膝枕
めきめきと伸び始めてる気がする
ありがとうございます!
<異空間創造>を発動した男が気絶した所で、イフン達はもといた場所に戻って来た。協力しようとしてくれた男性には別れの挨拶を済ませ、イフンとミネセスは観光に戻った。
「うーむ、そろそろ朝ごはんの時間だな」
「そうだね、えっと..........近くにお店は......っと。あった!」
イフンは見つけた飲食店を指差す。
いたって普通な飲食店。看板にフォークとナイフが描かれている。
二人はさっそく店内に入り、朝食のメニューを注文する。
さすがと言うべきなのか都市アードゥノアは訓練や鍛練の都市。その中の店のメニューはボリュームが多そうだ。
ミネセスはニヤついた顔でお肉をパンで挟んだと言うハンバーガーを注文した。何でも、人間の間で大流行していた物らしい。
本当に物作りや繊細な作業は人間は才能がある。
まぁ今さらそんな事は関係ないか。
「ん?イフンは何も食べないのか?もしかしてまだお腹空いてないとかか?」
「いや、そんな事はないよ。うーんと、どうしようかな~。じゃあ僕もハンバーガーで。サイズは小さいので」
「はい、かしこまりました。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「はい」
注文を受けた店員はさっそく厨房に入っていく。
店員が厨房に行くと、ミネセスは不思議な表情でイフンを見た。
「イフン、別に空いてないんなら無理しなくていいんだぞ。私に構う必要はない。私はあくまで護衛なのだからな」
「別に無理してる訳じゃないよ。さっきのミネセスの戦いを見て自分に自信がなくなっちゃっただけだよ」
乾いた笑いをするイフン。半分は真実でもう半分は嘘だ。
半分は、ミネセスとのデートにより緊張しているだけだ。さすがに本人の前では告白じみた事は言えない。
「私はあくまでも護衛」その言葉がイフンの心を見えない鎖で縛りつける。
そう自分の中でごちゃごちゃしている時には、店員がハンバーガーを持ってきてミネセスが食べ始めていた。もちろんミネセスは大きいサイズだ。
ミネセスは大きいハンバーガーを口に入れる。
美味しそうに食べるその姿はイフンの心を縛る鎖をほどいてくれる魔法だ。
その魔法に癒されたイフンは目の前のハンバーガーに手を付ける。
「おぉ!これは美味しい」
「そうだろ!なんと言ってもこの肉とパンの相性がとても良い。しかもこの中に野菜を盛り込むとは.......同時に野菜の栄養も摂取出来ーー」
ハンバーガーを片手に自己分析を始めるミネセスをイフンは見つめていた。
ミネセスは今までろくに外界の世界に触れていなかった。いや、触れていたが用件を済ませると直ちに離脱していた。
その点で言えばルミナリエといい勝負だろう。
「ーーって、聞いてるのかイフン?やっぱり何か体調が悪いんじゃないのか?」
ミネセスの説明に聞いてるのかと疑いを掛けられたイフンは首を振り、否定するが遅い。ミネセスはすぐさまイフンの隣の席に移動して手をイフンの額に当てる。
みるみる熱くなるイフンにミネセスは「やっぱり」と声を漏らす。
「違うよ!断じて体調が悪いとかそういうもんじゃない」
「ならどうしてイフンは顔が赤いのだ?さっきの私の魔力に当てられたのか?いやそれにしては症状が小さい気がするが..............まぁいい」
何かを決めたミネセスはイフンの頭を掴み、自分の太ももに押し当てる。
通称、膝枕と言うやつだ。
イフンは恥ずかしさのあまり抵抗するが、上からミネセスが押し付ける力の方が圧倒的に強い。じたばたしていたイフンも諦めたのか抵抗しなくなった。
それにミネセスも満足した笑みを見せる。
「ようやく観念したか。これは団長が言っていた膝枕と言う奥義だ。疲れた男子を手っ取り早く癒す万能な奥義らしい」
「エリカさんが.........?うぅぅ、あの人すぐに変なこと教えちゃうからな」
「なんか疲れているようだからな!しばし私の膝枕で癒されてるがいい」
「そうか、疲れてると思われちゃったんだね。ただ緊張してただけなのに.......。でも.........まぁいっか」
「そうだ、遠慮せずに癒されていいんだ」
イフンは安心しきった顔でミネセスの膝枕でしばしの休息を得ることにした。
それをミネセスは嬉しそうに髪を撫でたりしながら楽しんでいた。
一時間後。
イフンとミネセスが朝早くからデートへ行ったことに気付いた一行はすぐに街へ行き、二人を探した。リースは乗り気ではなかったがちゃんと付いて来た。
二人は案外早く見つかった。
しかし邪魔だけはしなかった。
そりゃそうだ、あんな幸せそうな二人を見てそれでも尾行したいだとかそういうお邪魔虫をする奴は性格がねじ曲がってる証拠だ。
「ふふっ。イフンは膝枕を堪能しているようですね」
「エリカ、また何か仕込んだのか?」
「いえいえそんな不粋な事はしていませんよ。私はただ、ミネセスの心を一押ししただけですよ」
「一押しね.........。私もアランにしてあげようかな?」
レイナは左手を顎に当てて考えた。
しかしエリカは胸に手を当てて自慢気に
「まっ、アラン様の初膝枕は私のものですけどね!」
その発言により、場の空気は凍りつく。
普段は物事を冷静に考えていそうなリースの目は切れ目となり、アランをその眼光で殺すのかと錯覚するほどに。
ルミナリエは上手く殺気を隠しているつもりだろうが、隠せてない。
「へぇ、膝枕がそんな特別な意味を持つとは思ってもいなかったわ。それでアラン、その膝枕..........すこぶる気持ち良かったのかしら?」
「アラン様の事情に自分が口を出すのは失礼かも知れませんが、この場ではっきりお答え出来ない場合は........お分かりでしょうね?」
「ふっふっふ。せっかくこの私がしてあげようかと言ったのに........。それをね~。今回ばかりは観戦者じゃなくて当事者になっちゃおうかな?」
三人のそれぞれは魔力を高め、今にもアランを襲うとしている。
チラッとエリカを見ても手を振るだけで何もしない。
くそっ、こうなったら手は一つしかないか。
「<強制転移>!」
「あっ、待ちなさいアラン!」
「アラン様を追うのは困難。でも諦める訳にはいかない!」
「ふっ、私から逃げられるとでも思ってるのかなー?」
姿を消したアランを追いかけて三人は散り散りに街を探索し始めた。
「さてさて、そろそろ私も行きますか。これで私が最初にアラン様を捕まえられたら一体三人はどのような顔をするのか.............楽しみですわね。」
エリカはゆっくりと歩き出した。
Twitter始めました。
@zero_purini で出ると思います、名前は同じく零です




