新しい世界で1
あれ、体があまり動かない。
どうにか瞼をこじ開ける。
「ウェーーーン」
暗い……?いや、ぼんやりしてる。それに、誰かに抱かれてる?
何があったんだっけ?
「ウェーーーン」
そうだ!僕、生まれ変わったんだ。
「ウェーーーーン」
それにしても、さっきからうるさいな。
って、あれ?泣いてるの僕だった。
気づいたら、泣きやめた。もっと早く気づけばよかったよ。
ガチャ。 扉の空いた音?
あ!ぼんやりした視界に、人影が二つできた。この人が僕の新しい家族かな?
「ティナ!生まれたか!」
「はい。ルーリス様、元気な男の子なのですが……。」
「どうした?」
「その………、髪と目の色が私たちに全く似ていないのです。どちらも真っ白だなんて。まるで化け……」
「ティナ!!それ以上は言ってはいけない。この子は間違いなく私たちの子だよ。君が浮気などしていないことはちゃんと知っている。きっと先祖返りなのだろう。」
「そ、そうですよね。私ってば実の子になんてゆうことを言おうとしてしまったのでしょうか。ところで、この子の名は?」
「もちろん決めてある。かっこいい名前を考えてきたぞ。「レイシェン」だ。どうだろうか。」
「いい名前ですわね。元気に育ってね。レイシェン。」
この人たちが僕のお父さんとお母さんみたい。両親に全く似ていない髪と目の色か…。でも、新しい名前はレイシェンか。前の名前にかなり近いね。うれしいな。
「あっ!レイシェンが笑った」
「ほんとだな。うんやっぱり、鼻の筋とかお前にそっくりだ。」
「うふふ、私には目の形がルーリス様にそっくりに見えますわ。」
ガチャ。また、扉があいた音がした。
「父上、母上、弟が生まれたと聞きましたが。」
あ、また人影が増えた。
「おう、カーウェル!来たのか。弟だぞ。名前は、レイシェンだ。」
「か、かわいい…。これからよろしくなレイシェン。」
今度はお兄ちゃんみたい。前は、一人っ子だったからうれしいな。
さて、これから頑張るぞー。でも、眠いから、一回、寝よっと。
お休みなさーい。
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「あらあら、レイシェンはお眠みたいね。今のうちにレイシェン付きの使用人を呼びましょうか。」
「そうだな。それに男の子だし、早めに家庭教師も探しておくか。」
「さすがにそれは早くないですか、父上。レイシェンはまだまだ生まれたばかりの赤子ですよ。まったく。いつものかっこいい父上はどこに行ったのですか。それに、父上の部下が探してましたよ。仕事を放り出してきたんですか。早く戻ってください。レイシェンにあきれられますよ。」
「………うん。わかったよ。」
がちゃ。カーウェルと入れ替わりに、一人の執事が入ってきた。
「失礼いたします、奥様、カーウェル坊ちゃん。新たな御子様付きのものです。」
「まあ、来たのね、この子がさっき生まれた、レイシェンよ。これから、この子の事よろしくね。」
「承りまして。」