ギルド
「クラウディア、夏休み一緒にギルド登録して討伐行ってみない?」
「ギルド?」
ギルドの存在は知っている。
ランク別で依頼難易度が変わっていて魔物の討伐が主な依頼。
難易度ごとに報酬内容も違う。
存在は知っていたが興味を持ったことはなかった。
「君は明らかな経験不足だから。いい経験になると思うけど?」
「ー私は、強くなりたいと思ったことがないから特にやりたいと思わない。」
正直にそう思う。
人を傷つけないために、自分が傷つかないために制御も魔法も覚えてきたが強くなりたいなんて思ったことはない。何ならこんな魔力も能力もいらないと願ったほどだ。
普通を願っているのに必要以上に強くなることなんて望んでいない。
「クラウディアはそう思っていないかもしれないけど、君の能力が特別なことはだれの目から見ても明らかだろ?実際に君は常に監視対象になっている。それは国からもだ。誰かにその力を利用されないために強くなる必要がクラウディアにはある。君が君らしく過ごしていくために。」
妙に真剣な目で伝えられ困惑した。
「……。そう、なのかな。」
私らしくって何だろう。
誰にも迷惑をかけずにただ生きてきただけの私の私らしい過ごし方。
私は何のために生きているのだろうか。
わからない自分の生き方のために強くなる必要ってあるのだろうか。
ふとした虚無感に襲われた。
「ごめん。難しいこと言ったかも。実際は俺がクラウディアと一緒に色んな経験をしてみたいと思っただけだったりする。」
「ー?」
顔を上げると苦笑しているクラウド様がいた。
「一緒にやってくれないかな?冒険、結構楽しいよ?」
「一緒に……。」
「そう。一緒に。俺からの頼み事。」
「ーやり…ます。」
気づいたらそう返事をしていた。
困っている彼を困らせたくなかったからなのか、本当は強くなりたいのか、何故なのかは考えても分からなかった。
☆☆☆
ギルド登録を行って、実際に依頼を受けれるようになるまで2週間かかるらしく、今日はクラウド様とギルド登録にやって来た。
必要書類の記入、証明書の提出を行い、まずはランク分けの検査。
初めてのことで私は少し緊張していた。
「まず魔力量の測定から行います。魔力付与関連の装具は外してくださいね。」
受付の人に言われて指輪を外した。
測定器に手をかざす。
指輪なしでの測定は3才と6才の頃に行って以来行っていなかった。
黒色の測定器が目がまぶしくて開けられないほどの銀色に発光した。
「ーSSランク。おそらく測定不能レベルかも。目が痛いや。」
光が収まり、そばにいたクラウドが言った。
検査官の女性も眉間をもみながら声を出した。
「はい。間違いなくSSランクですね。この後実技検査もありますが・・・学園通われてるんですよね?実技評価記録はお持ちですか?」
「はい。持ってきました。」
「あなたの場合実技検査はパス出来ます。最初は実力があってもDランクが上限になります。依頼をこなせばすぐにランクは上がるかと思いますのでご了承ください。」
ランクはG~SSランクで分かれているらしい。
初回はG~Dランクに振り分けられるようなので良い結果だった。
「クラウド様は登録しないのですか?」
「俺、実はSSで持ってるんだよね。」
いい表情で笑いながらギルド証を見せてくれた。
そこにはプラチナ文字で「SSRANK」と確かに書かれていた。




