表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/53

第18話 辺境の地

短いです。

「着いたよ」


 スミレと片桐は東条院ビル7をでると、すぐ黒い大型ワゴンに乗せられた。そして速やかにアイマスクをされた。

 その為、状況が掴めない。

 一度車から降ろされ、かなり揺れる乗り物に乗せれたのはわかった。

 その揺れ方から、船だと予測する。

 船の揺れ。目隠し。時間感覚が狂う。

 どのくらい乗ったのか。数分なのか、数十分か、あるいは何時間か。


「到着~」


 男の気の抜けた声に、自然肩が下がる。

 予想外の船旅は、スミレの心を自覚する以上に、緊張させていたらしい。

 アイマスクが外され、スミレたちが降り立ったのは、小さな島だった。


「ここからまた少し車で移動だよ。もう少し頑張ってね」


 スミレたちに、労いの言葉をかけたリーダーの男は、先だって歩いて行く。

 スミレと片桐もトールとキロと呼ばれた2人に促され、男の後に続く。

 船着き場にある船は、スミレたちが乗って来た一隻のみだ。見渡す限り人もまるでいない。

 助けを求めるのは無理なようだ。

 またも大きな黒いワゴン車に乗せられる。


「残念だったね。ふふ。逃げられないよ」


 助手席に座るリーダーの男は楽し気に、スミレたちが座る最後部の座席を振り返った。


「大丈夫。君たちに価値があれば、これからの話し合いは双方にとって、とても意義のあるものになる筈さ」


(誘拐しておいて、よく言えるわね)


 スミレは男を睨みつけると、隣の片桐の手を強く握った。

 大きく息を吸って、気持ちを整える。

 動転していては、ましてや怒りに目が眩んでいたら、事態は好転しない。

 まずは落ち着くのが第一だ。

 すると、片桐も賛成するかのように強く握り返してくれた。


 そうしている間にも、二人を乗せた車は軽快に走る。

 車を運転しているのは見たところ、強面でもなく普通の人であった。運転も丁寧で、介護関係の仕事をしていると紹介されてもよいような人だ。彼は私たちが連れて来られた理由を知っているのだろうか。知っていて加担しているなら、人は見かけによらないという諺を地で体現している人だろう。


(それにしても民家が一軒もない。商店も何もないわ)


 スモークガラスではないので、窓から様子が伺える。

 あるのは、今、車を走らせている左側に、延々と続く、煉瓦造りの高い塀。

 この塀の向こうにいったい何があるのか。

 どのくらい走ったのか。

 突然塀が切れ、車が一台通れる位の鉄門扉が現れた。

 車が近づくと、門は開けられ、咎められることなく中へと入った。

 白い石畳の道。周りは鬱蒼とした木々で囲まれている。凹凸はないももの、あまり手を入れていないように見える。それから道なりに少し行ったところで、車は右に曲がった。それからまもなくしてまた門が見えて来る。第二の門をくぐると、人の手の入っているとわかる庭が見えて来た。中央にある噴水。春を謳歌している花壇の花。庭を取り囲むように大きな建物がスミレたちを出迎えた。


 車は噴水を周り、スムーズに建物の正面入り口に着く。

 リーダーの男は助手席から降りて、後部座席のドアを開けると。二人を降りるよう促した。


「ようこそ、我ら“辺境の地”へ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