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猫王様の千年股旅  作者: ma-no
猫歴100年~

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198/203

猫歴100年その3にゃ~


 我が輩は猫である。名前はシラタマだ。核融合発電所に感謝感謝だ。


 猫の国百年祭は、有り余る電力のおかげで大盛り上がり。来場者は遊園地やゲームセンター等の遊戯が楽し過ぎて、この電気がどこから来ているかなんて気にもしていないようだ。

 後半戦になると、閑古鳥が鳴いていた核融合パビリオンにも客が入るようになったと聞いたけど、難しい説明ばかりだから休憩場所に使われていたんだとか。


 一部のというか日ノ本の平賀家という変態発明家集団ぐらいしか真面目に聞いてなかったらしいけど、玉藻は連れて来るなよ。

 館長から助けてくれと連絡来たじゃろうが。警備員に連れて行かれたじゃろうが……持って帰れよ?


 玉藻は平賀家の中でもとびきりの変人を連れて来ていたので、猫の国に捨てる気満々。押し返していたり、家族で百年祭を楽しんでいたら残り2日となったのでわしの出番だ。


『サンバにゃ~! サンバにゃ~!』

「「「「「サンバにゃ~! サンバにゃ~!」」」」」


 サンバカーニバルの開幕だ。いや、ウサギカーニバルの訂正だ。


 これは例年行われる建国記念日の一番の目玉。体にペイントしたカラフルなウサギ族が、軽快なリズムに合わせて腰をフリフリ腕を振り回して大通りを練り歩くイベントだ。

 今年は他にも目白押しが多数あるから見物客は減るかと思っていたが、例年以上に盛り上がっている。


「「「「「キャー! 猫王様~!!」」」」」

「「「「「猫王子様~! こっち向いて~!!」」」」」

「「「「「猫お姫様~。かわいい~」」」」」


 猫ファミリーのモフモフ組も総出演だからだ。でも、どれが王様でどれが王子でどれが王女かよくわかるな。適当に言ってね?

 わしのことインホワとか呼んだヤツいるし……インホワはあっちのトラ柄のヤツじゃ。


「「「「「猫王様~! ありがと~う!!」」」」」

「「「「「猫王様~! すっごく楽しいよ~!」」」」」

「「「「「猫の国に生まれてよかった~~~!!」」」」」


 いや、わしに感謝の言葉を伝えに国民が集まってくれていたのだ。


「にゃはは。こちらこそにゃ~。いつもありがとにゃ~」


 そこまで想っていてくれたのだから、わしもグッと来る物がある。1人1人にもっといい言葉を返したいが、こんな喧騒の中では聞きとりにくいだろう。

 わしは短い言葉で感謝を返し、たまに道の端から端に移動して来場者とハイタッチしながらサンバカーニバルが続くのであった。



 猫の国百年祭は、ついに最終日。この日は朝の内だけ各種遊技場で遊べるから、長蛇の列になっている。かと思っていたけど、各種パビリオンに分散してた。

 並んでたら終わっちゃうもんね。どちらかというと遊び過ぎて疲れているように見えなくもない。


 来場者はお昼になる前から食事をとり、14時頃になるとキャットタワーのお膝元、メイン会場のキャットパークに集まっていた。

 そこで今か今かとわしの登場を待っているから、ちょっと出づらい。2万人も集まっているもん。


「凄い人数……女王誕生祭でもこんなに集められる場所はないのに……」


 ミテナもこの大観衆には驚きながら、キャットタワーの屋上から眺めている。


「これも区画整備のおかげだにゃ」

「あ、住民を外町に追い出すってヤツ? もう終わってたんだ」

「もうちょっと言葉を選んでくれにゃい?」


 区画整備の話をミテナにしたのはおよそ20年前。その前から立ち退きが開始しており、住民は外町に買った家や賃貸住宅に移住していたのだ。

 元々猫市には賃貸住宅でも集合住宅ばかりだったから、一軒家に住めると喜んで出て行く人が多かった。1人暮らしでも引っ越し費用は猫市が出していたから、少し広く綺麗な部屋と聞いて反対もない。


