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第101話 いつもの日常が戻って来た。


 クラウディアにいつもの日常が戻って来た。


 初めての外出に、初めての遠出の視察、道中の楽しい食事や目新しい宿、とびきり楽しい初体験を経験し、皇宮へと戻ってきてホッとしたのか体調を崩し……


 元気になったと思ったら、兄と喧嘩。今、冷静になって考えれば実にくだらない兄妹喧嘩である。

 シスコンを拗らせたシュヴァリエの過保護ムーブには慣れていたのだから、冷静に対処すればよかったのに、何だかムカついてしまったのだ。

 何にもかも管理しようとしないでと腹が立って仕方がなかった。


 シュヴァリエの叔父愛が故の嫉妬だったと気付いたら怒りも何処へやら、である。


 仲直りも出来た事だし、シュヴァリエとも元通りの仲良し? 兄妹に戻れた。



 皇女殿下としてのスケジュールが始まる。


 一応、わたくし皇女ですので、皇族の姫の教育があるんですのよ、ホホホ。

 朝食後に座学とマナーレッスンがあって、昼食後にダンスや乗馬等の体を動かす授業がある。

 私には魔力があるので、魔法を習いたいんだけれど……

 今、教師を選定中らしい。

 下手な人には頼めないとのことで、難航しているとアンナがいってた。

 このように本格的に講師を招いての授業になったのは、ここ最近から。

 それまでは、アンナが臨時講師のような感じだった。

 アンナは何でも完璧だと思う。

 講師の人ほど専門的に教える事は出来ないらしいけど、アンナ以外の人に習うようになってから知ったけど、アンナは正直、講師より教えるのは上手いと思う。



 午後からのダンスレッスンが今日は中止になったクラウディアは、持て余した時間を刺繍で消費する事にした。


 自分で考える図柄を刺すのは時間が掛かるけど、決まりきった図柄を刺すのはもうお手の物になった。

 帝国の国花とか、皇帝の印とか―――

 皇帝の印はなかなか中二病を擽る図柄だ。

 初代が神に力を与えられたって事で、神の眷属扱いとして剣に翼が生えていて、背後に何故か火を噴く龍が。

 龍なんて存在するのかと思うけど、大昔は居たんですって。

 帝国を出て何処かへいってしまったのか絶滅したのかは分からないんだけど。

 地球でいう過去の恐竜みたいな感じだと思ってる。

 魔法もある世界だ。龍がいても不思議じゃない。

 だから絶滅というより、たまたま帝国に居ないだけなんじゃないかって期待してるけど、確かめる術はないのよね……。

 座学の教師陣の中で、歴史に詳しい先生に訊いたけど龍はとっても古い過去の文献で存在が確認された事が書いてある以外は謎に包まれているんだって。

 他国にはそういう龍の話とかいうのはないようで、帝国ならではだそう。

 もしかして、帝国の祖先が龍人とかで、だから帝国の皇帝は特別な瞳を継承する者しかなれないとかで、その瞳を持つものは龍神の血が濃いとかじゃないのかなって。

 全て憶測だけど……当たらず遠からずなんじゃないかなとも思うのだ。

 だって、シュヴァリエって色々と人外レべルだ。

 人じゃないものの血が濃いと言われれば、あの強さにも納得がいくというか。


 そんなことを考えながらもクラウディアはちくちくと刺繍を刺す。



 慣れてくると、刺繍を刺すのも無心になれて楽しい。


 パッチワークででっかいベッドカバーとか作りたい。

 でも豪華すぎるベッドには似合わない気もする。



 目がシパシパしてきたな……と思い始めた頃、

 アンナに「姫様そろそろ休憩をされませんと。」と促された。


「はーい、丁度休憩取ろうかなと思ってたの。目が疲れてきちゃって。」

 アンナが用意してくれたお茶を口にしながら「アンナお茶美味しい有難う」と、お礼を言う。


「シュヴァティーにもお菓子の差し入れに行こうかしら。」


 ガチャン。

 茶器がぶつかり合う音がして「申し訳ございません、姫様」とアンナに謝罪された。


「怪我はない? 大丈夫? アンナがドジするの珍しいね。」

「シュヴァティーとは、念の為お聞きしますが、どなたの事ですか……?」

「ああ、お兄様の愛称? 渾名? そんな感じで考えたの。これ叔父様にそう呼んで貰うつもりだったのに、叔父様は甥はシュヴァリエと呼びたいんですって。残念よね。凄く可愛くていい愛称だと思ったのだけど。」


 やはり陛下の愛称であったかとアンナは思う。


「そうですか。その方がいいかもですね。陛下にはお可愛らし過ぎる愛称ですので、おやめになられた方が正解かと。」

「えっ、似合わないかな? お兄様にも可愛らしい部分はあると思うのだけど。」

「皇帝を呼ぶ名としては不敬に問われても仕方がない愛らしい愛称です。」

「叔父様にも似た様な事かお手紙に書かれてあったの。女の子が呼びそうな渾名だからかしら……可愛いのに。」


 難しい顔をするアンナ。

 どう考えても可愛らしい部分があの陛下にあるように思えない。

 不遜、傲慢、冷酷なら同意出来るが。


 アンナの難しい表情に気付く事なくクラウディアは離し続ける。


「だからね、私が呼んであげようかなって。

 勿論、公的な場だったり、人の多い場では呼ぶつもりはないわ。

 アンナやマルセルさんだけしかいない時にする。あ、あとレイランさんも。

 それなら可愛い陛下を知る人は少なくて済むし。

 いい考えでしょう?」


 よくないです。

 アンナは心の中で否定する。


「そうですね……陛下がお許しになられるなら呼んであげられたら宜しいかと思います。」

「そうね。だから休憩とかとってなさそうなお兄様に差し入れするついでに、こっそりシュヴァティーって呼ぼうかなって。ヴァリーっていうのも考えたんだけど、何かお兄様には似合わない気がするの。だからシュヴァティーがいいかなって。

 執務室なら、マルセルさんしか居ないみたいだし、愛称呼びしやすいものね。」


 シュヴァティーもヴァリーもどっちもどっちだが、まだヴァリーの方がほんの少しマシなのではないかと思うアンナ。


「だから、アンナ先触れを出して貰える?」


 クラウディアにそう言われて、アンナは先触れを出しに退室した。

 正直、断ってくれないかなと願いながら。


おはようございます。

本日もご覧下さいましてありがとうございました!


イイね、ブックマーク、★、誤字脱字フォロー有難う御座います。

誤字脱字も最初の話から教えて下さる方もいて、大変お世話になっております。

有難うございます。


皆様の一日が良い日曜でありますように!

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