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先日、レオナルド第二王子殿下が、学園の
カフェテリアにて婚約者のルシアンヌ侯爵令嬢に
公衆の面前で一方的に婚約破棄を言い渡し、
ルシアンヌ嬢が王族発言として承ったという
生徒たちの記憶に残る出来事が起きた。
証人として呼ばれたのはレオナルド殿下いわく、
ルシアンヌ嬢にいじめられている私の最愛の人、
シーナ男爵令嬢である。
彼女は不敬罪の適応を確認したのち、いじめられているという事実はないと言った。むしろ殿下と
側近の1人にいつも話しかけられて迷惑していたとも。
そのやり取りの後、2人の令嬢はその場を去って
カフェテリアには生徒たちのざわめきと
呆然としたままの殿下だけがしばらく残っていたという。
これは、その出来事を当事者と関係者の立場から見た話。