけてもらえばいい。
死ぬ原因が、体力の限界なら、限界が来る前に回復してしまえばいい。ただそれだけだ。
しかし、誰に回復魔法をかけてもらえばいい?
条件は、回復魔法が使えること、信頼できること、いつも私とある程度近くにいること、魔力が多く定期的に回復魔法を使っても負担にならないこと、である。
私はまず、使えないから論外。ルカは、使えるのだろうけど魔力が多くないから、負担になってしまうだろう。
上の条件を満たすものが私の周りにはいないのだ。
(いや、一人いるかも)
リーレン。彼は今、まだ私とこの世界であっていない。しかし、会うことはできると言っていた。
ならば、リーレンに回復してもらえばいいのではないか?
(・・・明日、協会へ行ってみよう。そこで会えるって言ってたし。)
私はそこまで考えて、眠りに落ちた。
やはり、相当つかれていたようだ。