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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
62/103

第7話 賢者は森で修行する 事後処理③

この回は人によっては好き嫌いが分かれる内容となります。


ですが、作者としては書かざるを得ないと判断し掲載としました。

内容が内容だけに最初少し読んでだめだと思ったら読み飛ばしてください。


特に今後のストーリーに大きくかかわる内容ではありません。

 翌日からガーランド達は忙しくなった。

 まず、セシリーが女性陣に聞き取り調査を行った。話を聞く限り、女性陣の半数以上は冒険者で、あの森を探索中に大量のゴブリンの襲撃に会い、さらわれたそうだ。しかも、なかには男性のリーダーに囮として突き飛ばされつかまった女性もいた。その男性陣は、今どうしているかは不明である。こちらについても、冒険者ギルドへ講義をしなければならないとセシリーは思った。

 そして、さらなる問題が発生していた。数人の女性は妊娠していたのだ。胎児が何かは言うまでもない…。このままではまずいため、すぐに治療術師と医者が呼ばれた。本来はするべきではない行為だが、今回は緊急事態である。医者は妊娠している女性に承諾を得て、帝王切開を行った。やはり体内からは緑色の胎児が取り出された。その胎児はすぐに魔法にて焼却処分をされた。医者による帝王切開の後、治療術師の魔法により傷はきれいにふさがれた。自身のおなかを見て、ふくらみがなくなり、ついに悪夢から解放されたことを知った女性は大粒の涙を浮かべて静かに泣いていた。それがどういう涙なのか…それは本人にしかわかりえなかった。

 その二日後、女性陣の状態が安定したことを確認したガーランドは、女性陣を冒険者ギルドへと移送した。

 冒険者ギルドでは、女性陣の帰還に大慌てであった。同じパーティーメンバーから死亡届が出されていたからである。

 男性陣は、女性が進んで殿を務めたとウソの報告を行い、自分たちの罪をもみ消そうとしていたのである。その為、女性にかけられていた死亡保険等も男性陣が代理申請して受け取っていたのであった。

 ギルド職員は手分けしてその男性陣を捕らえ、ギルド会館へと連行した。

連行されてきた男性陣は、女性の姿を見て慌てふためいた。自分たちの罪が露呈してしまったからである。すぐに逃げようとした男もいたが、衛兵に取り押さえられ、ギルド会館地下の牢屋へと連れていかれた。そのほかの男性陣も同じく牢屋へと連行されていった。

 連行される際、男たちは女性に対して謝罪の言葉を叫んでいた。しかし、その言葉は本気の謝罪ではなく、自らの罪を軽くするためのものだと思えるほど軽いものだった。

 男たちの連れていかれる姿を見た女性は、何か憑き物が落ちたかのように少しだけ晴れやかな顔をしていた。

 ガーランドは一部始終を見届けた後、受付嬢にギルドマスターへのつなぎを頼んだ。


 少しして、受付嬢はガーランドとセシリーを連れてギルドマスター執務室へ向かった。


ーーーーーーーーーー


 コンコンコン


「ギルドマスター。ガーランド様・セシリー様がお越しです。」

「あぁ、はいってもらいなさい。」


 そこにはゴテゴテの椅子に踏ん反り返った姿勢で、葉巻を加えている中年の姿があった。

 ガーランドはその顔を知っていた。コネとゴマすりによってギルドマスターへと至った、男爵の次男坊だからである。その男は冒険者でも中級にすらなれず、コネと賄賂で中級の資格を買ったのである。そして、ギルド職員になると、あれよあれよと出世し、現在に至っている。

