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【王国内屈指の公爵家の令嬢ですが、婚約破棄される前に婚約破棄しました。元婚約者は没落したそうですが、そんなの知りません】  作者: ナロー


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【病院からの失踪】 2


 クソ女の屋敷の前まで来たわ。


 でも駄目。いま乗り込んでも返り討ちにされるだけ。


 クソ男が言ってたもの。エインズ家には腕利きの護衛が何人もいるって。


 だからクソ女が外出するまで待つのよ。何分でも何時間でも何日でも。


 外出時なら護衛だって一人か二人だろうし、馬鹿なクソ女ならメイドくらいしか同伴させないかもしれないわ。


 エインズ家だからって、自分は絶対に狙われないし殺されないって思い込んでいるに違いないんだから。


 その傲慢な鼻ッ柱をこの私が思いきりへし折ってやるのよ!


 アンタなんてただの人間の女に過ぎないんだから!


 エインズ家に生まれたっていう超幸運に恵まれただけで、家柄以外は何の取り柄もない馬鹿で無能で糞な女でしかないんだから!


 そんなクソ女にこの私が負けるわけないもの!


 クソ男との婚約だって、私が勝ち取ったんだから! 私の圧倒的なカリスマに勝てないと分かって、惨めな思いをしたくないから引き下がったくせに!


 アンタなんか私の敵じゃないのよ!


 卑怯で卑劣で姑息で狡い手段を使わなきゃ何も出来ないし勝てないくせに!


 生意気なのよ!


 心のねじ曲がった卑怯者が!


 あ! 出てきたわ!


 こんな暗くなってから外出とか、どーせどっかの馬鹿な貴族の社交パーティーにでも行くんでしょうけどね!


 やっぱりクソ女は大馬鹿だったわ。私の見立て通りね。だってこんな夜に出掛けるっていうのに馬車を使わずに、しかも護衛もつけずにメイドを一人だけなんだもの。


 メイドが何か持ってるわね? あれはバイオリンのケースかしら?


 ハッ、社交パーティーで弾くつもりかしら! バッカじゃないの! ろくに弾けもしないくせに見栄でそんなの持っちゃって!


 どーせ聞いてる奴らだって音楽のことなんて全然知らない音痴ばっかりなんだから! 私みたいな抜群の音感とセンスの持ち主には敵わないくせに!


 大馬鹿な連中に聞かせてやりたいわね! 私の方がずっとずっと何倍も何十倍も上手く弾けるんだから!


 感動のあまり私に跪いて、どうか召し使いにしてくださいって懇願するんだから! 音痴で大馬鹿な自分達の為に毎日弾いてくださいって泣いて嘆願するんだから!


 でもいまはそんなことはどうでもいいのよ!


 目の前にクソ女がいるの!


 護衛も連れず、華奢で大人しそうで弱そうなメイドしか連れてないの!

 いまが絶好のチャンスよ!


 あのクソ女をこの世から消し去る、神様がくれた最大のチャンスなのよ!


 神様が悪魔のクソ女を殺せって、私に微笑んでくれたのよ!


 私は神様に愛されてるの! 神様が愛してるのは私なの!


 私は悪魔を殺す使命を遂行するのよ!




「死ねえェェェェッ! クソ女がアぁぁぁぁッ!」


 物陰からナイフを持った女が飛び出してきた。


 しかしその女はアイラに辿り着くことはなく、数メートル手前でグロリアによって地面にうつ伏せに取り押さえられた。


 アイラは宙を舞って落ちてきたバイオリンのケースを難なく受け止めていた。



「まったく、よりにもよって襲撃予想日とバイオリンの演奏日が被るなんてね。ハイネスさんに頼まれたから断ることも出来ないし、最悪のタイミングで襲ってきたものよね。バイオリンが壊れたらどうするのよ」


「バイオリンを手放してしまい、申し訳ございません、アイラ様」


「グロリアは悪くないわ。私を守る為だもの。私が文句を言ってるのはそこの女よ」



 女は喚いていた。



「離しなさいよ! 私は高貴で神様に愛されてるのよ! 下賤な庶民が気安く触れるんじゃないわよ!」



 アイラが近付いて言う。



「ベリンダ=ジグソウ。私を襲うのは勝手だけどね、その前に赤ちゃんのところに行くべきだったんじゃないかしら? 紛いなりにもお腹を痛めた実の子なんでしょう?」


「赤ちゃん⁉ 赤ちゃんが何よ⁉ あんなのただの穀潰しよ! 稼げもしないくせに無駄に飲み食いばかりして! トイレだって自分で出来なくてくっさいし! 夜中でも構わず泣き喚いて全然寝れやしない! 猿みたいな顔で全然可愛くないし! あんな寄生虫のゴミクズなんか産むんじゃなかったわ! ずっとずっと殺したくて仕方がなかったわ! いなくなって清々してるわ!」


「…………」



 ……終わってるわね。


 もう何を話しても、会話も対話も無意味で無駄ね。



「警察を呼ぶわ。グロリア、そいつの声はもう聞きたくないから、気絶させなさい」


「かしこまりました」


「離しなさい! 離せ! 私は高貴で神様に愛されてるベリンダ=バ」



 女の喚き声が途絶える。


 ほどなくして駆けつけたロバート警部と彼の部下によって、女は逮捕され連行されていった。




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