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ただいま転移暴走中  作者: ヨウ
第1章 異世界と地球
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第12話 盗賊討伐

「というわけでニク、盗賊討伐に行くわよ」



ネグリジェのテンションはさらに上がっていた。



「いきなりは無理だよ。

アイだけじゃなく、マイアもゲートを通れないから。

まだ距離があるはず」



(アイゼン、ここから盗賊達までの距離は?)


(約90㎞です)



やはり歩くには遠い。



「まだ約90㎞あるみたい。

二人を抱えて飛行するのは難しいし、何か考えないと」



「ニク。アルちゃんって、何度か粉になってさらさら飛んで移動しているわよね。

マイアごと空を飛べたり、しないのかな?」


「飛ぶナノ?」




浮いちゃった。

マイアごと。

そして空中を動き始めた。




「うむ。

好きに動けるな。

アル殿はもしかしてゴーレムなのか?」



「そうよ。

ニクが作ったゴーレムよ」



マイアの疑問にネグリジェが答えた。

ちょっと得意そうだ。



「なるほど。

私の意志で自由に飛べる。

飛ぶゴーレムは、飛行魔法が常時発動型で付与されている。

ゴーレムはあくまで、作られた物であって生物ではない。

そして今はそのゴーレムを、私が装備として身に着けていると言う事なのだろう。

マジックアイテムを装備しているのと同じ状態だな」



そんなことになっているんだ。

アルちゃんはマジックアイテムだったのね。



ん?

つまり僕はマジックアイテムを作れる?



(アイゼン、僕ってマジックアイテムを作れるの?)


(アイテムに魔法を付与することによってマジックアイテムを作ることが可能です。

魔法付与の魔法か能力によって、魔法を付与することが可能です)



能力ではなく魔法でも行けるんだ。



(アイゼン、魔法付与の能力有り無しでどう変わる?)


(魔法で付与した場合、与えた魔力がなくなると普通のアイテムに戻ります。

一般的にエンチャントと呼ばれます。

魔法付与の能力で作ったマジックアイテムは、ずっとマジックアイテムです)



なるほど。

飛行魔法を付与して乗り物にするには、能力が必要なのね。



「これで移動は問題ないわね。今度こそ行くわよ」


「ネグリジェ、まだここにお宝があるか見てないよ」



魔法の絨毯計画。

お宝に絨毯ないかな。



「そういえばお宝を見つけに来たんだった」



違ったはず。

いや、ネグリジェの中ではずっとそうだった気もする。



「盗賊達がいないということは、おそらく奴との取引に行ったのだろう。

価値のある物は持って行ってしまったと思うが」



マイアが現実的なことを言ってくる。

絨毯なら丸めればゲートを通るだろうし、必要な時に使えて便利なんだけど。





「おかしい」



それぞれの部屋を調べた後、マイアが言った。



「いいじゃない、お宝があったんだから」



マイアは驚き、ネグリジェは喜ぶ。



僕は悲しむ。




絨毯はなかった。

しかし金貨や銀貨、魔法薬っぽいもの、何かすごそうな石、よくわからない素材っぽいもの等々。



そして剣、盾、鎧等々のたくさんの使い古された装備。



「お宝はともかく、奴らは何を装備して出たんだ?」


「ここのは予備の装備なんじゃないの?

長くやっているなら、予備だってあるでしょ」



うん。

普通ならそう思う。

いやいや、常識なんて通じないことってあるよね。


僕は何となく理解してしまった。



ネグリジェなら気が付くかもしれない。

自分だって同じことになったんだし。


まぁいいか。

絨毯はなかったけど。



「ニク、小物だけでも先にゲートで家に送る?」


「確かに。これ全部持ち帰るのは大変そうだねぇ」


「せっかくの戦利品なのに」



ネグリジェはぶつぶつ文句を言っている。



「戦利品?回収します」



イーちゃんがそう宣言すると、次々とそこにあった物達が消えていく。


どこいってるの?



「イーちゃん、回収したのってどこにいってるの?」


「戦利品ボックスです」



戦利品ボックスって何?