 ガーランドはその男を一睨みすると、ソファーに腰かけた。セシリーもまた、ガーランドの隣に腰を下ろしていた。


「で、今日は何の用なんだ?今ギルドが忙しいのがわからんのか?ん?」

「では、単刀直入に言う。冒険者ギルドに抗議に来た。詳細はこれを読んでくれ。」


 ガーランドはまず自分がしたためた抗議文を男に手渡した。男はその抗議文を受け取らずなかった。内容は大体理解していたからである。


「はっ?なにをいきなり。わけのわからんことで時間を取らせるな。話がないなら帰ってくれ。時間の無駄だ。」

「では、これも併せて読むんだな。」


 ガーランドはさらにマルコからの書状を手渡した。書状には領主家の封印も押されており、本物であることが理解出る。


「あぁ?!だいたい、ギルマスに対して態度が…。まて、少し時間をもらおう。」


 男はその書状を読み、ガーランドの抗議文にも目を通し始めた。

 しばらくすると男は抗議文から顔を上げ、にやりと笑っていた。


「あぁ~あれだ。これは不幸なできごとだった。わかるな?」

「何を寝言を言っている。それで済む問題ではないことはわかっているはずだ。」


 男はあくまでもしらを切り通すつもりらしい。あくまでも「不幸な出来事」でこちらに非がないと言ってのけたのだ。

 ガーランドはやはりと思い、怒りをにじませていた。


「こちらにどれ程の非があるというのだ。たまたまとは言わん。由々しき事態なのはわかる。だがな、それを全てこちらの不手際だと言われたとしても困る。冒険者だったお前だからこそわかるはずだ。いいな?今回の件は不幸な出来事だったんだ。」


 男はギルドの非を結局認めなかった。あくまでもこれは「不幸な出来事」で処理したいらしい。


「わかった。しかたがない。今回はこれで引き上げる。」

「おぉ、わかってくれたか。では、仕事があるのでな、もう帰ってくれるか。」

「失礼する。」


 ガーランドの返答に気を良くした男は、ドアの向こうに向けて、客人が帰る旨を叫んだ。

 ガーランドもまた、一分一秒この男の顔を見たくないと思い、足早に執務室を後にした。


「ふぅ、目障りな奴がおりおるわ。おい、今すぐ本家へつなぎを入れろ。めんどくさいことになる前につぶしてしまえばいいのだからな。」


 男は、そういうと葉巻をくわえニヤニヤ笑っていた。自分自身に咎を及ばないと確信しているようだった。


「ガーランド、やはり…というところかしら。」


 ギルド会館を出るとセシリーは、ガーランドに話しかけた。


「あぁ。だが、こちらにも用意がある。これから最速で使いを出す。王都本部へ連絡をつける。」

「わかったわ。私のほうは宮廷のほうへつなぎを入れるわ。」


 ガーランドは待っていた部下に冒険者ギルド王都本部への文を渡した。

 受け取った部下はすぐに行動を開始した。待機させていた早馬にまたがるや否や街を飛び出していった。数日中には文が王都本部へ届くはずである。

 セシリーもまた、自身のつてを使い宮廷へとつなぎを入れた。あの男の横やりを防ぐにはさらなる権力者からの力添えが必要だからである。


「奴はさすがにやりすぎだ。そろそろお灸をすえねばならんだろう。そうでなければ若い冒険者たちが被害にあう。」

「そうね急ぎましょう。」


 後日、冒険者ギルドレガスティア支部に査察が入った。

 ギルドマスターはこの話を聞かされておらず、いわば抜き打ちの査察であった。ギルドマスターは焦り、速攻で多額の賄賂を用意して、査察官の買収にかかる。

 査察官はその賄賂を受け取りはしなかった。むしろその行為に憤りを覚え、査察はさらにつづけられた。証拠を隠す間もなく、書類等の押収が行われた。その為、不正の証拠がかなり挙がった。今回の件だけではなく、報酬等のピンハネや初心者冒険者の支援目的で交付された助成金すら着服していた始末。今回の件に至っては常設依頼にも関わらず、架空討伐記録をでっちあげて、その報酬すら抜き取っていたのである。本部としても討伐記録がある以上、無理に職員投入まで指示を出さなかったのである。

 ギルドマスターの身柄は抑えられ、王都ギルド本部へと移送された。ギルドマスターは本家へ自身の身柄の釈放を訴えた。しかし、本家はギルドマスターを切り捨てたのである。本家への被害をなくすために。

 ギルドマスターはそのまま身分はく奪および犯罪者奴隷として鉱山送りとなった。今回の件は到底許されることではないとの本部の判断であった。


 レイアスとジョシュアは今回の件の事の顛末を少したってから知らされた。

 自分たちの目がさめたころには、事後処理がほぼほぼ完了していたのである。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


胸糞悪くなる回だとは重々承知しております。

ですが、これ系の物語だと結構飛ばされていることが多いので、あえて掲載しました。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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