紫の仮面の人
ややブサ壁ドンくんから助けてくれた紫の仮面の人は従兄弟、つまりこの国の王子の一人だった。
「紹介しようユーリア。そなたの従兄弟であるリュシアス、シルヴィアの姉の息子だ」
「リュシアス!随分大きくなったわね!」
お祖父ちゃんが紹介する横からママが嬉しそうに声をあげる。
へぇ〜紫の仮面の人はママのお姉さんの息子なのか。だからかな?他の王子達とは違う雰囲気だ。そもそも仮面被ってる人とか他にいないけどね。
「遮るなシルヴィア。リュシアス、こちらが此度帰還したシルヴィアとその娘ユーリアだ。」
「・・・リュシアスです。御二人のイシュス御帰還心よりお喜び申し上げます。」
「まぁそんなに堅苦しくならないでいいわよ!生まれたばかりのあなたのこと知ってるんだから!」
ママ、そんなハイテンションで生まれたばかりの頃って言われても困るでしょう。絶対覚えてないだろうし。
「この子が私の娘、ユーリアね。従兄妹同士仲良くしてあげてちょうだい。」
「ユーリアです。あの、さっきはどうもありがとう!」
「いえ。」
にっこり笑いかけてみても彼の反応は素っ気ない。でもイケてますオーラ全開のフツメン王子達より全然いい!単なる人見知りかもしれないしね。従兄弟だし仲良くなれるといいな!もともと親戚の少なかった私は同じ年頃の従兄弟や従姉妹に憧れがある。いきなりたくさん増えても困るけど、何人かは仲良くなれたらいいよね。あっ勿論、イケてますオーラ出してないの前提でね。
(何であいつが俺らを差し置いて紹介されてるんだ?)
(分からん。だが気に入らないな。)
あと、ああいう陰口タイプも我が従兄弟でも遠慮したい。
「リュシアスにはユーリアの旅に同行してもらう。」
「「「えぇー!?」」」
お祖父ちゃんの言葉に敏感に反応するのはフツメン王子達。いきなり大声出されるとびっくりするからやめて欲しいです。
「なぜこのような者をユーリア姫の同行者に!?それだったら是非私を!」
「そうです陛下!我らの中からお選び下さい!そんな仮面付きの者など選ばなくとも・・・」
その瞬間、冷気が漂う。
「お黙りなさい!!ピヨピヨうるさいわよ!お兄様の子とはいえ躾のなってないガキは容赦しないわよ?」
ママがキレると辺りに漂う威圧感が半端ない。フツメン王子達固まっちゃったよ。
「その辺にしておけシルヴィア。リュシアスは我が国随一の結界使い。強い地脈の浄化には不可欠な能力だ。さらに腕も立つから護衛にも使える。危険が伴う時は盾にもなろう。」
「孫に向かって何て言い方するのよ!相変わらずのクソジジイね!」
「黙れ、シルヴィア。お前達も異論ないな?リュシアス、ユーリア達の旅に同行せよ。出立は三日後、他の同行者とは当日顔合わせさせる。良いな?」
「御意。」
そう言って彼は静かに退出して行った。
う〜ん何だか事情ありって感じ?フツメン王子達よりましだけど旅の間どうなるんだろ。彼が寡黙キャラなら他の同行者が明るい人だといいな!旅は道連れって言うしね!




