お馴染みの早朝タイムアタック
「…っ!?」
俺は不意に感じた右頬の痛みで目を覚ます。
「何だよ…寝てたのに……」
さっきのは夢だったのか?そんな淡い期待は右手に付けられている物を見た瞬間に崩れる。そうか、俺……。
「戻ってこれたんだ、この世界に」
「…何言ってんの、大丈夫?主に頭」
そう俺を煽るように、ってかもろに煽ってくるのは俺の妹だ。
「多分大丈夫だ、あ…そうだ」
俺は右腕を妹に突き出す。
「……?」
「この時計外せないんだが、何だと思う?俺的には換金という意味でロレックス製だと嬉しいんだが…」
「…時計?どこ?」
「は?ここにあるだろ」
俺は腕時計を指さす。だが妹は「こいつまじでおかしくなったか?」と目で言っている。
もしかすると、見えないのかな。
「…まぁいい、つーかさ」
俺はさっきの怒りがこみ上げる。
「何故絶賛すやぁ中だった俺を叩き起こした!!?」
「はい、コレ見て?」
そんな俺をあしらうように妹は一枚の紙を差し出す。
「これ、バイトのシフトじゃん…ん?」
なんか、今日の午前にシフト入ってるようだな。今すぐ家出ないと間に合いそうに無い。
「分かった?」
妹はにっこりと俺に笑いかける。
「あぁ、今俺にすべき事が分かったよ」
俺は冷静に言い放つ。
「なんでもっと早く起こしてくれなかったぁぁぁぁぁぁ!!!!」
今回もコンビニまでのタイムアタックが始まりそうだ。