「確かに戦利品ボックスに入っているな。

いつの間にPTを組んだんだ?」



マイアには分かるようだ。

ネグリジェはこっちを見て首をひねっている。

僕と同じくわかってないよね。



(アイゼン、戦利品ボックスって何?PTが関係あるみたいだけど)


(PTを組んでいる時に手に入れた戦利品が、分配されるまで保管されるボックスの事です。戦闘後のドロップ品や発見した宝箱の中身などが入ります)



確かにゲームではよくある。



(アイゼン、戦利品ボックスってどうやって見るの?)


(戦利品ボックス表示と頭の中で思えば表示されます)



戦利品ボックス表示。



それぞれがまるで写真のように並んでいる。

名前の一覧じゃないのね。



「ネグリジェ、PTで何か入手した時の分配待ちの不思議な保管場所みたい」


「そうなの。回収が楽って、いいわね」



おっしゃる通り。



「絨毯がなかったのが残念」


「絨毯?なんで?」



僕の悲しみにネグリジェが反応した。


「さっきのマジックアイテムの話を聞いて、空飛ぶ絨毯を作れないかなと。

絨毯なら丸めればゲートを通るだろうし」


「なるほど。地球にはないの?」



ああ、地球から手に入れてもいいか。

でも使っている絨毯は上に物があるから、簡単には持ってこれない。



「流石にすぐに取り出せる絨毯がない。

お風呂マットとかだと小さいし、布団はさすがに通らない。

タオルケットは通りそうだけど、結構小さいし」



何かないかな?



「レジャーシートとかは?」



それだ。

外で使うシート系があるか。



「ゲート」



部屋の棚から折りたたんであるシートを取り出してゲートを閉じる。



「レジャーシートはないけど、ブルーシートを持ってた」



迷宮の外に出て、広げれて見る。

5m×7m程度の大きさだった。

1人1m2の面積で座っても35人。

十分だ。



(アイゼン、ゴーレム創造の能力を魔法付与に変更)


(変更しました。現在の能力一覧を表示します)



1.ゲート Lv1

2.AI全知 Lv1

3.全能 Lv1

4.完全耐性

5.完全適応

6.魔法付与 Lv1

7.飛行 Lv1


以上



「魔法付与、ブルーシートに飛行魔法」



ブルーシートが光った。


ブルーシートの上に座り、飛ぶイメージをしてみる。




「飛んでるわね」


「ニク殿は素晴らしい」



これで移動が楽になった。



「みんな乗って、今回はイーちゃんもこれで一緒に行こう」




みんなで空の旅。

視界に表示されている盗賊の方向へと向かう。


僕、ネグリジェ、イーちゃん、マイア、謎のプヨプヨ



「・・・・・」



「マイア、それがさっき言ってたスライム?」


「そうです」


「いっしょにきたんだ」


「PTを組んでいれば当然です。

PTリーダーのニク殿が誘ったのではないのですか?」




え?


PT?



(アイゼン、PTメンバーを表示)


(PTメンバーを表示します)



1.ニク

2.ネグリジェ

3.マイア

4.スライム


以上



なんで?


それにイーちゃんとアルちゃんは?



(アイゼン、イーちゃんとアルちゃんとはPTを組めないの?)


(創造物はユニットですが、武器と同じ扱いです。所有者と同じPTにいるのと同様に扱われます)



つまり表示はされてないけど、PTメンバーみたいなものね。



「ねぇニク」


ネグリジェが声をかけてきた。


「ん?」


「シートじゃなくて服に飛行魔法を付与すれば、みんな自由に移動できるんじゃない?」


「・・・」



そうですね。

はい。

おっしゃる通り。



「座っていた方が楽かもしれないし。

でも落っこちる危険性を考えて一応付与しておこうか」



言い訳をしつつウィンドブレーカーとネグリジェに飛行魔法を付与した。

イーちゃんには付与がうまくいかなかった。


材料不要で魔素だけからできた存在。

ゴーレムっぽいけれど、物ですらないのかもしれない。


そしてマイアはそもそも何も着ていない。

今着ているのは、アルちゃんだ。



スライム?

一応試しました。

無理でした。




「約100m先に境界がある。

森の中だから見えにくいけど、そこにいるみたいだね。

作戦はどうしようか」



「私は剣で切る」


マイアはわかりやすい。



「そういえば私、魔法って使ったことがない。

私の魔法ってどうやればいいんだろ」



ネグリジェが気が付いた。



(アイゼン、ネグリジェの歌姫って具体的にどうすればどういう事ができるの?)


