第7話 賢者は森で修行する 事後処理②
コンコンコン。
「マルコ様。ただいま戻りました。」
「待っていたよガーランド。で、状況は?」
ガーランドは、報告のために執務室へ足を運んだ。そこには先触れからあらましを聞いたマルコが、ソファー腰かけて待っていた。その表情は暗く、怒りが垣間見えた。
「はっ、報告書はこちらに。」
ガーランドは、マルコの向かいに座り報告書を手渡した。
「ふむ…これはまずいね。職務怠慢といっても差し支えないレベルだ…」
マルコは報告書をじっくり読み進めた。内容を読むたびに眉を顰め、その手に力が入っている。報告書は次第に皺を増やしていった。マルコは読み終えると、報告書はテーブルに荒く置いた。やはり、怒りが収まらないようだ。その視線の先には冒険者ギルドの会館があるのだった。
「そちらにつきましても、私のほうで抗議文を作成しました。後ほど確認いただき、了承いただければ即冒険者ギルドへ持参します。」
「そちらについても、私からも一筆書こう。そのほうがガーランドも動きやすいだろう?」
ガーランドはそういうと、もう一つの封書をマルコに手渡した。マルコも中身を読むと、自身も抗議のために一筆したためる約束をした。
それを聞いたガーランドは、両肩を顰めるのだった。
正直ガーランドは、冒険者ギルドが抗議文を受け取らないのではと考えていた。受け取ってしまえば、自分たちの失態を認めることにつながるからである。あくまでも、ギルドの不手際ではなく、たまたま集落が出来上がったところをレイアス達が発見したことにしたいはずであると考えたからだ。
マルコもまた、ガーランドと同じ結論に至り、一筆したためることにしたのである。
これにより、冒険者ギルドは逃げることができなくなった。領主からの手紙を無視したとなれば、不敬罪に当たるからである。
「ありがとうございます。これで暴れずに済みそうです。」
「ほどほどにね。」
マルコからの申し出にガーランドは安堵し、冗談を言えるほどんは矛を下ろせたのであった。
それを見たマルコもまた、冗談であるとわかりつつ、ガーランドへ返したのであった。
すぐに一筆したためたマルコは、ガーランドに手紙と抗議文を託した。ガーランドまた、それをなくさないように大事に懐にしまった。
そして話題は次に移っていく。そう、レイアス達の修行についてだ。
「それで、二人はどうだった?」
「はい。それについてはまだ二人から聞き取りができておりませんので、まだ何とも言えない状況です。」
マルコは二人の評価をガーランドに尋ねた。
ガーランドは眉を顰め、険しい表情となった。。
「判断は後日ということかい?」
「そうなります。しかし昨日の件に付いては正直評価に迷っています。」
マルコはガーランドの煮え切らない表情に、訝しんだ。
ガーランドもまた、今回の評価についてどう評価していいのか迷いがあるようだった。
「ほう、それはまたなぜだい?」
「はい。さらわれた女性を助ける。これについては評価されるべき点です。しかし、相手の戦力の読み違い、実力・判断力不足。何より、私達の到着を待たずに独断専行。これは批判されてもおかしくはありません。一歩間違えば彼らだけでなく、女性たちも殺されていたのですから。」
「確かにそうだね。」
マルコはガーランドに答えを促した。
ガーランドは二人の件の行動についてどちらと評価してよいのか迷っていたのだった。
それを聞いたマルコも、確かに評価しずらいと感じていた。
「ただ…それにあまり余って冒険者ギルドの怠慢…これにつきます。」
「それについてはギルドマスターに落とし前を付けてもらわないとね。」
ガーランドは、今回の件で相当憤りを感じていた。さらに、今回の件がなければ問題なく成果を上げていたであろうと、確信していたからでもあった。
ガーランドの答えにマルコもまた表情を険しくさせた。
「もし、これでも誤魔化そうとするのであれば…私にも考えがあります…」
「無茶はしないようにね」。
ガーランドの手は強く握りしめられていた。その手からは血がにじんでいた。
それを見たマルコは、ガーランドに釘を刺したのだった。
「はい。ギルド本部にもパイプがありますから、そちらを通じて抗議をいたします。」
「わかったよ。では、報告は以上かな?」
「では、後日二人への聞き取り調査を行い、改めて評価をいたします。」
「お手柔らかに頼むよ。」
「いえ。こればっかりは手を抜けませぬがゆえ、お許しください。」
そう言い残し、ガーランドは執務室を後にした。ガーランドが去った執務室からは何かを投げつけた音が聞こえた。それがマルコの怒りであることは明白であった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
マルコへの報告会です。少しでも大人たちの憤りを感じていただけたら嬉しいです。
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では、次回をお楽しみください。
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