表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
64/80

64


 五月の三十日。


 トルストが壬海へ来てから、ちょうど三十日が経った。政治家殺しは偶然の事故で片づけられた。


 珍しく海へ行き、流された。


 まあ、季節としては夏で、海はにぎわっているから、別に有り得ないわけではない。


 わざわざ、泳いではいけないところで泳ぐ方が悪いのである。水が沖へ向かって吹き出すように流れている場所。政治家の服はそこの砂浜に脱ぎ捨てられていた。


 トルストは一人、館を後にした。


 例の砂浜の様子を見ようとしている。次も使えそうか。


 付近の様子は今、どうなっているか。海へ出るまでの間に街の様子も確かめる。服は変え、壬海の人間と同じように短い丈のものを着ている。


 歩いた。大きな通りは、人で埋めつくされている。ここでは自分の顔はよく目立つ。トルストは遠くに人の群れを見ながら、少し南へ方向を変えた。


 空っぽにもなれない。ツエノの思い出だけでも生きていけない。自ら、死ねない。


 白い光を大ざっぱに照り返している海が見えた。


 なだらかで長い下り坂。


 建物が段になっているのがわかる。


 道は広く、下の方で子供たちが遊んでいるのが見える。


 潮の香りは、まだしない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