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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
プロローグ
9/103

第2話SS モンスター・パニック〜冒険者サイド〜④

 デリスがダンジョンへ到着すると、そこはすでに戦場と化していた。

 ダンジョン入り口付近では衛兵と中級冒険者が、あふれ出てくるモンスターを退治している。後方では負傷者の手当てや、一時戦線離脱し休息をとる者であふれており、野戦病院さながらの様相を呈していた。


「くそ、すでにあふれ始めていたか!!」

自身の対応の遅さに悔しがるデリスにライルは助かったという表情で話しかけてきた。


「ギルマス来てくれたか!!」

「ライル無事だったか!!」


 ライルの無事に若干の余裕が戻ったデリス。それでもまだその表情には焦りがうかがえた。


「おうよ。パーティー全員無事だ。」


 何でもないように答えるライルだがその姿は傷だらけで満身創痍といっても過言ではなかった。メンバーを守りつつダッシュとしたことがうかがい知れる。


「そうか何よりだ。状況を教えてくれ。」


 状況確認を優先するためデリスはライルに現状を確認した。

「簡単に言えば最悪だ。死人はまだいねえが、時間の問題だ。初心者連中でけが人多数だ。防衛に当たってる衛兵や中級冒険者の被害も増えてる。」


 ライルの表情は暗く、現状はかなり逼迫した状況であることがわかる。


「わかった。治療は進んでるか?」

「ポーションの在庫が心もとない。詰め所にあるやつを開放してもらったが…」

デリスはライルから治療もままならない状況まで追い詰められている事を察した。

「わかった。よし、ライルはひとっ走り頼む。」

「どこまでだよ?」


 デリスの指示にライルはものすごく嫌そうな表情で確認をした。


「賢者様んとこに決まってんだろ?」

「人使い荒いぜ全く。数は100でいいか?」


 デリスの指示を納得したライルは手元のポーションを一息にあおる。とたん、ライルについた傷はあらかた回復していった。


「それで頼む。」

「任された!!」


 ライルから指示はレイアスからのポーション確保依頼である。状況的にこの場所を離れなければならないライルはカイルにこの後の指示を出した。


「カイル!!俺はここを離れる!!ジェイダと合流して後方支援に当たれ。中級の奴らうち漏れしたのを街に近づけるな!!」

「分かりました!!行こうみんな!!」


 ライルの指示を理解したカイルはパーティーメンバーを引き連れ前方へと駆けていく。その表情はいまだ諦めておらず、若さからの強がりではない、冒険者としての誇りが見え隠れしていた。その顔を見たライルはカイルの成長に少しうれしく感じのだった。


「じゃあ、ギルマス。あとは頼む!!」

「任された。」


 ライルはカイルたちをギルマスに任せ、その場から全速力でレイアス雑貨店へと向かった。


「お前ら!!よく聞け!!」


デリスの声は戦場全体に響き渡り、その気迫が伝わっていく。


「ギルマス!?」

「これは…レベルアップのボーナスステージだ!!こんな屁でもねぇモンスター・パニック乗り切れば、間違いなくレベルが上がるだろうさ。」


 デリスは戦場にいる全員に何でもない。モンスター・パニックは簡単に乗り切れるものだと伝えた。


「行くぞお前ら!!」

「おう!!」


 デリスの宣言により戦場全体の指揮は向上し、戦線も押し上げられて行くのだった。しかしそれは、戦いの第二幕の幕開けでしかなかった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


さすがギルマスってところでしょうか。

即時判断即時行動ができる人になりたかった…


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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