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希望
小学校のときの私はいたって普通の子だった。
田舎の町だったので特に目立ったこともなく
地味といえば地味に暮らしていた。
ゆずれないことひとつ
そんなことは遠くに思っていた。
大人になるのはまだまだ先のこと・・・
夢を描くのもまだまだ時間がある。
ただ大人になるのが怖かった。
「働かなくてはいけない。」
父親の影響だった。
父親はいたってまじめな人だった。
朝の6時には家を出て、仕事場に行き
夜の12時に帰ってくる。
仕事は製造業だった。
働いている姿も見ていた。
必死で働いていた。
その姿が誇らしかったのとともに恐怖だった。
「父親のようにはなれない。」
社会にでるのが小さい頃から怖かった。
働くのが怖かった。
小学校の帰り道は、いつもそんなことを考えていた。
ゆずれないことひとつ・・・
そんな夢を抱くには私はまだ若すぎた。




