第8話 賢者は入学準備をする①
マルコから、王立学院への入学について話が有った翌日。二人は書斎へと足を運んだ。書斎にはすでにセシリーが到着しており、本日の講義の準備を始めていた。
「「おはようございます、師匠。」」
「おはよう、二人とも。ちゃんと眠れた?」
二人は、セシリーに朝の挨拶を行い、席についた。
セシリーも二人へ挨拶を返し、二人の体をいたわった。
「そうだ師匠。レイアスはあの修行で一つ成長したんですよ?」
「どんな成長をしたの?」
「朝一人できちんと起きれるようになったんですよ。」
「に、兄さん!!いきなり何言うのさ!!」
ジョシュアは少しにやけながらセシリーに報告した。
レイアスはジョシュアの発言にとても驚き怒り半分の表情で抗議した。
「それは素晴らしいわ。レイアス君…成長したわね。」
「師匠まで…」
セシリーもジョシュアの冗談にうまく乗り、その場の雰囲気はとても和やかなものとなった。
レイアスを除いては…
「ふふふっ。さぁ、冗談はこれくらいにして講義を始めるわよ?」
「「よろしくお願いします!!」」
セシリーは少し微笑みながら、抗議の開始を告げた。
二人は、元気よく返事をした。これから始まる座学を心待ちにしていたのだ。
「まずは、おさらいからね。」
「じゃあ、レイアス君。魔法と魔術の違いを教えてくれる?」
セシリーはレイアスに抜き打ちで質問をした。それに対して自信満々に答えるレイアスを見て、セシリーは内心感心してしまった。魔法・魔術に関してはやる気を出すんだなと。
「魔法は、自身の魔力または周囲の魔素を利用して『自然現象を再現』する行為。魔術は、魔方陣を用いてそれを行う行為です。」
「うん、問題ないわね。じゃあ、ジョシュア君。魔法のメリット・デメリットは何?」
次にジョシュアに質問を投げかけた。
ジョシュアもまた、淀みなく答えた。
二人とも問題なく知識を得てきているようだった。
「メリットは即応性。デメリットはすべて自前の魔力を使うこと。つまりは魔力欠乏症です。」
「その通りよ。その辺はレイアス君がよくわかっているわよね?」
「あれはもうなりたくないですね…」
レイアスは自身が体験した魔力欠乏症を思い出したのか、若干青い顔をしていた。
それを見たジョシュアも、自分はそうならないよう気を付けようと心に誓っていた。
「そうね、あれが戦闘中に発生していたら、それこそ足手まといにしかならなくなるわ。だから、普段からのコントロールが大事になるの。」
「確かにそうですね。僕は逆にスキルと武技を使いすぎて、体力がほぼすっからかんになりました。あの後、回復ポーションがなかったらかなりますかったですね。」
ジョシュアは、自身が体力切れを起こしたことを思い返し、反省の意を示した。あの時レイアスが回復ポーションを持っていなかった場合、かなりまずい状況に陥っていたからだ。
「その辺りは二人とも反省点ね。」
「「はい!!」」
二人が、今回の件について自身の血肉にしていることが分かったセシリーはとてもうれしく思った。二人の成長がとても楽しいのだ。
そして講義魔術の説明へと進んでいく。
黒板にいくつかの要点を記入したセシリーは、改めて二人を見て話し始めた。
「じゃあ、今日からは魔術について深めていくわね。」
「魔術は大まかに、三つに分類されるわ。」
セシリーは自分の指を立てながら説明をした。
「一つ目。魔方陣をそのまま利用する、【魔術】。」
「二つ目。魔方陣を利用した科学、【魔法科学】。」
「最後が、魔方陣を応用した【錬金術】ね。」
セシリーが分類を話すと、ジョシュアが自分の疑問をぶつけた。
「先生、魔法科学が魔道具とかを開発・製造するものなのはわかります。錬金術はどう違うんですか?」
セシリーも嫌な顔をせず、ジョシュアの質問に答えていった。
「そうね、その辺りも含めて解説していくわね。」
「まずは魔術から。魔術はさっきから言っているように、魔方陣を使って行使される魔法であるのはわかるわよね?これには、二つ方法があるわ。」
セシリーはそういうと黒板に二つのイラストを描いた。
一つ目は丸い円を複数人で囲むイラスト。
二つ目は杖のようなものの装飾品に丸を書いたイラスト。
「簡単なところで言うと、地面に魔方陣を描いて一人または複数人で魔力を起点に魔素を集める方法。儀式魔術と呼ばれるもので、大規模魔法を発動させたりするのに用いられるの。魔王復活の際に行われる【勇者召喚】の儀式もこれね。」
セシリーは一つ目のイラストを指し示しながら説明をした。
この説明に納得のいった二人はうんうんと頷きながら説明に聞き入っていた。
ただ、レイアスの表情は少しだけ懐かしそうにしていたのにジョシュアたちは気付かなかった。
レイアスは思った、自分が転生した魔方陣もこれだと。
「二つ目は、何か触媒になるものに魔方陣を刻んでそこに魔力を流し込み、魔素を収集して発動させる方法。いわゆる魔道具ね。あらかじめ触媒に魔方陣を刻印して、自身の魔力または魔石の魔力を使って発動させる。発動までは最速だけど、本来の魔法に比べて自由度は全くないわ。刻印した魔法しか使えないから。」
セシリーは今度は二つ目のイラストを示して説明を続けた。
ジョシュアは魔道具のくだりに反応を示し、目をキラキラさせていた。将来自分が領地を治めた際、魔道具について知っていればもっともっと役に立てると思ったからだ。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
座学の回でございます。
前話までで頑張りすぎたので、今回は座ったままの説明回となります。
読みづらいとは思いますがよろしくお付き合いください。
誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。
感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。
では、次回をお楽しみください。
※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。