(歌姫は歌魔法を使用することができます。

歌魔法は、歌に想いをのせて歌うことによって効果を発揮します。

誰に届けたいのか、何を届けたいのかを考えることで対象と内容が決まります。

ネグリジェ様の歌姫のユニークスキルは自動発動です。

全てにおいて、常に影響力が強くなっています)



なるほど。

スキル自体は実はいつも使っていたのね。

知らぬ間に。



「ネグリジェ、何でもいいから僕達が元気になれと思いながら適当な歌を歌ってみて」


「何の歌でもいいの?」


「うん。重要なのは、誰に、何を届けたいか想いながら歌うんだって。

だからここにいるメンバーに、元気が出るように想いながら歌えばきっと大丈夫」



具体的に変化を感じられるかは、わからないけど。

威力がわからないし。

でも影響力アップが自動発動か。



♪~~~~~~~♪~~~~~~~♪


ネグリジェが歌いだしたと思ったら急にゾクゾクしてきた。

これは、元気が出るというか、戦意高揚かな?

何も問題ないように思えてくる。



「このまま境界線の手前に着陸する。

ネグリジェは歌を続行。

僕は盗賊達を眠らせる。

マイアはタイミングを見て突撃して盗賊を倒して。

イーちゃんはマイアのサポートをしながら同じく盗賊を倒して。

アルちゃんはマイアの装備として補助を。

スライムもマイアのサポートを」



素早くみんなに指示を飛ばす。

なぜかできるような気がした。



「では、行くよ」




境界線の手前10m。



「盗賊達よ、眠れ」



範囲睡眠魔法をかけて着陸する。




抵抗もなくバタバタ倒れる盗賊達。

それを見てマイアとイーちゃんが突入。


マイアはアル装備の剣を抜きながら。

イーちゃんは食器用ナイフとお盆を持って。


だからイーちゃん。

それは近衛じゃなくてメイドだって。

むしろマイアの方が近衛っぽい恰好をしている。



そしてあっという間に全員の首が胴から離れた。

殆どマイアが一閃。

マイア強い。




おかしい、人数が少ない。

10人程しかいない。




「あっちナノ」



剣のアルちゃんが方向を示す。

マイアとイーちゃんはそのまま飛び込む。



僕とネグリジェは、装備の飛行魔法で移動する。

ブルーシート、森の中では大きすぎた。

盲点だった




追いついた時にはほとんど終わっていた。


首がつながっているのは、二人だけ。

良い服を着た男が一人、何も身に着けていない女性が一人。

マイアの時とは違い、何をしていたかは一目でわかる状況だった。



「おい、こんなことをしてお前の仲間がどうなってもいいのか。

俺が戻らなければ、どうなるか知らんぞ」



マイアが剣を振った。


男の片手の指が宙に舞った。



「クッ。

いいんだな。

俺が戻らなければ、10日後には居残りの奴らがお前の仲間を好きにするぞ」



マイアが剣を振った。


もう片方の指もなくなった。



「本当に、いいんだな。

お前の仲間は、前線基地の兵士の相手として届けられるぞ」



マイアが剣を振りまくった。

何度も何度も。


手も足も少しづつ切り刻まれていく。

すんなりとは殺さない、拷問だ。


辺り一面に血が飛び散る。



ドサッ。



音の方を見るとネグリジェが倒れていた。


駆け寄って確認すると、気を失っただけのようだ。

スマホを持った手がだらんとしている。



ネグリジェはライブ配信を続けていたが、さすがに停止した。




しばらくして、マイアの動きも止まった。

男は首をはねられたようだ。

男の手足は、手元までなかった。




以前の僕は血を見ると気分が悪くなった。

自分の献血ですら、気分が悪くなる程に。



でも今はなぜか平気だった。


辺り一面、血の海なのに。




ネグリジェをブルーシートのところまで運び、そのまま休憩にする。

開拓マップを表示しても、既に盗賊のマークはなかった。




「終わってみると、あっけないものですね」


マイアは裸の女性を抱えて戻ってきた。

生きてはいるが、目は虚ろな状態だ。


「この娘は私の仲間のサーヤです。私の次として交代用に連れてきたのでしょう」


奥にいた全員の相手をしていたのだろう。


だから境界側には人数が少なかったのか。




