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6th stage ─一難去ってまた一難!?─ その1


      6th stage ─一難去ってまた一難!?─



疲弊と絶望感で、階段を上る2人の足は鉛のように重かった。


結局シンヤもレンも、誰一人『アイドル部』に引き入れることはできなかったのだ。


タイムリミットを過ぎてしまった。

二人は会話する気力もなく、その重い足を引きずるようにして歩きながら、『アイドル部』の部室前までなんとか辿り着き、そのやけに重いドアを押し開けた。


「おっ!来たなお前たち!」


「やあやあ、お疲れ様だね〜二人とも」


部室にはスグルと、何故か凛子の姿があった。

逆に言うとそれ以外の人影はなく、つまりスグルも新入部員を見つけることは出来なかったということだ。


一縷の望みも絶たれ、シンヤたちは肩を落とす。


「人の顔を見て随分な反応だな。やけに暗いじゃないか」


「いや、そりゃそうですよ…今日までに部員見つけないと『アイドル部』は廃部なんすから……」


「そうだね〜ギリギリだったね〜」


「へ?」


レンが思わず聞き返す。


沈んだ顔のシンヤたちと対照的に、表情が明るいスグルたち。

更に会話もいまいち噛み合わない。


その妙な違和感に4人は一瞬沈黙するが、それを破るようにシンヤが口を開いた。


「あの…もしかして新入部員見つかりました?」


「ん?ああ、さっき来てたぞ。お前たちが来る少し前に、職員室に入部届を提出しに部室を出て行ったが」


「「えええええええ!!?」」


シンヤとレンは驚きのあまり大声をあげる。

どおりで二人とも、春の陽気にあてられたような穏やかな表情をしていたわけだ。


安堵と喜びが同時に頭の中を駆け巡り、シンヤは堪えきれずガッツポーズをして、レンはその場にへたり込んだ。


「よっしゃああああ!!よく分かんねーけど、これで俺も『アイドル部』だ!!」


まるで決勝点を決めたサッカー選手のように、シンヤは喜びの雄叫びを上げる。


さっきまでの陰鬱な気持ちはどこへやら。

今日一日走り回った体がまるで羽のように軽い。


そんな幸せを噛み締めていると、となりからぐずぐずと啜り泣くような声が聞こえる。


ふと隣を見下ろすと、レンが膝を丸め、顔をしわくちゃにして泣いていた。


「ふぇ〜ん…良かったよぉ…これで学校を辞めないで済むよぉ〜……」


気丈に振る舞ってはいたが、レンにとって『アイドル部』の存続はシンヤ以上に大切だったのかもしれない。

あるいは新しくできたシンヤという友達を失うのが怖かったのか。


そんなレンを見ていると、シンヤもつられて感極まり、しゃがみ込んでレンの肩を抱いた。


「ははっ…泣くんじゃねーよレン!やっとスタートラインに立ったんだぜ俺たち!今からなんだぜ俺たち!」


「いやぁ、青春だね〜少年。見てるとおばさん恥ずかしくなっちゃうよ」


凛子が顔をパタパタとしながらシンヤを茶化す。


そんなことは気にも留めず、シンヤはスグルに駆け寄った。


「スグル先輩!ありがとうございます!俺正直期待してなかったですけど、やっぱ人気者はすごいですね」


「む?…そうか?そうだろう!なんせ俺様だからな!はっはっはっはっ!」


誇らしげに高笑いをするスグル。

そのやりとりを聞いていた凛子は、眉間にシワをよせて首を傾げた。


「……ん?スグル君。私、何か辻褄が合ってないような気がするんだけど」


「何?俺様が人気者であることほど、整合性がとれていることは他にないだろう」


「いや、そこじゃなくて」


ビシッとツッコミを入れるジェスチャーをする凛子。


「新入部員を見つけたのってシンヤ君たちじゃないの?彼、1年生だったけど」


シンヤとレンはキョトンとする。


2人の勧誘の結果は恥ずかしながら0人。

だからこそ足取り重く部室にやってきたのだ。


「え、誰だろう…名前は聞いてますか?」


スグルと凛子は上を向き、各々記憶を辿る。


「格好良い子だったよ〜。名前は確か…」


「牧野と名乗っていたな」


牧野ジョーだ。


凛子が格好良いと言うのだから、申し訳ないがおそらく卓ではないだろう。

確かにはっきりと『アイドル部』に入らない、と言われたわけではないが、あの雰囲気は少なくとも提案をポジティブに捉えているようには見えなかったが。


「なんだよあいつ、『アイドル部』に興味あったんじゃん」


「入りそうにない雰囲気だったけどねぇ。意外だなよぉ」


「まあ、とにかく部員が4人揃ったんだし、これで学校側も『アイドル部』の活動を認めてくれるはずだね〜」


「俺様が部長で異論はないな?」


心の重りが取れた反動もあってか、4人は和気藹々と会話を楽しんでいた。


これからどんな活動をしようか。


何を目標にしようか。


そんな想像だけで、シンヤは口角が上がるのを抑えきれない。


そんな明るい笑い声が溢れる部室の扉が、ギギッと音を立てて開く。


4人が会話をピタリとやめ注目する中、入室してきたのは見覚えのある黒髪の少年。

牧野ジョーの姿を見て、シンヤとレンは思わず笑顔になる。


「なんだよ〜、ジョー!お前やっぱりアイドル部に…」


意気揚々と話しかけるシンヤだったが、ジョーがなんだか気まずそうな表情をしているのに気付き、その声は尻すぼみに小さくなっていく。


その理由は次の瞬間理解し、同時に4人はギョッと目を見開いた。


ジョーが入室するとその後に続き、ゾロゾロと女生徒が部室へ入ってきた。

辺りを見回しながら驚いたりはしているが、彼女らの表情はどれもやや不機嫌に見える。

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