 しかしながら全員すんなり従うワケはない。必ずゴネる輩は出て来る。そういう人にはわしが出向いて説得したら、すぐに出て行ってくれた。

 そりゃ王様に頭を下げられたら強く言えないわな。その現場をノルンに見られて「心こもってなかったんだよ」と言われて憤慨したよ。確かに住人と別れたあとは悪い顔で笑ってたけど……


 ちなみにミテナ家の新居は2階建ての一般的な広さ。個室を貰ったと聞いて遊びに行ったら、ミテナは「狭くて息苦しい」とか言ってやがった。親が頑張って買ったのに酷いヤツだ。

 そのミテナは猫クランに入ってからお金が貯まりに貯まっているから、両親に豪華なお屋敷をプレゼントしようとしていたので止めた。親の頑張りがたった5年で追い抜かれたら立ち直れないじゃろう……年老いたら二世帯住宅を買ってやれ。


「さてとにゃ。そろそろ時間にゃ。行って来るにゃ~」

「うん。頑張って王様らしくするのよ~?」


 ミテナと喋っていたら時間となったので、わしはキャットタワーから飛び下り。ミテナに言われた言葉は「たぶん無理だろうな~?」と思いながら落下するわしであった。



『我が輩は猫であるにゃ。名前はシラタマにゃ。猫の国の王様にゃ~~~!』

「「「「「わああああああ」」」」」


 わしが祭り(やぐら)にシュタッと着地して決めゼリフを言ったら、大歓声。今日なら何を言っても外しそうにないな。


『みんにゃ~? 新しい遊戯の数々はどうだったにゃ~?』

「「「「「楽しいにゃ~!」」」」」

『新しい技術の数々はどうだったにゃ~?』

「「「「「凄いにゃ~!」」」」」

『猫の国は、どんにゃ国にゃ~??』

「「「「「最高にゃ~~~~!!」」」」」


 わしも乗せられて適当なことを言ってしまっても、来場者はノリノリ。でも、よく揃ったな……「にゃ~」まで……


『にゃはは。そうにゃろそうにゃろ。我が国は最高の国にゃ。でも、アグラをかいていたら、他国にあっという間に追い抜かれてしまうにゃよ? ここからが君たちの力の見せ所にゃ。

 今回発表した技術はこれから加速するにゃ。もっと便利に、もっといい物に、もっと凄い物に……それをやってのけるのは君たちにゃ。わしは君たちの力を信じてるからにゃ~?』