「サーヤをきれいにするの、手伝えなくてごめんね。

いつの間にか気を失ってしまったみたいね」


ネグリジェも起きてきた。

名前を知っているということは、少し前から気が付いていたのだろう。



「スライムが付いてきてくれましたので。

全部きれいにしてくれました」



そういえばマイアのサポートを指示したっけ。

指示を守ってくれたのか、勝手に行ったのか。

そういえば、いつの間にかいなかった。



「そのスライムは?」


「向こうで敵対者を捕食中です。

休憩して居れば戻ってくるでしょう」



それなら今はできることをしよう。


「ゲート」



開拓都市の家のお風呂にゲートをつなげた。

ゲートからシャワーを引っ張り出す。


そしてネグリジェに渡す。



「ネグリジェ、任せる」



ネグリジェは立ち上がり、裸になった。



「ニク、シートから離れたところまでゲートを動かして」



そうだね。

ここだと濡れるね。




少し離れたところでネグリジェがシャワーを浴びている。

ゲートに手を入れて、水量と温度を調整しているみたいだ。



「マイア、サーヤを連れてきて。

これはね、温かいお湯が出る物なの」



マイアは女の子を抱えていき、自分も一緒にお湯をかぶった。



しばらくするとサーヤの目に力が戻ってきた。

マイアもいつの間にか裸だった。






「ここがニクとネグリジェの家か」


「温泉があるのですね」



マイアとサーヤの仲間を助けに行く前に、家まで戻ってきた。



「ニク、新しい人が着たんだから住民登録よ」


もちろんネグリジェもいる。



(アイゼン、住民登録、ここにいる全員)


(住民登録を使用しました)



やっぱりこの方法でも住民登録スキルが使えるか。

マップ表示とかも使えるから、行けるとは思ったけど。




予想通り家が光り、大きくなった。


大きな家、そして厩舎。


そう、厩舎が増えている。



「うん。思った通り、いい感じになったわね」



うん。

ネグリジェ。

前回の時もなんとなくは思ってたんだ。

ネグリジェの願望が反映されているんじゃないかなって。

歌姫の影響力、多分ここにも発揮されてるよ。




今ここにいるのは僕、ネグリジェ、イーちゃん、アルちゃん、マイア、サーヤ、スライム、そして大きな馬が2頭。






あの時マイアが相手をしていた男の正体は、闇商人だった。

「こっちナノ」というアルちゃんについていくと、戦闘場所から少し離れた道に馬車があったのだ。


もちろん頂いてきました。



戦利品は回収、とイーちゃんが毎度のごとく馬車を消した。

残った馬が2頭。

動物は戦利品ボックスには入らないっぽい。

そしてアルちゃんがサラサラーっといつものように崩れ、馬に騎乗用の鞍が現れた。

2頭ともに。



察したマイアが馬に乗り、空飛ぶ騎士となった。

うん。びっくりしたね。


もう1頭にはネグリジェが乗った。

乗馬もやっていたそうだ。

流石はお嬢様。

僕?

乗ったことないですよ。






それにしても、厩舎ができたということは馬も住民認定されたのかな。

確認画面、出なかったのかな。




家の中もだいぶ変わっていた。

広くなったリビング、テーブルも大きくなり、椅子は8脚ある。

キッチンには大型冷蔵庫、洗面所には大きな鏡、トイレはウォシュレット完備。

お風呂にはより広くなった浴槽、シャワーの設置数も増えている。

そしてお風呂の中から中庭に抜けられる。


そう、今度の家は広い家の中に中庭があるのだ。

そしてそこに温泉があった。



そういえば外に見えなかったね。



部屋の数も増えた。

新たに3個部屋ができ、そして使っていた寝室は大きくなった。

ベッドも1個のまま大きくなっていた。

新たな部屋には一人用のベッドがそれぞれついていたのはいいのだけれど。




「そういえば、なんで帰りはあんなに速く移動できたんだろ」


明らかに行きとはスピードが違った。

ブルーシートも、空飛ぶ馬も、とんでもなく速かった。


「レベルが上がったからだろう?」


マイアがあっさりと答えを言った。



「レベルアップ?」

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