最終章
いよいよ最終章です。舞台はストックホルム。ノーベル賞授賞式です。
「先生、そろそろ時間です。会場までご案内します。」
薫の声が響く。末永と薫が迎えに来た。
ノーベル平和賞授与式はノルウェーで行われるのだが、今回は私のために平和賞の委員会だけでなく、ノルウェー国王夫妻までわざわざストックホルムまで来てくれたらしい。ノーベル賞始まって以来の特例だそうだ。
私は、生理学・医学賞を先にスウェーデン国王からいただく。そして、私とGG財団は平和賞を授与される。満場の拍手ですごく興奮する。
晩さん会が始まり、ほどなく、スピーチを促される。両国王の前で緊張が走る。
「ゆうぐれなあす財団の中園です。本日は過分な賞をいただきありがたく思います。また、スウェーデン国王陛下、ノルウェー国王陛下のご臨席を賜り光栄に思います。私はGGSで世界の方々が幸せな暮らしができるようになりうれしく思っております。・・・・・・・・
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私が受け取りました賞金はすべてゆうぐれなあす財団に寄付いたします。財団は皆様の寄付で運営されております。今後もよろしくご支援を賜りますようお願いいたします。
最後に、この受賞を待たずに三年前に他界しました木下聡博士と50年前の飛行機事故で亡くなった三村史郎博士に感謝いたします。ご清聴ありがとうございました。」
スピーチが終わって、緊張の糸が切れたのかどっと疲れが出る。
晩餐会が終わり舞踏会に移るときに、私は控室にいったん戻り末永と薫を呼ぶ。
控室に入ったところで、
「先ほど財団には理事長の辞表を送っておきました。」
と伝える。
そして、末永に対し、
「長い間ご苦労様でした。今日で私の秘書は解任いたします。明日からは自由に生きてください。」
薫に対して、
「明日からはあなたが、ゆうぐれなあす財団の理事長を務めてください。事業は軌道に乗っています。あなたならできます。史郎さんの意思をつないでください。」
と伝える。二人は大きくうなずく。
「少し疲れました。しばらく一人にしてください。」
二人は軽く挨拶をして舞踏会場に向かう。
静寂があたりを包む。一人になった。傍らのソファに深く座り、バッグから古い小さなボタンを取り出す。
私はそのボタンを強く握りしめる。自然と涙があふれてくる。
「史郎さん・・・ほめて・・・」
そう呟いて、ミユキはゆっくりと目を閉じた。
長い間のお付き合いありがとうございました。
ご感想をいただけましたらありがたいです。
最終作「Great Green Another」を引き続きお願い致します。