「「「「「はいにゃ~!!」」」」」


 ちょっと語尾の「にゃ」は気になるけど、わしは着流しの上をはだけて太鼓をバチで「ドンッ!」と叩いた。


『さあ! 猫の国建国記念日恒例の盆踊り大会の始まりにゃ! 踊れにゃ~~~~!!』

「「「「「わああああ」」」」」

『怪我だけは気を付けてにゃ~?』

「「「「「わああああああああ」」」」」


 2万人による大盆踊り大会。音楽と太鼓の音に合わせて、来場者は何重もの輪を作って踊り歩く。

 会場に入り切らなかった人々はその場で踊ったり、少し開けた場所で輪になって踊る。キャットタワーの屋上では、インホワが祭り櫓に登り、各国の王族が輪になって踊る。


 これこそ猫の国の民の力。今まで(つちか)った作法や経験でこんなに大勢でも混乱なく踊り続けられるのだ。


 わしは数曲叩いたら、祭り櫓からダイブ。一番近くの輪に入って踊り続ける。曲が変わったら外周に移動して、また変わったら外周に移って踊り続ける。

 その都度、来場者から笑顔で声を掛けられ、わしも笑顔で返す。


 こうして大盆踊り大会は笑顔の中、日が暮れるまで続くのであった……



 太陽が顔を隠すと、大盆踊り大会は終了。辺りは強烈なライトに照らされて昼と変わらないので、来場者の顔がよく見える。全員疲れた顔をせずに笑顔だ。


『みんにゃ~? お疲れ様にゃ~』

「「「「「わああああ」」」」」


 祭り櫓にわしが再登場すると、来場者はまだまだ元気が有り余っている。


『お昼に言いたいことはある程度言ってしまったから、最後の挨拶は短めに……』

「「「「「ええぇぇ~……」」」」」


 しかし、これで終了だと知らされると名残惜しい声がそこかしこから聞こえた。


『今年は特に楽しかったにゃ~。ま、これほど派手なのはしばらくお預けにゃ。次にやるのは100年後になると思うにゃ~』


 この発言には、誰も喋ろうとしない。


『ここにいる人のほとんどが見れないもんにゃ。そのかわり、わしが見届けるにゃ。200年後も300年後も、わしが死ぬ時まで見続けるにゃ。そして不甲斐ない時は、お前たちの先祖は凄かったんにゃぞ~と発破掛けてやるにゃ~』

「「「「「……おおおお~」」」」」


 わしとしてはもうちょっといい反応が返って来るかと思っていたが、声が戻ったからヨシとしよう。


『んじゃ、これからも猫の国のために頑張って生きてくれにゃ。これにて、猫の国百年祭の最後の締めとするにゃ~~~!!』

「「「「「にゃ~~~!!」」」」」


 わしの声に遅れて、来場者の声と空に上がった花火が破裂する。それに合わせてわしは祭り櫓から飛び下り、来場者とハイタッチしながらキャットタワーに向かうのであった……



 翌日……


「シラタマちゃん。シラタマちゃ~ん」

「ムニャムニャ。あと2、3日……」

「せめて分にしなさい!!」


 ミテナにめっちゃ撫でられて起こされた。


「にゃに~?」

「新聞にこんなこと書いてるよ? プププ」

「にゃ~?」


 半笑いするミテナはムカつくけど、わしの顔面に押し付けられた新聞を手に持って視界に収めた。


「にゃににゃに……猫王、猫神に昇華。猫の国は神が御座す国とにゃったって……にゃに言ってるにゃ??」


 普通の新聞のはずなのに、週刊誌みたいなゴシップネタがトップ記事に来ているから、わしの頭ではついていけない。


「ほら? 閉会式で何百年も見続けるとか言ったじゃない? 何百年も死なないなんて、神様しかいないと思われたのよ」

「いや、獣ってにゃん百年も生きてるじゃにゃい?」

「それ知ってる人、いまはほとんどいないよ? そもそも私が王女だった時も、キョリスだって伝説の魔獣だったんだからね」

「にゃ……」


 よく考えてみたら、しょっちゅう白い獣と戦っているヤツなんて猫クランしかいない。ハンターギルドでも狩られることがあるけど、それは年に1回あるかどうかの話。

 それも突然変異か、若い獣が強い獣から逃げるように人里近くに現れるのだから、その白い獣が年齢で強くなるなんて一般人は知らないのだ。


「ハ、ハンターギルドに売る時、だいたいにゃん百年物とか言ってるんにゃけど~?」

「いまのハンターの総人口は?」

「全盛期の半分以下にゃす……」

「昔でも一般人にはハンターの話は与太話だと思われてたのに、そんなに減っちゃうとね~……」

「真相を発表しにゃきゃ!?」


 これはマズイ。このままではこの世界の白猫教が活気付いて、信者が爆増しそうだ。


「なんて言うの?」

「わしの寿命は千年ですにゃ~って」

「ふ~ん。千年ね~……」

「にゃ? ダメにゃ??」

「うん。ダメダメ。千年も生きたらよけい神様みたいだよ??」

「にゃんてこった!?」


 カミングアウトしたほうがヤバイ。千年の寿命と言えば神様ぐらいしかいないもん。


 こうしてわしは、反論したらしただけ神様度が上がりそうなので、年齢の質問が来たらだんまりを決め込むようになったとさ。


新作『神ゲームの最古参 ~私の師匠は猫さんです~』連載中です

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