夕暮れの空
夕暮れの空の小説のプロローグです。
どうでもいいと思う場合は、飛ばして良いです。
橋本隆弘は、小さいころから変わり者のため、いじめられていまし
た。
人と人との輪に入りたくても、入ることが出来ない。
何せ誰も彼を理解せず、否定し続けた。
それほど彼の個性は、強かった。
親が大金持ちの名家のことして生まれ、金銭感覚、思考回路から何からが他の人と
違いすぎた。
それら全てがいじめられる要素でしかなかった。
だからいつも思う。
どうして俺は、変わり者なんだ?
俺だって好き好んで、こうなったわけじゃないのに・・・
今の俺は、怪物が人間と仲良くなりたいけど、それを理解してもらえず、怪物だからという理由で、俺は近づくことさえ許されない。
隆弘の頭には、そんな悲惨な光景が思い浮かんでいた。
俺だって、皆と仲良くわいわいやりたかったのに・・・・
でもその願いは、叶うことはなかった。
現実は、隆弘を見捨てた。
俺は、そうとしか考えられなかった。
さっき、その証拠として、夕暮れの空の下の河川敷の土手で意識が飛びそうなくらい、ボコボコに殴られた。
もう意識もあまりない状態の俺に、いじめた奴らはひどい言葉を言い残した。
「お前なんか早く死ねよ。生きていられるだけで、イライラする」
この一言は、隆弘をひどく傷つけた。
土手の冷たい地面の感じを背中に感じながら、思う。
もう、こんな人生は嫌だ。
辛いよ
辛すぎる・・・
俺は、もう生きてたくない。
隆弘は、生きていく気力をなくし、明日のよるこの河川敷で自殺することを決意した。
4歳から17歳l(現在)まで続くいじめは、隆弘の心を蝕んでいた。
隆弘は、夜空に浮かぶ無数の星に数え切れないほど何回もある一つの事を、お願いした。
その願いの内容は、皆から好かれる人に生まれ変わりたい。
そんな純粋な願いだった・・・
自殺決行の日の夕方。
いつものようにクラスメイトに意識がなくなりそうになるまで、暴力を受けた。
もう何も感じない。
だって今日どうせ死ぬ・・・
今更何も感じるわけがなかった。
今の俺の人生は、地獄の日々のマンネリ化。
幸せなんてのは、俺からしてみれば、ヤクザが警察になるくらい程遠いものだ。
人生ここまでひどいと諦めもつく。
でもそんなこともどうでもよくなる。
だって俺は今日死ぬんだ・・・
もうこの世界から俺という存在は消える。
これが・・・皆の・・・いや神の望む世界。
隆弘の頭には、自殺という言葉だけしかなかった。
夕暮れに照らされた、緋色がかった川を見つめながら、隆弘は早く太陽が沈むのを待った。
時間が少し進み、あと少しで太陽が完全に沈み、夜空に変わる。
隆弘は、土手で寝そべりながら、つまらなそうにそんな光景を待ち望む。
「君、服すごい汚れてるけど、大丈夫?」
隆弘と同じ制服を着た少女が心配そうに言ってきた。
喜びたいところだが、今の俺にとってはただうっとうしいだけだった。
「転んだだけだ。ほっておけ」
隆弘は冷たくそういった。
でも少女は、隆弘の嘘を見抜いた。
「転んだぐらいじゃ、顔とか腫れたりしないでしょ?」
服の汚れだけではなく、怪我とかにも気づくとは・・・
もうだいぶ暗くなって、そこまでよく見えたもんだ・・・
隆弘は感心していた。
少女は、隆弘の手首を引っ張り、言った。
「私の家に来て。手当てしてあげる」
少女は、にっこりと微笑んで、そんな優しい言葉をかけてくれた。
俺は、その優しさに号泣した。
これが橋本隆弘と新井茜の出会いの始まりだった。