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「輝電よ 我が創造に応え武器となせ 輝電武器化」
放電した銀色に輝く雷が、俺の手の上に集約されて武器を模っていく。俺が想像して創造したのは九頭毒大蛇の強靭な鱗に覆われた太い首を両断できる大剣だ。
俺の身長ほどはある神々しく銀色に輝く大剣を作り出した。輝電となった身体雷化の状態でなければ持つこともできない重量感だ。
雷を武器化するのは当然のように古代魔法の一つで、またも気絶しそうになるほどの頭痛が俺を襲う。それに耐えながら、襲い来る九つの九頭毒大蛇の噛みつきを迎え撃った。
大口を開けて毒を滴らせながらの蛇の攻撃を、創り上げたばかりの大剣で貫く。ブツリという肉を切る音と共に口から脳あたりへと貫通した。
「ガ・・・」
脳を貫かれた蛇のは充電が着れた電化製品のように事切れた。巨体がイベントホールの地面に沈む。
「蛇の串刺し 一本目!」
脅威を感じたのか残りの八つの首が一斉に襲い掛かることなく、頭の部分を俺の届かない位置まであげた。どうも馬鹿ではないようだ。・・・でもそれだと遠距離の攻撃手段が無ければ防戦一方になるだけだ。
俺はすぐに古代魔法を再び利用して、二本目、三本目の銀に輝く大剣を作り上げ、片手に一本づつ持って二刀流のような構えをとった。オルガの鬼族流の剣術だ。筋肉に任せて馬鹿重い武器を振り回し、斬るのでは無くて叩き潰すような一撃必殺を主体にしたものである。性格的に一番好きの剣術なのだが、普段の小さい身体では不可能なので諦めていた数ある戦闘手段の内の一つだったりする。
「残り8つ!」
「「「「「「「「ギシャアアアアア」」」」」」」」
高い位置からなにをしてくるのかと思えば、九頭毒大蛇は口の中に毒を溜めて、それを飛ばしてきた。大きさは直径一メートルぐらいある毒の水弾が上から何発も落ちてくる。
ただその攻撃には速度も無ければ命中率も悪かった。避けるまでも無く一発も俺に当たらない。地面に当たった毒の塊はジュワジュワと地面を溶かす音と不気味な煙を立て始めた。そして煙は上へと昇らずに地面を這うように広がってくる。
「毒の煙で獲物を弱らせるって算段か・・・ 吸わなきゃいいだけだろ。残念だったな」
俺はめいいっぱい跳躍して、下を見下ろしていた九頭毒大蛇よりも高い。天井へと逆さまになって着地する。上手いこと電気を操作すれば磁石みたいに、張り付くことは簡単だった。
九頭毒大蛇が俺を見上げようとしたところへ、大剣二本を投擲する。見事に見上げた二つの顔に命中して脳を貫いた。一本目と同じように事切れた頭と胴体部分はバタリと力なく倒れていく。
「残り六つ!」
残った蛇の頭が今までにないほどの怒りを覚えたようだ。艶のあった蛇の鱗が、次第に赤色の紋様が浮かび上がる。毒々しい紋様は地球にいたコブラの目のような感じだ。
「「「「「「ガアアアアアアア」」」」」」
鳴き声からもそのキレ具合がよく分かる。
ただ今の調子のいい俺からしたら、最後の抵抗なのだと思う程度だった。
九頭毒大蛇の攻撃速度が上がったり、毒だけでは無く炎まで吐き出してくるようになった。だがそれも輝電を発動した俺には届かなかったと言っておこう。順調に残りの頭も古代魔法で作り上げた大剣で貫いていった。
「最後の一本。どんな気分だ?」
「シャガアアアアアア」
最後の一本となった九頭毒大蛇は決死の攻撃のつもりなのか、あらんばかりの大口を開けて毒の塊を吐きだしてきた。
「最初の威圧感と存在感は何処にいったんだか・・・興ざめだったぜ」
毒の塊を輝電の放電で消滅させ。創り上げた最後の大剣で九頭毒大蛇の頭を貫いた。赤くコブラのような毒々しい紋様が消えて、九つの首のある緑色の大蛇の死体へ。
決闘が完全に決着を迎えた。勝因は信じられないほど今日の身体の調子が良かったことかもしれない。
銀色の身体雷化を解いて、俺はその場に崩れるように倒れ込んだ。余裕で圧勝したわけではない。分不相応の魔法を使いづづけた代償としての、強烈な頭痛を耐えるのに限界が来ていたのだ。
「勝者 レッド・ジャバヴォック」
国王コウリュウの宣言が遠く霞むように聞こえ。俺を心配して見ていてくれた連中が駆け寄ってくる足音を最後に。そこで俺の意識は途絶えた。
「【竜魔導】を使わずによくぞ倒して見せたと褒めてもいいが、ちと古代魔法を乱発しすぎたのぉ」
国王コウリュウはレッドへ駆け寄る皆を背にして、観客席にいた後ある人物を眺めて目を細める。
国王の視線の先には。黒い神父服と白い修道着を着込んだ集団が居た。そして中心にはアリアの父親である現ルーラー教の法王が佇んでいた。黒地の神父服に黄金の装飾品が彼の厳格なオーラを引き立てる。
法王の目線の先には地面に気絶しているレッドへと向けられていた。古代魔法を禁忌としそを徹底的に排除しているルーラー教。法王の表情は、九頭毒大蛇の最後の憎しみの表情よりも、より歪み強烈な親の仇でも見るようだった。
ここで一区切りです




