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メリークリスマス
町の大広場には大きな木は綺麗な装飾がなされ、この頃寒くなりがちで人気が少なかった筈の大通りは、少しの賑いを取り戻している。
この大通りで幸せそうにしているカップルを見ていると反吐が出そうだ。とっとと立ち去って、目的地へ向かいたい。
「うわぁっ!」
俺は心持ち早歩きで人混みを抜けようと動かしたが、その足をすぐ横を走った男の子にぶつけてしまい、その子に尻もちをつかせてしまった。
「ごめんね。ボク怪我はない? 大丈夫?」
俺は慌てて走り寄って、心配する声をかけつつ転んだ男の子を助け起こす。
幸いにも、怪我していたり痛いことになっている所は無いようで男の子は元気に立ち上がる。ほっと一安心。
「平気だよ。それに痛くたって泣かないよ。なんたって今日は、今日まで良い子にしていた分、サンタさんからプレゼントを貰えるんだもん」
「そうか、それは楽しみだな」
「うん」
男の子の短い返事は、それはそれはとても楽しそうにしていた。
懐かしい、俺にもこの男の子みたいだった頃があったなあ。
男の子視線が俺から外れて、他を向く。その視線に合わせて首を向けると、こちらへ向かって真っすぐにやってくるその子の両親らしき人影がある。
「お母さんとお父さんだ!」
思った通り、近づいてきた二人は男の子の両親だったらしく、男の子は両親へと駆け寄って行った。
「ゴメンなさいね、この子が走ったせいで。お怪我はしていませんか」
「いえいえ、大丈夫です大丈夫です。こちらも急いでいて足元がおろそかになっていました」
男の子の母親らしき人物が頭を下げて謝ってくる。
故意でないとはいえ、子供を蹴飛ばしてしまったこちらの方が、むしろすまない気分で一杯になってくる。
それに……。
「おかーさん、早くデパートにいこーよー」
「それでは私達はこの辺で。この子のが本当にすみませんでした」
男の子が母親の腕にぶら下がって急かし、親子三人は最後に一度大きく頭を下げて去って行った。
親子の姿が見えなくなってから俺は、男の子を思い出して心の中で謝った。
(悪いな、坊主。サンタからのプレゼントはきっと貰えない。
クリスマスをお楽しみところ残念だが、今年はサンタの首を俺が頂くことになってるんでな)
寒い街中を一人進んでゆく。




