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ただいま転移暴走中  作者: ヨウ
第1章 異世界と地球
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第30話 予想外の展開

それから数日後、予想通りの展開となった。



某国大統領が会見を行ったのだ。


自国の国民が異世界に拉致されたとの情報があり、そして拉致された世界との行き来ができる方法があることを確認した。

我が国は自国の国民を救助するために部隊を送り込む用意がある。

異世界との行き来ができる者に協力を要請する。




彼はニクが渡辺優一だと確信している。

そして日本に渡辺優一がいる以上、異世界と行き来できていると思い込んでいる。

これらはアイゼンに確認しているので間違いがない。


しかし証拠がない。

全てはサイバーチームによるハッキングなどの力によるもの。

そしてそれは情報としてのデータだけであり、誰もが納得するような証拠ではない。

さらには弁護士が付いているので、裁判で争い長期化する恐れがある。

そして裁判で勝ったからと言って、僕が彼らに従う必要などない。

行き来できるからどうした、という話である。

最悪は異世界に行ったまま戻ってこなければ、既に示されてしまった異世界の恩恵を潰した者として何もいいことはない。


だから世論を操作する。

自分達が行くぞと。

それに協力しないのは邪魔しているのと同じなのではないかと印象を与える。






だからと言って、僕が何かをするわけではないけれど。


予定通り無視した僕は、開拓都市の農地問題に着手した。



宿屋一家が連れてきた農村の人が確認したところ、やはり水田がそのままの状態になっているようだった。

実際は開拓スキルを使ってまだ1月もたっていない。

田植えの時期も収穫の時期も来ていないのだからこの後どうなるかはわからない。

これでどうやって食料エネルギーが毎日に手に入るのかは謎だが、それはそれ、不思議な魔法的スキルの効果だとあきらめる。


開拓都市のスキルで見た場合はただ単に米の水田1マス。

しかし実際は50㎞×50kmの1マスの水田。

収穫量が詳しくは分からないが、時代はまだ現代にはなっていない。

昔をイメージすると1石が一人の1年分の米の量だったはず。

1石の収穫量となる面積が1反で約1000m2.

つまり1km2は1000000m2だから1千石。

50㎞×50kmは2500kmだから250万石。


250万人が1年間食べられる分の米が1マスからとれることになる。

もしかしたら時期になれば現地のミニゴーレムがやってくれるのかもしれないが、どうせなら農村丸ごと引っ越してきてもらうことになった。





そして引っ越しをしている最中に問題が報告された。



開拓都市から西南西に約250㎞のところに光の柱が出現しているという。

見に行ってみたが、確かに光の柱だった。

地面には魔法陣の様な物が見える。

開拓都市の勢力圏のギリギリ範囲外、あと1マスで飲み込む範囲だった。



(アイゼン、これって転移の光?)


(はい、そうです)


(転移待ちの部屋に誰かがいて、ここに転移してくる前段階ということ?)


(違います。今回は人ではなく、空間が転移する現象として暴走しているようです。

入り口となる空間が地球側に、ここは出口側です)


(つまり地球側にも似たようなものがあって、その空間に入るとここに転移してくるということ?)


(そのとおりです)


(転移待ちの空間は通らないの?)


(通りません)


(転移の女神様からスキルがもらえないの?)


(貰えません)


(つまりこっちの世界の人とは言葉が通じない?)


(通じません)


(一人通ったらおしまい?)


(いえ、一人という制限はありませんがいつ消えるかはわかりません)




ベリーハードモードだ。


(アイゼン、出現はこの1か所だけ?)


(いえ、この世界に5か所出現しています)


(地球側には?)


(地球側も5か所です。1対1で対応しています)


(ちなみにここはどこからつながっているの?)


(富士山山頂付近にある転移魔法陣からです)



まずい。

富士山なんてパワースポット。

光の柱があったら乗りたくなる。

絶対なんとなくで来てしまう人がいる。



他の4か所も確認したが、2ヵ所出口がやばいところがある。


多分出口としてはここが一番安全だろう。

開拓を進めてここを勢力圏に入れて、ここまで安全圏に入れさえすれば。

それまでは今は戦争の最前線。

雪が積もる冬の森の中、そこそこ危険な地域だ


比較的安全と思われる2ヵ所は、エアーズロック頂上付近とモンブラン中腹。

西の科学重視の大陸に出口があるからだ。

町中ではないみたいなので、町に着くまでに大変なことになるかもしれないけれど。


危険な2か所はヒマラヤ山脈内にあるものと、マッキンリー山中腹にあるもの。

ヒマラヤ山脈の方は未開の地、魔大陸に。

マッキンリー山脈の方はこの大陸、つまり魔法重視の国の北東方面に。


魔大陸の方はそもそも凶暴な魔物などがいるらしく、魔法重視の国は転移者を捕まえようとしている。

言葉が通じないから転移者だとわからないかもしれないが、捕まった者同士で会話をすれば分かってしまうかもしれない。




僕は沢木さんに報告をし、地球側の事は任せることにした。

帰れないとわかったうえで危険な地に自分から飛び込むなら完全に自己責任だろう。



「沢木さん、直接目で見た情報と、アイゼンからの情報です。

まだ1日もたっていない状況ですが、地球側では何か話題になっていますか?」


「ニク君、ちょうどよかった。

富士山とエアーズロックは観光客も多く、見通しがいい。

既に大量の報告がSNSで流れている。

他の3か所も少数ながら、登山家が発信元と思われる写真が出回っている」



地球であれば、スマホとネットがあるから情報なんて一瞬で流れるよね。


「とりあえず一方通行、僕のゲートでも通常の大きさの人は帰ることはできない、言葉も通じない、ユニークスキルももらえないという情報を合わせて危険を伝えてください。それでも来る人は来るのでしょうけれど」


「ゲートの大きさに関しては、レベルを上げてもらうしかない。

ニク君、転移魔法陣を通じて異世界に行った場合、レベルの取得などはできるのかね?」



どうなんだろう。


(アイゼン、転移魔法陣から来た場合はレベルはどうなる?ユニークスキルは無理みたいだけど、普通の職業のスキルは?)


(レベルは同じように1から始まり不通に上がります。スキルもユニークスキルはもらえませんが、職業によるスキルは取得できます)


ふむ。

それならそれでこっちに着たい人もいるかもしれない。


「レベルや通常の職業によるスキルは手に入るようです」


「やはりそうなるか。

これは危険を承知で行く人がそれなりに出るかもしれないな」




その予想は正しかった。


僕が沢木さんに情報を伝え、それは警察官っぽい何かさんを通じて日本政府側にも伝わった。

それをうけ、日本政府はコメントを発表。

異世界に転移したらしいという情報と同様に真偽不明としつつも一方通行、現状帰ることはできない、言葉が通じない、ネットの情報から予測されるユニークスキルはもらえないという情報を発信した。

しかしこの発表から、ユニークスキルは貰えなくてもスキルは手に入るのではないかという推論がなされ、重装備で富士山に向かう人たちが現れた。

登り切れずに脱落する人が多数出る中、それでも異世界の地に旅立ってしまった人が出てきた。

そしてそれは日本だけではなかった。

エアーズロック。

登山禁止時期が近付く中、現在では一番簡単にたどり着ける転移魔法陣。

富士山以上に集まる人が多かった。




そして更なる予想外の展開が起こった。



「我が国で保管されている古き地図に、異世界の地図に我が国の名前が表記されているものが見つかった。異世界の土地は、我が国固有の領土である」



某人口最大の国家の国家主席が声明を発信したのだ。

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