69話:始祖の魔法
あれから5日後……
私はエリファリアの力を制御できたと思っていたけど……
今度は背中に、炎を象ったアザができてしまった。
次変身したら、私は戻れなくなってしまうのだろうか……
そして……ルイアさんでも、これは治せないらしい……
正直怖いな……
そうこう考えていたら……
ガチャ……
部屋の扉が開き、ルイアさんが私の体調を確認しに来た。
「梨花ちゃん。調子はどう?」
「はい!アザ以外は良さそうです!」
「ならよかったわ」
「あの!みんなの体調はどうですか?」
私は、みんなの体調が1番心配だった。
「みんな回復してきてるわ。アリアちゃんは、もう自主訓練してるよ。イヴちゃんは、にゃも助くんと一緒に魔法の勉強をしているわ」
「よかったです!」
「あ、あとアルカも無事よ。拷問を受けていたらしいけど、軽傷ですぐに治ったわ。」
「よかった……。あの、気になったんですけど……リンポス家の魔法って、魔族から狙われるほどすごいものなんですか?」
「ええ。アルカから私たちの先祖は魔法の母だと聞いてると思うけど……。実はもう一つあって……」
「それは……?」
「始祖の魔法が唯一使える家系でもあるんだ」
始祖……?
始まりってこと?
普通の魔法と何が違うのだろう……?
「始祖の魔法って?」
「梨花ちゃん、魔法には6つの属性があるのは知ってるよね?」
「はい」
「私たちの魔法はそもそも属性を持たないんだ」
「それはどういうことですか……?」
「うーん……。これは感覚なんだけど……想像したものが魔力で生み出せるって感じかな?」
「それは、なんでも生み出せるんですか?」
「自分の魔力の量に合ったものしか作れないけど……合ったものなら、なんでも作れるよ」
そんなチート魔法があったなんて……
いや、そもそも魔法ではないのか……?
「そんなの、何でもできるってことじゃないですか!?」
「ええ……。だから魔族に狙われるんだ。でも、リンポス家以外は始祖の魔法を使えない……。だから、どれだけ拷問を受けようとも教えようがないんだ」
そんな強い魔法があるなら、魔族ぐらい簡単に殺せそうだけど……
「魔族を始祖の魔法で倒せれないんですか?」
私は聞いてみた。
「始祖の魔法はね、命を奪ってならないという禁忌があるんだ。もしこれを破ったら……」
「破ったら……?」
「命を奪うための魔法を使う前に……死ぬ」
「そんな……」
命を奪おうと魔法を撃った瞬間に死ぬ……?
でも……今の魔法はどちらかというと、命を奪うためにある。
どこで魔法の禁忌が変わったんだろう……?
「あの……今の魔法は、主に命を奪うためにありますよね?なんで、始祖の魔法は命を奪えないんですか?」
「特有の呪いみたいなものかな。今の魔法は、魔法の母が改良して民衆に広めたもの。だから、禁忌はない代わりに魔法自体の自由がないんだ」
「なるほど……」
「あ、そういえば……梨花ちゃんの適正魔法って何?」
「私の適正魔法は無属性魔法です」
「無属性!?何に特化した魔法なの?」
「修復です。魔力が許す範囲なら、なんでも修復できます!」
「すごい!無属性魔法が使える人、初めてみた!!!」
「イヴちゃんも無属性魔法ですよ」
「本当!?すごい!!!少数精鋭部隊に無属性魔法使いが2人いるなんて!!!」
それからも私たちは他愛のない雑談をした。




