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そうだ、旅に行こう<1>

やっと、旅が始まります

「じゃあ、行くか」


「そうですね。」


俺達は予定通りに街の北門に来ていた。

北西に向かうんだがそのためにはまず北門からでて北に50km行ってから山越えをしなければならないらしい。

てか、街が繋がってんだから道を作れよとは思うのだが...

まぁ、そういうめんどいことはロートがやってくれることだろう。


「よし、荷物は持ったな。食糧も詰め込んだし忘れ物もない。」


「お母さんじゃないんですから、そこまで心配しなくても大丈夫ですよ。むしろ、類さんのほうがなんだかよく分からないうちに色々なくなってそうで怖いです。」


「ふっ」


「鼻で笑った!?」


「その程度予測してないとでも思ったか!あの、5000万サラスのカードはテキナに渡している!」


「……ただの責任転嫁じゃないですか...」


まぁ、そんなことはどうでもいい。

地球にいた頃も財布を無くすこと数えられないほど、小銭のままポケットに入れておいても何故かポケットが破け無くなるという始末。

最終的には体に紐でくくりつけてたからな。


「じゃ、行くか」


「「おーー!!」」


ところで、魔獣馬車をどうやって操ってるのか、疑問に思うだろう。

はっきり言って俺は馬車なんて乗ったことないし、テキナもリリカも操ることはできない。

しかし、ここで魔獣馬車の特徴が出てくるのだ。魔獣は馬よりもいくらか頭が良く主人の命令を理解することが出来る。なので、俺はギャオップに「北に行け」とだけ命令した。

この程度の簡単な命令なら魔獣は難なくこなす。まぁ、複雑な命令や臨機応変な対応が求められる場合はこのようなことはしないほうがいいらしいが。


てことで、俺達はゆったりのんびりと馬車の旅を楽しんでいるのだ。


(あっ、あれがあったな)


馬車の中ですることなど殆どなく無言になっていたが唐突に俺は思い出した。


「そうだ、闇魔法。」


「「?」」


「いや、ほらクソ鉄を買ったときにこいつが言ってただろ?闇魔法を習得できるって。」


「あぁ、そういえば」


「でも、人族に闇魔法は使えない、ですよ?」


「え、そうなの?」


「知らなかった、ですか?」


テキナは俺が知らないことに驚いていた。

この世界じゃ一般常識なのかもしれないけど俺の中では一般常識ではないんだよ。てか、テキナに俺が異世界人だって言ったっけ?


「いや、オメェは闇魔法使えるよ」


クソ鉄が俺の腹の辺りから声を出した。

俺と一体化したからか、俺の体のどこからでも出てこれるようになったそうだ。

そして、びっくりしてるテキナとリリカは可愛い。


「おぉ、まじか」


「あぁ。ぶっちゃけ闇魔法が使えるっつうのは唯のセールス文句でそれに釣られた人間が俺を持ってくれりゃあ儲けものって感じだったんだがな。」


何という悪徳商法。こいつやっぱクズだな。

てか、リリカには魔法には火水土の3つって聞いてたんだがポロポロ新しい魔法が出てくるんだが。


「魔法って火水土の3つしかないんじゃないのか?」


「は?何言ってんだ?それは、カスな人間どもの話だろ?俺が知るだけでも火水土と闇、光、風、がある。」


全然話が違うんだが...

リリカを見ると顔を真っ赤にして驚いていた。まぁ、俺にスッゲェ自信満々に魔法について語ってたしな。


「じゃあ、どうして人間はその3つしか使えないんだ?」


「認識できないからな。火とか水、土は周りにあるし目で見えるから魔法としてもイメージしやすい。が、例えば風って見えないだろ?だから風が正確にどんなものか分からない。把握できないものは操れないってことだ。」


「てことは、光魔法ってのは?」


「神ってのを心の底から信じることができれば使えるな。だから、光魔法以外に神魔法とも呼ばれることもある。ちなみに、闇魔法は魔族の固有魔法みたいなもんだ。理屈じゃなく理解できる、みたいな?」


「じゃあ、なんで俺が使えるんだよ。」


「さぁ?まぁ、お前は割と規格外だしな。不幸値高すぎるし、闇を内側に飼ってるみたいなもんだしな。そのせいかも。」


まぁ、いいか。そこら辺は使えるんだからまぁいいかの精神で。


「で、どうすれば魔法って使えるんだ?」


「それは、簡単です。まず、使う魔法を意識するんです。火魔法なら燃えさかる火を。水魔法なら流れる水を。」


魔法を意識?俺が使えるのは闇魔法らしいし、闇を意識するのか。

ムズいな。闇?闇ってなんだ?


『まぁ、最初はあのハイドって奴が使ってた影とかを意識してみればいいんだよ』


クソ鉄が助言をしてくる。

あぁ、あいつも闇魔法を使ってたのか。

影、影ね。


「できました?」


「あぁ、多分」


「じゃあ自分のイメージを形にするんです」


「?」


「こう、どぱーんとですね...」


ダメだこいつ。先生の才能0だ。


「あぁ、お前は影をイメージしてるだろ?」


みかねたクソ鉄が手伝ってくれる。

突然話だしたクソ鉄にリリカが固まってる。


「あぁ」


「じゃあ、自分の影を動かすイメージを持つんだ。」


また、イメージか。

自分の影を見つめる。俺の影は動くぞぉ。俺の影は動く。影が...イメージできねぇよっ!むずくね?闇魔法。影が動くってなんだ?


「まぁ、無理だろうな」


「あぁ?」


「いや、そのイメージってのが難しいんだ、闇魔法は。魔族ですら使えるのは少数派だからな。」


てことは、やっぱり俺に魔法は使えないと。

はぁぁぁぁぁ...まじか。


「じゃあ、しょうがねぇか」


と、俺が若干落ち込んでいると


「大丈夫ですよ。類さん。私とテキナさんがいるじゃないですか。魔法に関しては任せてください。」


立ち直ったリリカが胸を張って言う。隣でテキナも胸を張っているが2人とも胸はないのであまり迫力は無い。


まぁ、そうだな。俺は1人じゃないし。仲間なんだから助け合えばいい。

あんま、気負う必要もないか。


「そうだな。ありがとう」


俺はイメージだかで疲れた頭を休めるために太陽の暖かな陽射しを浴びながら眠ることにした。

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