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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
68/103

第8話 賢者は入学準備をする④

「どうしましょう、予定が崩れちゃったわ…。」


 セシリーは二人を見て、予定が崩れたことを嘆いていた。この後の講義内容を考えて来てはいなかったからである。


「じゃあ、師匠。魔方陣についてもっと教えてください。」

「レイアス君急に元気になったわね…」

「僕も詳しく知りたいです。」


 すかさずレイアスが自分が知りたいことを質問してきた。

 セシリーはすでに算術で教えることがなくなってしまったため、レイアスの質問に答えることにした。

 ジョシュアもまた、自分の領地運営を見据え教えを乞うた。


「わかったわ。じゃあ、魔方陣について詳しく教えるわね。」


 セシリーはまず黒板中央に【ファイアブレッド】の魔方陣を書き出した。

 その魔方陣を指差しながら説明を始めた。


「まず、魔方陣は決められた形があるわ。この魔法を使いたいからこういう風に書く。みたいなね。」


 セシリーは追加で4つの魔方陣の簡略図を書き出し、説明を続けた。


「あとは、属性魔方陣と位階魔方陣、魔力調整魔方陣、魔素調整魔方陣。これらを組み合わせて魔方陣が形成されているわ。」

「そんなに?!」


 複数の魔方陣が存在することに驚いたジョシュアをよそに、レイアスは必死に学び取っていた。


「それぞれの魔方陣をまとめるこうなるわ。」


・属性魔方陣  …火・風・水・土・光・闇・無の属性を決定。氷は火と水。雷は風と土。空間は光と闇。重力は土と闇。その他特殊系も存在する。

・位階魔方陣  …魔法のランクを決定する。下位・中位・上位・神位。これを入れないと、生活魔法になる。

・魔力調節魔方陣…魔法の威力を決定する。この範囲内で魔力を調整する。これを超える魔力を注入すると自壊する。

・魔素調節魔方陣…魔法の形を決定する。


「わかった?」

「はい。」


 ジョシュアはセシリーの説明を聞いて、魔術の奥深さを感じていた。

 しかしレイアスは違うことを考えていた。


「………そっか…。」


 少し時間をおいて、納得したようにレイアスはつぶやいた。

 そして、セシリーにお願いを始めた。その表情は何か確信めいたことを考えていることがうかがえた。


「ねえ師匠、ちょっと試したいことあるけど今やっていい?」

「爆発とかはしないわよね?」


 レイアスの初めての魔法発動実習の時を思い出し、あからさまに警戒を強めるセシリー。

 レイアスは慌てたように首を横に振ってこたえた。


「しないよ?生活魔法の【光源】を使うだけだから。」

「それならいいわ。でも何するの?」


レイアスはセシリーの許可を取り、何をするか説明を始めた。


「ほら、魔方陣って何かに書かないといけないんでしょ?だったら【光源】で代用できないかなって。」

「それならやってごらんなさい?」


 レイアスの答えに、セシリーは少し何かを考えている表情を浮かべるも、レイアスに許可を出した。

 それは、師匠が弟子に与える試練のようなものなのかもしれない。


「それと使っていい魔方陣を教えてください。」

「それなら属性は水。位階は無し。魔力調整は最低。魔素調整は無し。これで、【湧水】の魔方陣になるわ。書き方はこれを見て。」

「じゃあ、早速やってみるよ。」


 セシリーから魔方陣を教わったレイアスは必死に魔方陣を覚えた。

 そして、意を決して【詠唱】を始めた。


≪我願う。我が前に光の導きを。≫


「【光源】」


 レイアスは魔法に集中すると、線を描き始めた。先ほど見て覚えた魔方陣を頭に思い浮かべ、ゆっくりと光の玉を動かしていく。光の残滓がその場にとどまるよう、さらに集中を高めていった。光が徐々に線を描き模様を映し出す。


「え?ちょっと待ってレイアス君?!」


 驚いたセシリーはレイアスに声をかけるも、あまりの集中に周りが見えていないレイアスはそのまま描き続けた。少しすると光の魔方陣が出来上がり、そこからは水があふれ出してきた。魔方陣の完成である。


「できちゃった…」


 レイアスは成功するとは思っておらず、自分自身で驚き、どう処理していいかもわからなかった。

 そんなレイアスを見てセシリーはうつむいたまま震えていた。それは興奮からなのか、驚きからなのか二人にはわからなかった。


「師匠?」

「今までこれ…できた人いないの…。だから失敗するって思ってやらせてみたのよ…。でもどうして?」


 ジョシュアはセシリーの状態に不安を覚え声をかけた。

 その声をきっかけにセシリーはレイアスを見据えて、言葉と紡いでいった。そこにはレイアスのこの先の不安が付いて回っていた。


「師匠…これ…面白い!!」


 そんなセシリーの心配をよそにレイアスはテンションを上げていった。それは初めておもちゃを手にした子供のように目をキラキラ輝かせていた。


「………。レイアス君。これは人前で使ってはダメよ?いいわね?」

「どうしてですか師匠?」


 そんなレイアスを見てセシリーは光の魔方陣の人前での使用を抑制した。

 それに対してレイアスは納得がいかない表情であった。


「前人未到の技術だからよ。できればそうね…レイアス君が自分自身をきちんと守れるようになるまで。それは戦闘力だけじゃないわ。政治・経済・社会。すべての事からよ。そうしないと、君は道具にされてしまう…。それも殺りく兵器として…。」

「「………。」」


 セシリーの言葉に二人は息をのんだ。それほどまでに異端の技術だと理解したからだ。


「いいわね。今見たことは誰にも言ってはダメよ?マルコ様には私から説明するわ。」

「じゃあ、これ以上この光の魔方陣の研究を進めてはダメってことですか?」


 セシリーはこの技術の扱いをどうしていいか悩んでいた。異端ではあるものの、この技術にはまだまだ先があり、レイアスはさらに先に進むことができるからだ。しかし、それがもとで争いに巻き込まれることが容易に想像できる。

 レイアスは、これからが面白いところなのにと膨れていた。


「それは違うは、そうねその辺りもマルコ様と相談するから少し待ってもらっていいかしら?」

「お願いします。」


 セシリーは今後の発展についてもマルコに相談するつもりだ。レイアスの才能を埋もれさせてはいけないからだ。

 レイアスは、セシリーの返答にしぶしぶ了承をしたのだった。


「レイアス…君は…いつも先を行くんだね…」

「何か言った兄さん?」

「ううん?何も言ってないよ?」


 二人が話をしているとジョシュアは、自分の中に何か黒いグズグズ、ドロドロしたものが澱んできている気がした。それは嫉妬なのか劣等感なのかは、わからない。それでも、領主を継ぐという使命のため、自身を奮い立たせ、黒い濁りを押しとどめた。


 それから数か月…

 二人は座学・武術ともに叩き込まれ、入学試験の日が近づいてきた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


レイアスがなぜ賢者と呼ばれるようになったのかの一端がここにあります。

そして、ジョシュアにも何か変化の兆しが…

これについては物語後半で明かされますのでお待ちください。


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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