新しい世界で3
「え~っと、あの、ぼくは、ぶんかんににゃりたいです。あにうえは、きしとして、くにをささえるし、おうちもつぎましゅ。だから、ぼくは、ぶんかんとして、くにをささえたいでしゅ。」
父上と母上、兄上の顔はあっけにとられていた。
「レイ、本当に、文官になりたいのか?」
「ダメでしゅか?」
「ああ。この家に生まれた人間は、初代の想いを継いで、騎士になる。それが一族の定めだ。それに、文官になるための試験は超難関なんだ。騎士になる以上に大変といわれている。ダメったらだめだ。俺がさっきレイに聞いたのはどんな騎士になりたいかということだ。文官という回答は想定していない。」
反対されるとは思っていた。騎士の一族に生まれて、騎士にならないのは認められないだろうと。でも、ここであきらめたら、だめ。せっかく生まれ変われたんだから。でも、幼い身体のせいか、涙目になってしまった。
「ルーリス様、レイは毎日、図書室にこもって本を読んでいます。字もあっさり読めるようになっていますし、文官のほうが向いているのではないかしら?それに、アンジェスノーラ伯爵家から、文官を出すというのもいいのでは?レイが文官として高位の位置につけば、騎士たちが動きやすくなりますでしょう。」
「母上の言う通りです。それに、父上がそんなに反対したがるのは、一族の定めだからじゃないはずですよ。現に、5代前の当主の弟は文官になっていたはずです。きっと、レイが騎士の家出身だからと周りの文官からいじめられるんじゃないかとかって思ってるんでしょう?」
「あにうえ、どういうことにゃのですか?なんできしのいえしゅっしんだからいじめらりぇるにょですか?」
「ありゃ、レイ、知らなかったの?この国では代々騎士と文官の対立が激しいこと。騎士が動くのはお金がかかるからね。それに、騎士には字が汚くって真面目じゃない輩も多いから、書類が汚いだとかって文官たちがお小言をよく言うんだよ。そんな文官たちに、騎士も剣を振えないやつに言われたくないって言い始めてね。まあ、貴族が誇りを胸に行動するがゆえに起こる衝突だよ。さて、これを聞いても、レイは、文官になりたいの?」
「はい。もちりょん。だかりゃ、ちちうえ、みとめてください。」
「だそうですよ、父上。」
「くっ、…………わかった。」
「やった~!ありがとうございましゅ。ちちうえ。」
「ただし、最低限の護身術は覚えるようになさい。」
「はい!!」
「そうですわね~、家庭教師が見つかるまでは、セバスに礼儀作法を教えてもらいなさい。さらに、家庭教師ではなく、私が護身術を教えましょう。」
「え、俺が護身術を教えようと思っていたのに…………………。」
「ダメですか?ルーリス様…。」
「い、いや、も、もちろんティナに任せるよ。」
「うわぁ~~!ははうえがおしえてくださるのでしゅか?」
「ええ。こうみえて、結構体を鍛えているのですよ、レイ。」
「あ~ゴホンッ。レイ、文官になるための勉強は家庭教師に任せるとして、礼儀作法、護身術以外に習いたいことはあるかな?」
「え~っと、あっ、「にこ」と「こうどう」と「かどう」と「さどう」と「ばじゅつ」をならってみたいでしゅ。」
そう、この世界は基本的には地球でいうところの西洋風なのだが、芸術面だけは中華風と和風が混ざったような文化なのだ。それに、文官になったら、芸術をいかに理解しているかが出世に響く。文官は、文化人であることを誇るらしく、高位の人間であるほど、芸術面に詳しいのだ。だから、芸術面の理解が無ければ、高官に会う際に話が合わせられなくなってしまうらしい。ゆえに、文官での出世を狙うなら、最低限、茶道・香道・華道のいずれかを極めておく必要があるんだと。
「「「・・・。」」」
「わ、わかった。馬術は私が休日に教えよう。それ以外については少し待ってくれ。(騎士の一族である私に、そんなつてあったかな…。)」
「ありがとうごじゃいます。ちちうえ。次のお休み、楽しみにしてますね。」
「話し込んでしまったな。もう夜も遅い。シャワーを浴びて、早く寝なさい。おやすみ、レイ、カーウェル。」
「おやすみなさい。二人とも。」
「はい、お休みなさい。父上、母上。」
「おやしゅみなさいなしゃ~い。」




