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「メリークリスマス!」
「何のつもりだ」
サンタは俺の前で、プレゼントの詰まっているであろう大袋の口を開ける。
「『何のつもりだ』じゃないでしょ。サンタがプレゼントの袋を出してすることって言ったら、一つでしょう。ねえ、受け取ってよ――メリークリスマス」
サンタは袋をガサゴソと引っ掻き回して、一つの綺麗にラッピングされた箱を取り出して、両手で俺に突き出す。
どうしてサンタが俺を相手にこんなことをサンタがしているのか分からない。俺はサンタの邪魔をしていたのに。
「どうして俺なんかにプレゼントを?」
「あなただけじゃない、この場にいる全員が私の存在を信じているでしょ。だったらプレゼントを貰う資格ぐらいあるわよ」
その指摘に俺はハッとさせられた。
「クリスマスを否定していても、俺はまだ心のどこかでクリスマスを信じていたんだな」
「そうゆうこと。最近の人間なんてクリスマスプレゼントは現金がいいだの、サンタの正体は自分たちの両親だの夢の無い人達ばっかり。私だって、そんなのを相手にするのは年々嫌になってきているわよ」
近頃のサンタ事情は複雑なんだな。欲ばかりが渦巻くクリスマスを嫌いになった俺と、サンタは似た境遇だった。
「悲しいな。皆、いつの間にかクリスマスを祝う事を忘れてしまった」
「本当はただ純粋にクリスマスを喜べれば、それだけで充分なのにね」
俺は静かにサンタからのクリスマスプレゼントを受け取った。
朝に出会った男の子の姿が思い浮かぶ。あの子はクリスマスを本当に嬉しそうにしていた。俺もあんな風になれるのだろうか。
「でも、俺は一人だ。クリスマスを一緒に祝ってくれるような人間なんて……」
俺には一緒の時間を過ごしてくれる友人は居ない。唯一祝ってくれそうな家族でさえ、俺には……。
「そこに沢山いるじゃない。一緒に祝ってくれる人達が」
サンタが周りを指さす。そこには、いつの間にか立ちあがっていた人達がちらほらといた。
「話は聞かせて貰ったぜ」
「膣は俺、クリスマスのことをまだ……」
「一人だなんて水臭いこと言うなよ。俺達、同じ目的で集まって一緒に戦かった仲間だろ?」
伏せていた人達も徐々に立ち上がり、俺の許へ集まって来た。
「それにしても、クリスマスなのに見事に野郎ばっかりね」
「お前、俺たちにそんな人がいないの知ってて。喧嘩売ってんのか!」
まとまりかけた集団が、サンタのその発言に敵意を向ける。
「――仕方ないから、私も一緒に祝ってあげる」
「そんなことをしていいのか?」
サンタにはこれから子供たちにプレゼントを配る役目があるんじゃないのか。俺達に構っている時間は。
「それはいいの。だって私はね、ここに居る訳じゃないの。クリスマスを信じる人達の心の中にいる。だから信じてさえいれば、誰の前にだって現れることができるんだから。
さあ、今からクリスマスパーティーを開きましょう」
サンタが袋を掴んで大きく振り回すと、袋から様々なものが飛び出す。
キャンドルやツリーが街角の至る所に、俺達の腕の中にプレゼントが、そして空からは粉雪が。
「クリスマスケーキは、ブッシュ・ド・ノエルにしてみたわ。いかにもクリスマスって感じでいいでしょ」
あの薪みたいなケーキだ! 絵とか写真で見たことはあるけど、実物を見るのは初めてだ。
嬉しいな、サンタ狩りを決めた時は、まさかこんな日になるなんて思いもしなかった。
その年のクリスマスは、中止することはは叶わなかったが、俺の人生で最も幸せになれた日になった。
――Fin、、、?
もうちょっとだけ、続くんじゃよ。
短い続きを書いたおまけは明日投稿。
とっても短いのでその辺は、あしからず。




